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りんごの怪談記録メモ~怪談話の謎を解け!~  作者: たかしろひと
第2章
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分かれ道の先で3

スポーツドリンクは程よく冷えていた。水分補給用に僕と梨郷の分を持ってきてくれたらしい。


「梨郷さんも、ちゃんと飲んで下さいね」


「うん、ありがと」


 さりげなく頭をなでなでされてるけど、それは完璧な子ども扱いだぞ? いいのか?


「それじゃ行きましょうか」


「私もハイキングの格好してくればよかったー」


「なら今度、普通にハイキングに行きましょう。見晴らし台はこの道と逆で上り坂なので、良い運動になります。残念ながら今日は検証が目的ですし」


「それってお弁当持ってってこと?」


「ええ」


 梨郷のお世話を全部秋野さんにお任せすれば、僕が苦労しなくてもよくなるんじゃないか? 例えばこの前のプールだって、一緒に女子更衣室に入れたわけだし。


「あ、そうだ。聞こうと思ってたんだけど、ここへ来た人は絶対に迷っちゃうの?」


「伝え方が甘かったですね。絶対に迷うわけではないそうですよ」


「じゃあ、時々?」


「そうですね。そう聞いてます」


 迷った人のその時の状況を聞きたいな。


「秋野さん、その迷った人は」


「初めてこの場所へ来た人ばかりだそうですよ。時間帯はバラバラですけど、暗くなってからの体験談はないそうです」


 さすが、僕が聞きたいことをまとめておいてくれたらしい。


「え、え? 暗いのに迷わないの?」


「ええ。ちなみに晴れ、曇り、雨の日の体験談もあります」


 昼の間だけで天気は関係なさそう、か。なんだろうな。視界がそれなりに良い時に迷うのか? 

 霧が出やすいのかとも思ったけど、そうじゃないらしい。


「尚、わかったの!?」


 僕はため息を吐いた。


「この話だけでわかるわけないだろ。とりあえず、歩いてみないと」


「なーんだ」


 短期なヤツだ。

 と、少しして前の二人が足を止めた。


「ん? どうした?」


「見て」


 梨郷が指差す先には二股に分かれた道があった。真ん中の看板には『碧華池↑』となっている。


「右の道……ってこと?」


 さっきの分かれ道は左、今度は右に行くのか……?


「この看板、さっきのと違って安っぽいですね」


 確かに手書きだし管理者が立てたものっぽくない。


「もしかして、迷う人が多いから立てたのかしら?」


 噂があるなら、利用者の人が善意でって可能性もあるのか。


「ふうむ」


 イタズラの可能性もある。僕達は二つの道を念入りに見比べた。


「お二人とも、どうですか? 私は看板通りだと思います」


「はい! 私も!」


 僕も挙手をした。


「僕もだ。右だと思う」


 決め手はなんだろうな。でも看板の矢印もそうなってるし、なんとなく。


「では、行きましょう」


 右の道へ。相変わらず珍しい種類の木々が並ぶ。間に通った道を抜けて、歩いて行くと。


 目の前に看板が現れた。


『見晴らし台』

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