お化け屋敷の中で6
時刻を確認すると、丁度十二時だった。ぐだぐだし過ぎたな。
「トイレ行ってきても良いですか?」
僕は梨郷の頭に手を起きながら全員の顔を見回す。
「どうぞ。廊下の突き当たりです。……なんか、すみませんね」
スタッフ赤城さんの、なんとも複雑そうな表情が気になった。
許可をもらえたので、僕は梨郷を連れて、廊下へと出た。あの様子だと、僕と梨郷は巻き込まれただけみたいだな。
「ちょっと」
視線を落とすと、梨郷が僕を睨んでいた。
「今、私がトイレに行きたそうだからってにゅあんすで言わなかった?」
ニュアンスって。最近覚えたんだろうけど、使い方合ってるな。
「いちいち文句言ってないで、さっさと行け。一人で戻れるだろ?」
「へ?」
口を半開きにした梨郷はかなりの間抜け顔だった。僕は梨郷の手を引いて、入り口へと向かう。
「聞いててわかるだろ。あの人達、僕達に何か隠してる。このわけのわからない騒動はあいつら全員グルで起こってる」
「た、確かに変な反応してたけど……」
小学生にもバレバレだったか。
「でも、尚はどうするのよ?」
「僕達を巻き込んだことを悪いと思ってるみたいだし、すぐに解放されるだろ」
「じゃあ、この事件の真相は?」
これ事件なのか?
「さあな。身内で揉めてるなら推測しようもない」
「いつもみたいに、尚の妄想で補えばいいじゃない」
「人聞きの悪いことを……」
想像だろ、想像。
そんなやり取りをしながら、出入り口へと向かう。
「それじゃ、気を付けて行けよ」
「その前に、尚がわかってるところまで聞きたいわっ」
仕事より、好奇心を優先するっていうのか?
「ね、良いでしょ?」
僕は息を吐いた。
「さっき、スタッフの相野さんに電話がかかってきてただろ?」
「ああ、皆の表情が変わったのよね」
「多分、相手は市ヶ谷憲二だ」
「え? どういうこと?」
「女の幽霊に化けてたのは相野さんだったってことだ」




