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りんごの怪談記録メモ~怪談話の謎を解け!~  作者: たかしろひと
第1章
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真夜中の手押し信号4

「まず、あそこの十字路の信号機は午前六時から午後十時までが押しボタン式、午後十時から午前六時までが車両感応式になっているらしい」


「押しボタン式っていうのは横断歩道を歩く人の?」


「そうだ。だから基本的に信号は青、歩行者用は赤になる。朝から夜までな。で、問題の夜だが基本的な状態が逆になる。信号は赤、歩行者用は青だ」


「あ、露ちゃんのお姉さんから戻ったレポートに書いてあったかも。センサーが車に反応して信号が変わるのよね!」


 田中さん、本当にレポート作ったのか。


「それを踏まえて考えると、誰もいないのに歩行者用信号が青になったって話はおかしいだろ?」


「えーと……夜なら、普通の信号は赤なのよね? そっか、そもそも赤信号で停められたって話が変なのね」


「あのトンネルを抜けて下り坂に入る途中で、十字路が見えてくる。その体験をしたドライバーは十字路が見えた時点で青信号になってるところを確認したんだ。そして、十字路の手前で赤信号になって停められる。その後すぐにセンサーが反応して信号は再び青へ。そのドライバーは昼にもその道を通ったことがあり、押しボタン式信号だと知ってたから余計に驚いたんだろうな」


「センサー式に切り替わるのを知らなかったってこと?」


「ああ」


「でも、見たのは地元の人なのよ? 知らなかったなんてことある?」


「こっちから夜中にニュータウンへ帰る人なんだから、ニュータウンに住んでるんだ。あの辺りは市外からどんどん人が移住してきてるからな。越してきたばかりで信号の特性を知らなくても不思議はない。それに、夜中にセンサー式にしたのは下り坂でスピードが出て危ないからっていう理由で、変わったのはつい最近らしい。新しい道が出来てるから地元の人間でも知らない人もいるだろうし」


「それはわかるけど、見た人の前に十字路を通った車があったってことよね? 周りに人も車もなかったらしいわよ? 後、それだと偶然てことでしょ? 何人も見た人がいるのよ?」


「その辺りは田中さんに頼んで本人から直接聞いた」


「本人て体験した人?」


 僕は頷く。田中さんがすぐに話をつけてくれたのだ。電話でだが、話を聞くことが出来た。さっき説明したけど、ニュータウンに住んでいることと、信号がセンサー式に切り替わることを知らなかったことは確認済だ。


「よく話を聞いてみると、十字路の先、かなり遠くに走り去る車のテールランプが見えたらしい。多分、青信号になってる時間が長めなんだろうな」


「……じゃあ、偶然が続いたのね?」


 さぁ、それについてはどうだろう。


「今、梨郷が言ったように今回のこれは偶然だ。関わった二台の車がトンネルを抜ける、十字路に差し掛かる、センサーが反応する……それらのタイミングがぴったり合ったから不気味な現象に見えたんだ。少なくとも、僕が話を聞いた人については間違ってないと思う。でも、何人か見た人がいるのは事実だ。なんとも言えないけど、偶然以外の何か、な可能性もあるな。あのトンネル、変な噂がかなりあるし」


 梨郷はしばらく考えて、


「なんかすっきりしないけど、でも信号の特徴を見れば納得できるわね……うん、まぁいいわ。解決ね!」


 そこはかとなく上から目線なんだよな。まったく。言わないつもりだったけど、伝えておくか。


「ああ、そうだ。田中さんはもう一人、体験した人と知り合いで聞いてもらったんだけどな。その人も走り去る車を見るには見たんだが、目の前でテールランプと走行音が消えたらしい。跡形もなく、な」


 梨郷はすっと顔を青くすると、顔も毛布に埋めたのだった。

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