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アドルフ

作者: のぶ

これは世界が若い日を再現したときの話です。

まだ、世界が始まってから時間がたっていなかった日の冬に、大きな風が吹き大きな雪が降りました。あまりにも強かったので教会の鐘がカーンカーン、となったほどでした。そういう日々が真冬のこの地方ではときどきあるのです。ですから、今日が終わりを告げることを知らせる、その鐘が修道士アドルフによって鳴らされることはありませんでした。アドルフはスープを作りました。農家が端正をこめて育てたキャベツを切って熱湯で煮たのです。その日は修道女ケイトと一緒にアドルフは夕食をいただきました。まずは、神さまへのお祈りから始まりロウソクで火をつけて、二十一世紀の今日に、中世のようなローブを着てアドルフとケイトは食事を採りました。スープを二人は食べたのです。そのスープを民衆に渡すのは次の日です。この地方の真冬では一日スープを置いても平気だからです。次の日に太陽が昇ったのは午前六時ごろでした。ちょうど、アドルフが起きたときに地平線から紅い陽が漏れてカーテンの奥から質素な部屋の中を照らしたのです。アドルフは修道院内にある鐘をすべて鳴らしました。「みなさん、朝です」と。いうふうにして。こうしてケイトはその鐘で目覚め、またかがやく今日を見られたことを神さまに感謝しました。アドルフとケイトは保存してあったスープを朝食でまた食べて、次に民衆に渡すために容器に移しました。まずは子供たちがやってきました。「俺、スープ好きなんだ」と云う子にスープを渡しました。そのスープはキャベツと塩しかいれてない、簡単な料理です。ですがこの地方ではみな、この料理を誇りに思っているのです。アドルフとケイトは修道院内に戻り静かに瞑想しました。もう、これ以上私の口から語る言葉はないのでしょう。瞑想のなか、神さまがこの日々を造り、実り豊かな日々をそして、また新しい世界が始まりを告げることを、アドルフはわかっていたのです。

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