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戦闘狂種族のスナイパー  作者: パンよりご飯派
4/5

3話 初めて狩りをした剣

ようやく『複製(コピー)』を覚えることが出来た。もう感無量だったよ、意味もなく使いまくった。


5歳ということは狩りに出かける年齢ということで、今日は人生初の魔物狩りだ。


アイリスも初めてだ。アイリスは槍を持っている。最近合同稽古する機会があったのだが、突きが鋭く、躱しきれず肩に刺さってしまった。

急いで母さんに回復魔法を使って貰った。その時のアイリスの慌て用は酷かった。


稽古が終わった後、怪我は治っているが看病といって側から一切離れず、寝る時も同じ布団に入って来た。

いくら5歳とはいえ、プロ族のため体はもう成熟された大人の体。つまり、色々気になってしまうのだ。

ただでさえアイリスは絶世の美女であり、スタイルも抜群だ。そんなのと同じベッドで寝るのは我慢が必要だった。


強固な理性で耐え抜いた俺に言った一言が、


「ヘタレ」


だ。酷くないか?こっちは我慢したのに。いや、地球の知識もあって邪魔したのだろう。生まれて5年、肉体は大人でも精神は子供。

きっとそういうことなのだろう。


俺の武器は弓と長剣、魔法だ。


プロ族の魔法というのは、攻撃魔法を使えることを意味する。なぜなら肉体強化の魔法は皆が当たり前に使うから、魔法と認識されなくなった。


弓は自称狩人のサザナミに教えてもらいながら、大体は自主練で形になった。

その時思ったのはVRゲームはバカに出来ないということだ。


前世ではFPSとMMOを中心にしていた。MMOは剣と魔法のファンタジー世界が舞台で、俺は弓を主武器で使っていた。

その時俺はスキルの力もあったが、中々自在に闘えていたと思う。

弓は点で攻撃するのではなく、多面的に攻撃していた。

放つ時間、強さ(速度)、角度が異なれば敵を誘導することも難しくはない。

これを対人戦でやったらフレンドに「えげつない」と言われたのも、今となってはいい思い出だ。


数年ぶりとなったが、それを思い出しながらやると思った通りに飛んでいく。


やはりプロ族の体は素晴らしいものがある。


だが、精神はダメだ。遺伝子レベルの戦闘狂はダメだ。


ちなみに弓は練習し放題だった。矢は自分で作り過ぎた程だし、使う人が俺とサザナミしかいない。サザナミは練習しないし、そもそも自作する。つまり作った分だけ使えたというわけだ。


サザナミに教わった通りに森を歩き、『隠密』を意識しながら進んでいく。


俺は5歳になり、稽古では父さんに勝てたので一人行動が許可されている。

村では親に稽古で勝てたら一人で行動する許可が出るそう。他にも結婚するには女性の父親に勝たなければならないとか、揉め事があったら広場の中心で闘って決めるとか、『闘い』が全ての中心にある生活を送っているのが、プロ族だ。


ちなみにアイリスは昨日ようやくお父さんに勝てたようで、明日初狩りだそうだ。


獲物の痕跡や、自分の振動などに気を付けながらある程度森を進んでいくと、獲物を見つけた。


「大物だな、父さんでも一人で狩れるか分からないやつだ。「大トカゲ」と呼ぶが、おれはそうは思わない、だってどう見ても「ドラゴン」だもの」



穿牙竜(セントラルドラゴン)

『年齢』「5歳」

『種族』「竜種」

【スキル】

『穿突Lv4』『低位魔法無効』

『威圧Lv3』『竜鱗Lv5』



「同い年か、見えないな」


見つけた獲物の大きさはトラックほどあり、一つの牙が異常に発達している。


魔物は魔力溜まりから生まれた場合、古竜(エンシェントドラゴン)0歳がありえるのだ。ちなみに村の周りの森の古賢木(エルダートレント)は樹齢千年を超えた魔物である。


矢を指の間に挟め弓を引き絞る。


2本の矢が穿牙竜の両眼に直撃する。その後、間も置かずに3本の矢が眉間に刺さる。


ズシンっと、重たい音立てながらゆっくりと倒れた。

動かなくなったのを確認すると、『隠密』を解いて亡骸に近づく。

全ては当然持ち帰れないので、牙と鱗、魔宝石、肝臓と少しの肉を持ち、後は魔法で地面に埋める。

埋めないと血の匂いに反応して、多くの魔物が集まってしまう。


「土葬」


無詠唱でも発動できるが、少ないながらも言った方が魔力効率がいいのだ。

しっかりと地面の奥深くに埋まったのを確認すると、村の方面に向かって歩き出す。当然『隠密』を使いながらだ。


普通は竜の鱗にこうも簡単には刺さらない。しかし俺の弓矢は普通のものとは違う。

まず弓は村で「御神木」となっている木の、折れた枝を貰い弓にした。

プロ族の村の「御神木」なのだから、と思い『鑑定』したところ、案の定『世界樹の枝』と表示された。ちなみに「御神木」本体は存在感が普通の木(古賢木(エルダートレント))と全く違った。この世界に来て一番圧倒された。

更に鏃は神鉄(アダマンタイト)を用いているため、竜の鱗でも弾かれることなく突き刺さる。


初めて一人で狩った獲物は大部分を家族に、一部分を何かかしらの形に加工して、生涯大切にする。プロ族の伝統の一つだ。


今回の場合、立派な牙は短剣に、鱗と魔宝石は御守りにでもして肉と肝臓を家族に収めよう。肉と肝臓だけでも20キロほどあるから十分だろう。




村に帰るとちょっとしたお祭り騒ぎになった。


「ランドルフの倅、リオンが初めての狩りで「大トカゲ」を狩った」と。


だから「大トカゲ」じゃないって……と言いたいところだが、意味もないのでなにも言わない。

村で年に2回ある祭りでは、メインとして「大トカゲ」の丸ごと一匹が振舞われる。

頭は広場の中心に飾られる。ハンティングトロフィーだな、ドラゴンの。


家に帰ると両親に褒められ、アイリスに抱きつかれた。

肉と肝臓を上げて、牙と鱗、魔宝石を見せる。


牙は真っ白で光沢のある逸品とも呼べるものだ。

鱗は深緑色で磨けば艶が出るだろう。

魔宝石は白味がかったピンポン球ぐらいで、プロ族ではまあまあだが、アベル大陸では国宝級だと思う。流石にそこまではいかないか。


村唯一の鍛冶屋を営むシャム爺さんに、牙を短剣にと頼む。立派なものができるだろう。

御守りは母さんが作ってくれるそうだ。魔宝石と竜鱗で作られる御守りは、さそがし御利益がありそうだ。


ちなみにその日、アイリスと同じベッドで寝ることになり、寝たのは深夜遅くになってからだった。

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