第一章 黒バットに見られたもの(7)
体育の終了後、僕は同じクラスの男達に囲まれる。
竜文が一応僕の前に立って守っている状態だがあまり意味をなしていない。
「どけ、どくんだ緋都ちゃん。こいつは俺達を裏切りやがったんだ」
「そうだ、そうだこいつ緋都ちゃんを我が物にしてるくせに女の子と話しやがった。しかも伊波さんだと、ふざけるな」
「別に話すくらいよくないか?」
僕がそう言うと竜文は
「うわっ、火に油を注いじゃったね」と言うと同時に周りの温度は更にあがる。
「話しただけだと、あんなに密着してなにいってやがる。」
「緋都ちゃんもいいのか、こいつあんなに密着して」
「僕はみーだけしかみてないよ。」周りの温度が急激に下がる。
みんな何故か納得した表情で解散していく。
「ありがと竜文助かった。」
「みーは放課後に詳しく教えてくれるよね?」
クラスの誰のどの表情よりもこの笑顔が怖いとかんじた。
放課後、野球部に行こうとしていた虫明に話しかける。
「野球部この間試合どうだったの?全国区の学校と試合したんだろ」
「・・・勝ったよ。すごい強いチームだった」
一瞬虫明の顔がしかめているように見えるたがすぐに笑顔になって返してくる。
「僕ももう一回野球しようかな」
「や、やめとけって!!」
僕は虫明のいきなりの大声に目を丸くする。
虫明はいつかいたかわからない額いっぱいの汗の汗をぬぐう。
「じゃあ俺は部活に行くわ」
「おう、また明日」
「みー委員会行くよ。」
そう言って虫明と離れた瞬間に、座っていた竜文は自分の体をこちらに移動させる。
話が終わった瞬間に話しかけてきたのだ。
すると僕の手を引っ張ってつれていこうとする。
僕は慌てて先ほどまとめておいた鞄のひもを余った左手でもって廊下に出る。
手をつなぎながらもしばらく僕達の間に沈黙が続く。
職員室の前についたあたりで校内放送が聞える。
「今日の環境委員の活動は・・・中止です。」
ロリ先輩の声だった。
「ただし、今から呼ばれた学生さんは一年B組に来てください。」
「はくとう君、緋都さん」
「「・・・」」
僕と竜文は互いのことを見る。
「みー行くよ。」
「やっぱいかなきゃ駄目だよね。いやな予感しかしないんだが」
「いかなきゃ泣くよ。」
鬼だ・・・ここに鬼がいます。
教室に着くとすでにロリ先輩と心緑の二人が座っている。
「あの、ロリ先輩どうしたんですか?」
僕がそういうと心緑が立ち上がってこちらを見てくる。
「はじめまして私は伊波心緑です。民汰君はしってるよね、え〜っとあなたは?」
心緑は僕の隣の竜文を指さしながら聞いてくる。
「僕は緋都竜文です。」
言葉数が少ないと思ったら竜文は人見知りだったのを思い出した。
「そう、早速だけど緋都さんは出てってもらっていいでしょうか?私はこの人たちにようがあります。」
「いいの、緋都さんはこのままで彼女はある意味『特別』だから」
ロリ先輩がそういうと、顔をしかめながらも心緑は了承して僕達を座らせる。
「緋都さんは大体のことはわかってるんだよね」
「まあ、半分くらいですけどね。瑠璃先輩と学会の人は挨拶済んでるってことでいいんですね。」
ロリ先輩は「もちろんだよ」といって心緑の方を見る。
すると、心緑はそばにある紙をとる。
よく見ると学校新聞で、一面記事に先日の野球部で全国区の高校を倒したことが載っている。
「記事は関係ないです。実はこの新聞から少し‘マホウ’が感じるんです。」
僕には何も感じないが、魔法使い歴が長いと感じるものなんだろうかと思いながらその新聞を見る。
「反応を見たところあなた達は関係ないようなのですね、明日から少し調査したいと思うので手伝ってください。」
結論から言うと調査は遅かった。
翌日この町で死人が出た。
死人は首から上がなくなっていた。