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ハッカの飴  作者: うり南
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第一章 黒バットに見られたもの(4)

「はい、それじゃあ、一年間がんばっていきましょう」

最後はかなりにやけた顔でそう言って、客家先生は廊下に出て行った。

「とても恐ろしかった。」

「みーくんお疲れ様。」

竜文に自己紹介の番が回ってきた時にある女子が「好きな人は?」という質問すると、こいつは即行で答えやがった。

「みーくんです。」

しかもそのときに恥ずかしそうに、目をキラキラ輝かせて言うもんだから、その後僕のところには質問の書かれた紙切れ端との消しゴムのかすが何発も飛んできた。

今は皆となりの‘美人’らしい転校生を見に行っている。

教室が静かになったので、竜文に「寝るわ」といって闇に落ちる・・・

「白藤、お客さんだぞ」

先ほど自己紹介でトップバッターを華麗にこなせなかった相池君が僕のことを呼ぶ。

僕は目をこすりながら立ち上がり廊下に向かう。

その客は教室の扉の二メートルほど手前に立って小さい背をさらに小さく見せるようなうつむく状態で待っていた。

「おまたせしましたロリ先輩」

ロリ先輩ことみなもと 瑠璃るりは笑顔を上げてこっちを見たと思ったら、むくれた顔をする。

相変わらず見ていて面白い。

「そういう言い方はひどいですよ。はくとう君、私は今日から三年生なんですから、もっと敬意をもって接しなきゃ駄目です。」

「瑠璃先輩が僕をはくとう君と呼ぶ代わりに僕は瑠璃先輩をロリ先輩と呼び、さらに二人っきりでないと出来ないようなことを要求できるような契約になっている。」

「そ、そんなこと声にださないでください。ていうかそんな契約してません。」

百四十センチにもみたない小柄なロリ先輩がじたばたしてる。

こんなロリ先輩だが実は魔法使いである・・・



「はじめましてはくとう君、私は魔法使いです。」

「・・・」

これが高校に入ったばかりの僕がロリ先輩と初めて交わした会話である。

しかし、その後ロリ先輩の‘マホウ’を見てからはずっとロリ先輩の弟子という形でそばにいる。

一緒にいるとロリ先輩は相当の魔法使いであるという情報が流れてきたりして、今こんな目の前でじたばたしてるのが、魔法そっちの世界だと有名人だというのも不思議なものである。

何でも家系自体が有名で千年近く続いてるらしい。

まあ僕の学校でもここまで小さいと有名ではあるけど・・・


「そうです。今日ははくとう君に報告があってきました。」

首をかしげて先輩のほうを見る。

「実はですね、魔道の学会のほうにはくとう君を登録してきました。これで正式な私のお弟子さんです。」

「・・・」

「・・・にこ」

‘ゴツッ’

「はくとう君痛いよ。たんこぶできちゃうよ。」

「すいません、あまりに突然なことなんでつい」

「ついで殴らないでください。あなたはもう立派な‘マホウ’があるじゃないですか、それとこれは師匠からのプレゼントです。」

僕は少し期待する。

こういうとき、普通は魔力を増加させる首輪だの、指輪だのそういうなんかこうすごいアイテムがもらえると思ったからだ。

ロリ先輩に「はいっ」と両手で開かれた紙を見る。

『おめでとう今日から君も魔法使いだよ』

かわいいクレヨンでそう書かれていた。

「・・・」

「・・・にこ」

‘ゴツッ’

ロリ先輩を殴った後、僕はその紙を一応胸ポケットに入れとく。

しかし、急に魔法使いといわれても困る。僕が使える‘マホウ’は・・・

「竜文ちょっと来て」

「なにみーくん」

こっちに向かってきて僕に無駄に近い距離に立つ。

そして、僕は集中して足元に廊下の色と同じ白い魔法陣を作り出し、切り離す。

‘ふわっ’

「我が人生にくいなし」

「生きててよかったぜ」

「・・・あなたが神か」

「俺の屍を越えていけ」

竜文のスカートがめくれるとともに廊下にいた四人の生徒が幸せそうな顔をしながら倒れる。

そう僕の‘マホウ’は風である。

‘マホウ’といってもせいぜい微量の風が吹くぐらいで、浮くことも出来る・・・三センチだけなら・・・

その程度の力なのだ、現代の科学なら全然作れる力である。

この後、竜文は気にしてなかった(むしろ喜んでた)のに、ロリ先輩からパンチされた。

とても・・・柔らかかった。


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