第一章 黒バットに見られたもの(2)
料理はいつも通りどれも美味しかった。
口に合わないものはなく、これを食べれる僕は本当に幸せだと思う。
・・・餃子を除いては
学校までは家から歩いて二十分ぐらいだが雨の日以外僕はいつも自転車を使っている。
なぜなら幼なじみを後ろに乗せて登校してるからだ。
自慢じゃないが幼なじみはそこらへんの女性モデルよりも可愛く、性格も親しみやすく周りの事はなんでもしてくれて僕にべったりである。
家のチャイムと共に入ってくる幼なじみに僕はいつも通り挨拶を交わす。
「おはよう、竜文」
「おはよう、みー」
幼なじみである緋都 竜文がスカートをひらひらさせ満面の笑みでこちらに向かってくる。
名前を見ればわかるとわかると思うが性別で分類すると男である。
ちなみに竜文自身も男としての意識があり別に好きでスカートを履いて・・・いるのかもしれないが、これは全部周りがするのだとは本人談である。
ちなみに僕の幼なじみは竜文一人しかいない。
ちなみにこういう人間は学校の着替えの時、個別の更衣室を用意されるのだ。
そんな女の子の格好の竜文がべったりなので、僕は本物の女の子と恋人になったことはない。
初めて僕と竜文を見た人は恋人扱い。
事実を知った人はBL扱いという状態である。
まあ長い付き合いだし非常にいいやつだが、本当に自慢にはならない。
「そういえば、また同じクラスだよ。さっき見てきた。」
僕は一瞬黙って竜文を見る。
「なんにつっこんでいいかわからないって、学校で待ってろよ・・・って無理な話か」
「うん、無理」
即答する。
僕は頭を抱えたままゆっくり立ち上がり箸を置く。
「今日も美味かったよ泉、またあとでな。あと未華もおとなしくしてろよ。」
「泉ちゃん、みけちゃんまたね」
「はい、今日も兄さんをお願いします。」
竜文と泉は仲がよく、
「女の子同士の話だから兄さんは駄目です。」
「ごめんねみーくん」
という会話はよく聞かされる。
いつも通り僕の自転車の後ろに竜文がのり僕がこぐ。
二つ目の公園を右に曲がり、川にかかる小さな木橋を通って、コンビニの隣の細い道を通り最後に大きい坂道を上ると僕達の通う明栄学園に到着する。