第一章 黒バットに見られたもの(10)
心緑の話しによると、加藤勇気は前に虫明が言っていたとおりかつて解雇された選手だった。
そして、首から上がない死体は昨夜に三人出ていたらしく、全員に体に同じ様なあざが見つかったらしい。
そして昨夜、バットを持った男が徘徊していることが確認された。
最後に心緑は新聞部のことを疑っていたことに対してあやまった。「つまり今夜は私とみー君で夜の見回りだね」
美華が三人も殺されたことなんかなかったかのように、まるで旅行にでも行くような口調で話しかけてくる。
しかし、見回りの必要はない。
「美華ちゃんみわわり・・・」
噛んだ、ロリ先輩がみんなが油断してるなかで噛んだため、空気が凍る。
ロリ先輩が顔真っ赤にさせながら深呼吸して話しはじめる。
その姿が小学生のように見えるからこまる。
「見回りをする必要はありません。私一人で犯人の場所はわかります。」ロリ先輩はほっと胸をおろす。
夜になるまで竜文が僕の家で遊びたいと言うので僕の家に向かう。
「正確に言うと、親や姉達にみーと幸せになってくる。っていっちゃったんだよね」
しばらく僕は竜文の家に行けないと思った。
家の扉を開けるとうずくまりながら泣いている泉の姿があった。
「なぁ美華、泉に事情話した?」
「ううん、みー君が話してると思ったからしてないよ。」
僕は電話が来てすぐに家に出たので状況は話していない。
結局貴重な休日の昼は泉を泣きやますために使われた。
時計が後ニ時間で今日の終わりを告げようとしていて、竜文が
「今日はみーのベットで寝るから枕の準備よろしく」なんて言い始めた時だった。
ロリ先輩からの電話があり街の西の方の商店街に来るように言われた。
今度は泉にちゃんと話してから外に出る。
僕達三人が暗く商店街のどこの店もしまっている中でロリ先輩が
警察に補導されていた。
「弁解してくれて助かったよ」
「この時間に補導されるロリ先輩もさすがですよね」
そんな会話をしながら向かうとそこには野球のユニフォーム姿の男が二人と影には心緑がいた。
片方の男は今日新聞で見た向こうのチームの選手で背番号は1をつけていた。
つまりエースである。
いやだったが正しい、彼はすでに人間としての機能はない。
朝見た人と同じく首から上が無く、違う点があるとすれば、まだ少し血がたれていた。
そして、もう一人は目撃情報があった黒バットを持った男
僕はその人物を知っていた。
「何やってるんだ虫明」
僕は思わず声をかけてしまう。