7、久しぶりのクソみたいな掃き溜めに
7日目です。
一週間続けて投稿できて良かったです。
今日もよろしくお願いします、
布団から起きて見ると二人はもう朝食を済ませており何やら忙しそうにしていた。
「ん?どっか行くのか?」
「あ、トカゲさんおはようございます。実は今から学校に入学手続きを済ませようかと思いまして。」
「おいまて。学校なんて行ってたらいつ金が尽きるかわからんぞ。それにまだお前はここから表に出る道わからんだろ。」
「あ、道については大丈夫です。一度通った道は忘れないタイプでして。それにお金ならお父様が毎月仕送りしてくれていますし、どちらも解決済みです。」
娘に家出させるほどのきついことやらせとていざいなくなると激甘かよ、とも思ったが、多分それが父親なりの最後の愛情表現なのだろう。
「てかお前歳いくつだよ。」
「お前じゃなくてリンってちゃんと読んでください。それと私は14です。」
「へいへい、わかりましたよリンさん。」
そんなことを話しながら一人で朝食を取り、二人を見送る。
「学校…ね…」
『なんですかマスター。学校が恋しくなっちゃったんですか?』
「そんなわけないだろあんなクソみたいなところ。こっちからからゴメンだね。」
しかし黄月とかいう奴は、一人でうまくやっているみたいで学校にも行っているようだし、天使の力ってすげー。
「しかし黄月がどこにいるかわかったのはいいがどうしたら接触できるか考えねばな。」
『でしたら学校に行くのが一番だと思います。それなら自然に接触できますし、一番手っ取り早いと思いますが。』
「まぁそうなっちゃうよな…悪魔からの使者です〜なんて言ったら普通に敵対関係だと思われるし、君と同じ境遇だ!なんて言ったら天使の使いの一人だと思われるし。」
『でしたら今すぐ追いかけて一緒に…』
「断る。俺は学校なんてとこ絶対に行かないからな。」
『強情ですね。そんなに学校が嫌いなんですか?』
「前にも言ったろ、他の奴らが別人に見えるって…まぁそれ以外にもあるんだけどね?」
『ではなぜリンさんと一緒にいるのですか?』
まぁ普通に考えたら疑問に思うのは無理はない。なんで人間嫌いな俺があいつと一緒にいるのか。
「なんか似てんだよな…死んだ前世の妹に。それで放っておけないっていうかなんというか…」
『すいません。話しにくいことを言わせてしまって。』
「いや大丈夫だよ。もうあの時みたいなガキじゃないし、今いるのは前世の俺じゃないし。」
二人が帰ってくるまでは何もできないのでとりあえず久しぶりに特訓でもする。
来た時より綺麗になった庭で氣を全身にまといながら独特の動きで氣を練り上げる。
そういえばこっちに来てから氣の扱いが簡単になった気がする。抵抗がなくなったというかなんというか。まぁ気にするほどではないだろう。
そのあと洗濯物を干したり家事をしていくがふと、疑問に思う。
「なんで洗濯機みたいなモンがあるんだろうな。」
洗濯機だけではない。給湯器やオーブンなど、どれも向こうの世界であったものだ。
『おそらく魔力結晶のおかげでしょう。』
「そういや昨日もらった袋の中に結晶みたいなのが入ってたな。あれがそうか?」
『はい。あれも魔力結晶の一つで力を加えると対応した属性の力を発揮することができます。』
「世の中便利なモンがいっぱいあるね…」
もらったはいいがこんなもの何に使えばいいのか。全く見当がつかない。やることも終えぼーっとしているとちょうど昼に差し掛かるころに二人が帰ってきた。
「ただいまー!」
「うーいお帰り〜。昼は?」
「これからお作りするところですので少々お待ちください。」
忘れられていないと思うと少しだけ安心。
「で?学校の方は?なんとかなりそう?」
「うん。入学手続きは終わったよ。」
そんなに簡単に入学できるほどゆるいのか。
「そういえば、私は答えたけどトカゲの歳って聞いてなかったよね?何歳なの?」
「今年で18。」
「じゃあギリギリ入学できるじゃん。一緒ににしようよ!」
「いやだ。なんであんなとこに行かなきゃならんのだ。しかも俺なんか一瞬だけ来てすぐ卒業とか何モンなんだって話。」
「でもあそこは大学部まであるし、そんなすぐにいなくなることはないよ。」
「だとしても、俺は学校なんて行きたくない。まだ汚れ仕事をしていた方がマシだよ。」
「でも意外と行ってみると楽しいかもしれないよ?」
「どうだかな…」
これからリンナが行くところなので強く否定はしないが誘いは断る。
「もう…素直に言わないとわからない人なの?」
「人間誰でもそうだろ。」
「じゃあ言うけど…一人で行くのは不安だから一緒にきて欲しいの…ダメ?」
くっ…少し首を傾げて頼み込んでくる仕草がたまらなくかわいい。くそう、ずるい。そんな頼み方されると断りくくなる。
「あーもう、ずるいってそうゆう頼み方。わかった。行くよ。行ってやるから。」
「本当に!ありがとう!」
向日葵のような明るい笑顔で感謝される。本当に可愛い奴は何をしても許されるってのは事実らしい。とにかく俺も入学手続きをしに行かなくてはならなくなった。全くもってめんどくさい。
「昼食ができましたので机の上に並べてください。」
「はーい!」
「今やります。」
(『まぁ、天使の使者と接触する機会ができてよかったじゃないですか。』)
(「うるせぇよ…」)
他の二人に聞こえないように小声で言う。
♢♦︎♢
(あぁ、本当になんでこうなったんだ…)
目の前には黄月と同じ制服。そして隣には女子用の制服。渡された入学手続きの完了証には翌日から参加するように書かれている。
「明日からって、幾ら何でも早すぎるだろ…」
隣ではご機嫌そうにすでに制服に裾を通している。
「せっかく届いたんだからトカゲも着てみなよ!」
いつの間にか呼び捨てになってるし…ほんと現金なやつだな。
促されるままに制服に着替える。久しぶりの制服はやっぱり憂鬱で窮屈に感じ、息が詰まりそうになる。
「どう…かな?」
「うん!似合ってるよ!」
「そうか…ならいいかな。」
とりあえず相手の意見に賛成してみる。
「二人とも明日は速くなりますのでお早めに就寝ください。」
「わかってます。」
もう一人はきいていないようすだった。
♢♦︎♢
こんなに来てほしくない朝はいつぶりだろう。すべての動作にため息が付いて回る。
「それじゃあ行ってきます。」
「爺や、しばらく一人になっちゃうけどよろしくね。」
「お二人こそ気をつけていってらっしゃいませ。」
路地裏から表に出て王都の次の大きい建物に向かう。そこまでの道はそれなりにあるが裏路地のようにわかりにくいわけではないので迷うことなく学園に着く。
「ここか…」
同じ制服を着た人たちがどんどん校門をくぐって行く。隣ではもう待ちきれないというようにワクワクした表情で立っている。
「ねぇ!早く行こうよトカゲ!」
「あぁ、行くよ。ところで最初はどこに行くかわかってんのか。」
「えーっと…どこだっけ?」
「…職員室な。」
憂鬱な気分を引きずりながら学園に入っていく。
「あなたたちが今日から入学する、リンナ・ハーデントさんとトカゲ君…でしたね。ではコルナさんは中等部の2年5組、トカゲ君は高等部の3年2組に行ってください。」
職員室で自分たちのクラスを聞きそれぞれの場所に向かう。
「じゃあ昼食の時にね。」
「うーい。」
高等部3年2組の教室に行くとちょうど話が終わったらしく生徒たちがすこしざわついていた。全くため息しか出ないが扉を押し開ける。
「あーー!お前は先週の!」
入っていくなりいきなり大声で叫ばれる。
「あぁ…なんだ池ぽちゃか。」
そこには転生した初日に噴水に吹っ飛ばした赤髪の女子がいた。
「池ぽちゃってなによ!投げ入れたくせに!」
「久しぶりに会って嬉しいのはわかるが落ち着けよ。」
「嬉しくないわバカ!」
「あー座りなさい。サナンさん。」
教師らしき爺さんに言われ、サナンと呼ばれた女子が座る。
「自己紹介をお願いします。」
「トカゲだ。以上。」
これ以上は言いたくないのでこれで終わらせようとするが、
「トカゲ君。もっと自分を知ってもらいなさい。そうでなければみんなもどう接して良いかわかりません。」
めんどくさいと思いながらも補足していく。
「あー…好物はチーズ、嫌いなものは特にない。だが、苦手なものは人間だな。これでいいか?」
「いいわけないでしょ!そんな言い方で!しかも人間が苦手ってただの人間不信じゃない!」
立ち上がって抗議したのはサナンとか呼ばれる赤髪の女子。
「あ?」
不機嫌な時に理由も知らない奴から急に叩かれたので殺気を飛ばしてしまう。
「何?やる気なの?」
「今のでビビらないとはな。いいぜ、戦ってやるよ。」
「二人ともやめなさい。」
「無理だな。」
「ムリね。」
二人が言い切ると、クラスの人がざわめき始める。
「いいぞー!やれやれー!」
「お前は嬢王様と転入生どっちにかける?俺は嬢王様に決まってますよ。」
「うわ、入学早々嬢王様に喧嘩売るなんてなんて野蛮な人なんでしょう。」
そのざわめきはいつしか歓声のようになり、引くに引けない状態になっていく。まぁ、引くつもりなど毛頭もないが。もう誰にも教師の制止するこえは聞こえないようだった。