4、初めての犯罪
4日目です。
今日もよろしくお願いします。
とりあえずボスの部屋を後にする。
これからのことを考えると足が重いがそれでも言ったからにはやるしかない。
バディ曰く、なかなかにいい報酬が受け取れるようだが、反対に犯罪者になるというリスクを犯すことになる。なので精一杯バレないように努力するということでなんとか自分を納得させる。
まずはこの施設について色々と聞きたい。
「ボスはここの施設を自由に使っていいって言ってましたが、その施設ってどこにあります?」
わからないことはわかっていそうな人に聞くのが一番。ということでマスターに聞いてみる。
「それはここからさらに下に行ったところにありますね。武器や防具、簡易的な生活スペースなど様々な施設がありますのでどうぞお使いください。」
そういうと階段の場所も教えてくれた。
「ありがとうございます。それではこれからもよろしくお願いします。」
「人生において、焦りは禁物です。あまり早合点しないことが吉ですよ。」
「そうですね。頑張って依頼をこなしてきます。」
早速、地下の施設に向かう。そこは上とは違った活気があり、なかなか面白そうな場所である。まぁやっぱり使うのには当然金が必要でして。
「結局、どこもつかえないっていう。」
ベンチみたいなところに座り一人ぼーっとするしかなくなった。
「あ、ところでバディ。」
(『なんでしょうか?』)
「そういえばなんで臭いなんで初対面で言ったんだ?」
影の中で少しためらった反応をしてから相棒は話し出した
(『…嫌な臭いがしたんです。マスターからは普通の人とは違う、何かこう、黒くおぞましい臭いがしたんです。』)
少し二人だけの時間ができる
「やっぱ、バレるもんはバレるんだな。」
ため息まじりに続ける。
「俺は、多分、心のどっかではこの力を振り回すことを楽しんでいたのかもしれないな。それに気づくのに随分と時間がかかったけど、気づいたところでもう止められない。だからお前が気になったのは俺のそうゆうとこだと思うぜ。」
(『………』)
バディからの言葉はなかった。まぁあったからってどうするとこもできんか。
「ちょいとお隣いいかい?」
ナイーブな気分になっていると長身の痩せた男が隣に座ってきた。
「あんた、ここにくるのは初めてか?」
「はい。依頼のために武器とか揃えようとか思ったんですけど、あいにくお金がなくって…」
「初めてってことは今日来たトカゲでいいんだよな。」
「そうですけど…そのトカゲってどうゆうことです?」
「そこから話すのか…いいか、これは暗号っていうのもあるが、階級の意味も含まれる。」
タバコを吸いながら男は続ける。
「とうぜん、一番上はボスだ、これはゆるがねぇ。で、トカゲっていうのがそのボスの次の階級に当たる。」
あぁ、そんなに高いくらいだからみんな驚いてたりしたのか…とここでようやく納得がいく。
「その次にウロコ、普通の雇われ屋だ。1番人数が多いのはここになる。で最後に情報屋のヒトミ。一番需要が高く一番忙しいと思ってる。」
「思ってるっ言うことはあなたは…」
「そうヒトミ。全くあっちへ行ったりこっちへ行ったり大変だよ全く。」
男はそうぼやく。その時
グゥゥゥゥ
腹の音がなった。
「なんだよお前腹減ってんのかよ。」
そういえば昼から何も食べていない。
「だったらこっちこいよ。奢ってやる。」
「え?いいんですか?」
「あぁ。あと武器とか防具は貸し出しで返却時に金払うってシステムもあるからそれ使え。」
さすが情報屋と言うだけあって色々な情報をくれる。
「すいません何から何まで。」
「いいよ、あんたは俺たちの期待の星だし、下っ端なりに応援しやりたいんだよ。」
「?期待の星って…どうゆう…」
「今は気にすんな。ここで飯にしよう。」
初めての異世界での食事。と言ってもデザートなどの趣向品こそないがもともといたとことあまり変わらない。翻訳してもらいつつラーメンのようなものを頼む。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はヤキデ・セウ。ちなみに下がファーストネームな。」
「俺は…俺の名前はない…ですね。というか捨てました。」
「と言うと?」
「えっと…変な話なんですが実は一度死んだことがあるんです。なので以前使っていた名前はその死んだ俺のもので、今生きてる俺のものじゃないと思うんです。」
「だから捨てたと…じゃあ新しい名前考えないとな。」
「えーと、適当にトカゲ、とかは?」
「んー10点。センスがないし安直過ぎる。まぁいいよそれでいこう。よろしくトカゲ。」
「こちらこそ宜しくお願いしますヤキデさん。」
初めてこっちの世界でできた悪友は快く握手をしてくれた。
食事も終え、武器や防具の貸し出しもすみ早速貸し出された防具一式を着てみることにした。
「どう…ですかね。」
「んー、まぁいいんじゃねぇの?防御こそ心もとないがトカゲなら大丈夫だろ。」
服装としてはフード付きで裾が膝のところまである黒のコートと黒の長ズボン、それに顔を隠すための仮面を借りた。
「しかし武器のセンスはだいぶ刺激的だねぇ。」
片手で持てるくらいの大きさの鎌が鎖で小さな重りにつながっている、いわゆる鎖鎌というやつだ。
「まぁ扱えるっていうなら別にいいんじゃないか?これでも。」
着替え終わったので店を出てヤキデが使っている宿屋で依頼の確認をする。
「誘拐が最初の依頼とか、無茶すぎないか?」
ヤキデなら少しばかり頼れるかと思ったが冗談を言っているような反応をされた。
「ボスにこの依頼がこなせたら認めてやるって言われまして…」
「それなら仕方がない。西門っていうとここから少し距離があるな。歩いて行くなら数時間はかかるぞ。しかも内容から察するに馬車からさらって来いってことだよな。」
そのためなのか貴族の家門のようなものが大きく載っていた。
「まぁ、ボスって意外と人を見る目あるから、なんとかなるって。」
ケケケとヤキデは笑うがこっちは仮面があるとはいえバレるのではと気が気ではない。
「まぁ今日はここに泊まれよ、ちなみに出世払いな。」
「わかってます。」
まぁ明日は明日の風が吹くとゆうし、当日にかけることにする。
♦︎♢♦︎
実行日当日。西門には予定時間の2時間前に着いた。
昨日1日かけて装備や武器の扱いに慣れて行ったが問題は誘拐までの手順だが…
『マスター、何か策はあるのですか?』
「んー?ない。」
『ない…ですか。では私の方から提案させていただきます。』
バディがこうゆうことに真面目に考えるのは少しばかり意外に思う。
『まず、マスターが狙いの馬車に轢かれます。』
前言撤回。こいつ真面目にやってない。
「おい、なぜいきなりそうなる。」
『そしてターゲットが駆け寄ったところで拉致します。』
「話きけよ!なんで死ぬときといい轢かれなきゃいけないんだよ!」
『マスター1人だけで行った場合一番確率が高いです。』
「どうしたらそうなるんだ全く。それに俺は久々に体を動かしたい気分だから当たって砕けろの精神でやるよ。」
『そんなこと言って失敗したらどうするんですか?』
「んなこたぁ失敗してから考えるよ。」
『マスターもマスターで無茶な案を考えますね。』
「まぁなんとかなるって。今までなんとかなってきたから。それより、きたぞ。」
西門より渡された資料同じ勲章の馬車が走ってくる。
「んじゃ、一仕事やりますか。」
悪としての第一歩をここから踏み出していく。