プロローグ
初めまして、cloverです。
今回、初投稿させていただきましたが、なんでしょうか……投稿しただけなのに手の震えが止まりません……
と、いうことで小説を書くことはまだまだ未熟ですが、楽しんで頂けると嬉しいです。
登場人物
大宮冬華
学校;千葉県立黒楊高等学校
住所;群馬県から千葉に引っ越し、千葉県博伍市のアパートに住んでいる。
性格;自由人、本作主人公
織田桐紅葉
学校;千葉県黒楊高等学校
住所;冬華と同じアパートで冬華の隣の部屋 桜那とルームメイト
性格;陽気……いや、能天気かな?
妙海桜那
学校;千葉県桜木市音大附属高校
住所;冬華と同じアパートで冬華の隣の部屋 紅葉とルームメイト
性格;自分を信じれる信念とその信念への圧倒的自信がある
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何気なく少し早めに家を出た私は、ただ一つの目的地へと向かう。マンションのホールを出ると、いつの間にか満開になった桜の木が風に揺らされ、花びらがひらひらと散っていた。
大宮家の引っ越し先であるこのマンションは、16階建ての高層マンションとなっている。マンションの前方にある公園の広場は中央の道を挟んで左右に別れている。と言っても、公園ってほど遊ぶ場所はなく、遊具もない。ただの草原と言った方があってるのではないだろうか。
その公園を取り囲むようにして木が植え付けられている。その木はどうやら桜の木だったようで、鮮やかな桜並木が完成していた。
桜か……
前に住んでた群馬の家では近くの公園でよく桜を見ていた。
桜は何回見ても飽きない。
春の仄かな暖かさと桜の鮮やかさがマッチして毎年私の心を穏やかにする。そんな桜が私は好きなのだ。
しばらく、桜の木を眺めていると桜の影に隠れるように、1人の少女がベンチに腰をかけて本を読んでいた。
綺麗────
率直にそう思った。
外見は外国人にしか見えない。もしくはハーフ。
サラっとした銀髪は、編み込みもしていないはずなのにどこか纏まりを感じさせる。肩甲骨辺りまでしかない純粋なセミロングはどうすればこんな綺麗に髪を伸ばせるのか、つい疑問に思うほど艶やかだ。彼女の髪に懐く花びらは、1本の髪の毛の感触を毛先まで堪能して離れていく。彼女から離れた花びらは少し悲しそうで、可哀想。それらはまるで、一つの景色のように美しい。
『木の下で本を読みふける』なんていうシチュエーション、この世界ではありふれているはずなのに、彼女の姿は絵になってみえる。一枚、二枚と本を読み進める彼女の仕草は、漸次、私の心をひいていく。
この時間が永遠に続くを心の底から願ってしまう────
「あれ? 先に行ったんじゃなかったの? 冬華」
……え?
不意に、背後から声が投げかけられた。
後ろに振り向くと、怪訝そうに私を見てくる紅葉の姿があった。
────ああ、そうか。
つい、夢中になってしまったんだ……彼女に。
「なにボーとしてるのか知らないけど、はよ行かないと遅刻するよ?」
「あ、ああ、うん。すぐ行く」
……いいや、もっと見ていたい。すぐ行く、なんて思ってはいない。けれど、私は学生だ。彼女も制服のようなものを着ているようだけど、ここら辺では見ない制服だ。生徒ではない。対して、私は小学生から数えて10年続けてきた生徒。まだまだ、彼女には遠い。学校に行かなければ、と強迫観念を押し付けられる学生なのだ。
取り乱した息を吹き返すように深呼吸を一つ、二つ、三つ。そして、握りしめた拳を胸に当てる。
おし、行こう。
再び、桜と彼女から踵を返すと、唐突に強い向かい風がふいてきた。その向かい風に足元を気を付けて前進すると、ふと、私の脳裏に彼女が過った。
『もし、今彼女がいる方向を向いたら……』
風が地を這う花吹雪を舞い上げて、その花吹雪が再び彼女の姿を彩る模写は、想像すればするほど振り向きたくなる。
もう一度……
────私は思い切って振り向いた。
すると、どれだけ強い向かい風であろうと微動だにせず、むしろ花吹雪が装飾されているかのようで、依然として本を読み進める彼女の姿があった。
そして、再び私は同じ気持ちに陥る。
なんて美しい景色なんだろうか────
読んで下さり、ありがとうございます。
ああ、ついに書き始めてしまいましたよ……
今回はプロローグでしたが、冬華の現実と「桜色の幻想」はこれから書いていくと思うと楽しみになってきます。
断続的ではありますが、どんどんあげていくつもりなので、最後まで楽しんで頂けると光栄です。
冬華が織り成す、桜色の恋と冬華が見る現実とは隔絶された幻想を篤とあれ!