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ヒヤリはっと顔面と、顔面詐欺師  作者: カサハリ職人
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何故に会ってしまったのか。

またまたやって来ました、ヒヤリはっと。


さあさ、さくさくいきたいですよ~。


カサハリ妄想劇場、始まり、始まり~☆

ドーガが7歳になった年から、模擬刀を使った武器の訓練が始まった。

3歳から5歳迄は遊びの中に実践に近い訓練に似た動きを取り入れ、基本的な体の動かし方を身に付けていく。同時に口頭での勉強も始める。

入り方が子どもに則して無理がないため、すんなりと受け入れられた。

ドーガは遺伝的にも恵まれていたため、教えられたことはスポンジが水を吸収するように、次々と身に付けていった。その為、5歳頃には隣接する領地から来るゴロツキ位なら、大人が来るまで持ちこたえられる位にはなった。

見た目のせいで友達と呼べるものはいないため、心にポッカリと穴が開いたような寂しさがあったが、訓練により充実した日々が続いていた。




そんなある日のこと。

午前の勉強が終わり、午後の訓練開始までの間に、体術と模擬刀を使った自主トレを行っていた。場所は自宅から少し離れた丘の上だ。ここからは辺りが一望でき、何かあったときすぐ対処できる。例えば自主トレに夢中になり、探しに来た家人を直ぐに見つけられるとか、家人に見つかるとか。

一段落し、汗をひかせようと風にあたる。

肌を滑る風の感覚が心地よい。

目を細めると動く何かが見えた。

よく目を凝らすと人だ。2人いる。前を行くのは大きさから子どものようだ。黒髪を振り乱し、全力で駆けている。その後ろからは大人だ。子どもの倍以上ある体格の男が追いかけている。

ただ事ではない様に、ドーガは模擬刀を手に突っ走る。

子どもが追い付かれ、地面に転がる。

空かさず男がその上に馬乗りになり、着ている服に手をかける。

子どもは両手で抵抗しようとするが、洋服は破かれ、組敷かれてしまう。それでも脚をばたつかせ抵抗を試みる。

苛立った男が拳を振り上げ下ろそうとしたとき、ドーガが追い付いた。

持っていた模擬刀の、刀身で男の横っ面をぶっ叩く。

もんどりうって倒れるが、叩かれた頬を押さえて直ぐに体を起こす。

迎撃兼子どもを守るために間に入ったところ、目が合った。


「ぎゃあぁぁああ‼お助けおぉぉおお‼」


子どもを追いかけていた倍位の速さで逃げていった。

ここでも顔面の威力は発揮されたらしい。

ちょっと少年の心が傷ついた。

ドーガはゆっくりと持っていた手拭いで顔を隠すと、子どもに向き直った。

頭は葉っぱやら草やら土やらがついている。服はチュニックの胸元が破けて臍まで見えている。所々汚れているが、目立った怪我はないようだ。

ホッと胸を撫で下ろすと、立たせようと手を貸す。

立ち上がった子どもを見ると、自分と同じぐらいだった。

夜を想わせる真っ黒な髪。冬の湖面のような冷たいアイスブルーの瞳。日の光に透けそうな肌。夜の妖精や、湖面の妖精は、お伽噺の中ではとても美しいと言われているが、それらも逃げ出すであろう完璧な美しさがそこにはあった。

普通の反応ならここで息を飲むだろうが、ドーガは斜め上を行った。

毎日悪魔だ死神だと言われ、毎日見る自分の顔や、濃いぃい顔の一族と住んでいるため、外見の美醜に関してぶっ飛んだ感覚を持っていた。その為、その子どもを見ても何の感慨もわかなかった。それより、子どもの安全が保証された今、午後の訓練が気になり出した。


「見た感じ、大丈夫そうだな。一人で帰れるか?俺、午後の訓練があるから。じゃあ。」


なんて、くるっと向きを変えて走ろうとしたら、


「ぐぇ‼」


ヒキガエルでももっとましな声を出すだろうも思える音が出た。

涙目で見ると、子どもがドーガの襟首を掴んでいた。

もの凄く不思議そうな顔をしてドーガを見ている。

華奢な外見からちょっと意外な位の力の持主らしい。

ドーガはかなりの焦っていた。

このままでは訓練に遅れて罰則が待っている。そのせいで内容が削られるのは嫌だ。


「俺の顔、なんとも思わないのか?」


言った後に後悔するような顔をする。


「・・・?顔?目、鼻、口、耳・・・。無事についてるぞ。怪我がないみたいで良かったな。俺、急いでるから。」


じゃあ、と1歩踏み出そうとすると、また引っ張られた。

2回目ともなると、ちょっとイラッとした。向き直ったとき、盤若の面だったとしても、仕方ないと思う。


「・・・急いでるんだけど、何か?」

「俺も連れていってくれ。」


相手は怯むことなくドーガに言った。


「頼む。俺も連れていってくれ。」


2回目は切羽詰まったかのようだった。

ドーガは、さっきのことが怖くて離れたくないのかな?と思ったので、少し位ならいいかと、快諾した。


「俺、ドーガ。」

「俺はジオ。さっきは助けてくれてありがとう。」


ジオは少年らしい笑顔で感謝した。その笑顔も、見る人が見れば卒倒ものだが、ドーガは笑い返すだけだった。こちらの笑顔は見る人が見れば竦み上がるものだが、ジオは全くそんな様子はなかった。

ドーガを呼ぶ家人の声がして、文字通り飛び上がった。

2人は全速力で声の方へ向かい、突っ走っていった。






出会ったのはまぁ、キレイ処。


え?美形描写が残念?

おう!ここにもヒヤリはっと‼


読んでいただき、ありがとうございました。

ではまた、土曜日に。

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