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~導入~チャプター1

 「自惚れるな、小僧」


 年食った爺の声が響く。

 

 「俺に不可能はない」


 それに対して少年は応えた。

 この2人は親子である。


 「お前には才能が無い。知恵も無い。技術も無い」

 「だから、探しに行くんだ! チノ遺跡の場所をな!」


 チノ遺跡とは、彼の住んでいる村の創設者のハテノ・イン・バーターが、この世界のバックアップをする事を目的として建造されたとされる図書館に該当する施設である。

 あくまで”されたとされる”なのは、今現在までに所在が明確にされていないからだ。つまり、伝説上の建築物なのだ。

 そんなあやふやな物を少年が存在すると断言できるのには理由がある。それは、彼のもつサイコメトリー超能力が関係する。

 この力は物体に宿った思念や活動の履歴を読みとることができる。この超能力を持っている人間は記録に残っている限りではハテノとこの少年だけである。少年の名前はアラン・Aエンシェント・レコードという。彼はハテノの遠い子孫でもあり、目の前にいる爺の息子でもある。


 「チノ遺跡だと、……見つけられるはずがない。何十年間も探し続けているのに小僧ひとりでなにができるという!」

 「爺も知っているのだろう。俺には人知をしることのできる超能力がある。それで見えたんだよ、ハテノの姿をな。村の大樹もハテノがガラパゴスの種を植えていたということも、俺にはすべてがわかる」

 「小僧それがうぬぼれという。安易な情報は思考力を奪う。理性を奪い、自我さえも奪う」

 「だったら爺の店の時計なんて側が違うだけで中身が全て同じじゃないか。それに28箇所の省略化できる機構に、73個の無意味で無駄なパーツ。一番気にくわないのは全てのギアがかみ合っていない作るだけ無駄な時計のガラクタだ。特に、これが店で一番売れているのが理解できない」


 爺こと、クロノ・A・レコードは、ハテノ村で時計職人をしている。クロノの時計は何故だかバカ売れしている。ここは田舎だというのにわざわざ買う為だけにここに来る人までいる。

 クロノの時計は、正確にして確実に時を刻む。時間の流れは空間や時点によって一定ではないといわれていて、その状況下においても正確に刻むことができる。最もそのずれは一般人は気づくことすらないので逆に持っているだけで変人扱いされる。いわば、高性能なおもちゃのようなものだ。


 「いくら中身がわかったところで、小僧お前には作り上げることができない」

 「俺はこんなくだらないものは作る気はいっさいない。店の後を継ぐ気はもっとない」

 「だったら勝手にしろ。この糞野郎」

 「ああ、出て行ってやるさ。糞爺」


 アランはドアを乱暴に開けて外に出て行った。

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