表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の章  作者: 叢雲ルカ
緑の章②
8/11

序章 再びの始まりの扉

「この世界のプリンむちゃ美味いな」

 何故だ。

 何故、こうなってる?

 俺の名前は皇トオル。

 17歳。高校2年生。

 今から3年前夢の世界で旅をした。

 そう、夢の中でだ。そこの所を忘れないで欲しい。

 夢とはあの夢だ。夜寝て見る夢だ。

 そして、ある理由から、その世界から離脱した。

 それから3年が経つ。

 で、話は戻すが、何故だ。

 目の前には黒いスーツ姿の男が、プリンを食べている。

 名前はルイ。

 その夢の世界の住人だった。

 それが、俺の夜食のプリンを地べたに座り、左手にスプーンを持ち、美味しく食べている。

「ん? 何で、可笑しな顔しているんだ?」

「するわ! 何で、夢の住人がここにいるんだよ」

「ああ、その事ね」

「それ以外ねーだろうが!」

「まあ、そうだな。いやな。俺って、特別な死神じゃん」

 ルイは死んで神になった存在縮めて死神なのだ。

 死神は夢の世界パラダイス・ワールドで永遠に魂が留まっており、通常夢の世界から出られない。しかし、ここにいる。

 その疑問を俺はのん気な男にぶつけている。

「んいやな。俺も仕組みは分からないんだが、記憶を持った死神は、神様に許可貰えれば、こっちの世界に行けるんだ。但し、肉体は仮初だからな。鏡には写らないし、あまりこっちの世界に干渉しちゃいけないんだ。力も扱えないしな」

「って、思いっきりプリン食べているじゃん!」

 もう1度言おう。俺のプリンだ。

「ああ、トオルが食べた事にしたら、何も問題ないはずだよ。全てご都合主義で話が進むって訳だな」

「あんたが言うな。あんたが。それで、そんなご都合主義を並べて、何の為にここに来たんだよ。ただ、俺をからかいに来た訳じゃないんだろう?」

「ああ、違う。ご馳走様。実はさ。ルルがさ」

 プリンを食べ終え、カップを置く。

 俺のプリンが……。

「ルル! ルイの世界とは違うだろう?」

 こっちの世界をリアル・ワールドと呼ばれているが、ここの世界は無数の世界で成り立っている。

 いわゆる、平行世界って奴だ。

 それが、パラダイス・ワールドにも同じ事が言え、パラダイス・ワールドも複数の世界が存在する。

 複数の世界が無限に、夢の中で展開していると言う事だ。

 ルルとルイのいる世界は違い、世界と世界を行き来するのは容易では無かった。

 今目の前に、例外がいるが……。

「ああ、まあ、その通り何だが、どうにも来ちまってな」

「ルイの所に?」

「ああ。ほら、ルルの世界にも、情報屋がいただろう? その情報屋に聞いて、手引きして貰って、こっちに来たんだと」

「死神嫌いのルルが、どう手引きしたんだか、謎何だが?」

「俺もそう思う。んで、死神嫌いが死神である俺に無理矢理頼んだんだ。『勇者様を再び召喚しろ』って、んで、話が最初に戻るって訳」

「なる程、話の筋書きは何となく分かった」

「そりゃ、良かった」

「でも、何で、急に、3年も経って」

「こっちの世界では3年か、こっちはたかだか1年位何だが、まあ、いいや。トオルはどうしたいんだ?」

「俺はもう、子供じゃないし、今更、向こうの世界に何て、そもそも、俺を連れ込む事何て、出来るのか?」

「うん。それは簡単に出来るよ。閉じたのは俺だからね。まあ、トオルにそのつもりが無ければ、俺は開ける必要無いな」

「開けたくないのかよ」

「いや、そんな事は無いけど、無理強いはできないだろう? 嫌なら開けないで、そのまま帰るよ。ただな」

「何だよ。ただって」

「ルルがな」

「勿体ぶるなよ」

「ルルはパラダイス・ヒューマンだろう?」

「うん」

「人間の思いの塊により、出来た存在何だが、ルルはもう時期消えるだろうな」

「何だよそれ!」

「さっき言った通り、人の思いの塊って、事は、人が思わないと存在が出来ない。今、ルルを思ってくれている人がいないんだよ。これは俺の勘何だが、ルルを作り出したのは、トオル何じゃないのか?」

「俺?」

「そうだ。好きなマンガやゲーム何かにルルみたいな子いなかったか?」

「うーん。そう言えば、いたかも」

「その子が好きだっただろう?」

「まあ」

「それが、出来た発端だな。トオルが戻ってしばらくは自分を保っていたが、次第に弱って焦って、召喚するように頼んだんだと思うよ。まあ、それ以外にも理由はあるみたいだが、トオルの病気が治ったかどうかも分からないのに、頼み込んだのはそんな理由じゃねーかな」

「ちょっと、待て、何で、それを早く言わない!」

「んだってよ。トオルにも心境の変化とかあるだろう。こっちは既に3年が経っているって事は、17歳だろうガキじゃないんだ。嫌なら俺は開けたくないって訳。ルルには悪いが適当に言って、元の世界に戻すつもりだった」

「むざむざと消すなら、それは残酷だよな」

「かもな。でも、死神はパラダイス・ヒューマンを擁護する必要が無いんだ。もっと、言えば理由が無いんだよ。そりゃそうだろう。数多いるパラダイス・ヒューマンに対して、死神は半分もいない。人間を導く仕事をしていたら、そこまで、手が回らないんだよ。だったら、役目を終えて、消えて貰った方が、こっちとしては都合がいいんだ。だから、無理に助けないんだよ」

「俺は……」

「なあ、良かったら聞かせて欲しいんだが、何故、迷っているんだ?」

「まあ、確かに、向こうに行くのに、損は無いんだけど、ただ、俺に3年前の気持ちが無いんだ」

「冒険に対する熱い気持ちだな」

「ああ、昔のようにゲームもマンガも数が減った。今は、動けなかった分動きたいから、サッカーやっているんだ」

「へー」

「疲れとか、そんな物は無いのは分かっている。向こうでも走る事が出来るのも分かるけど、向こうに行くなら、今度はスポーツを沢山やりたいと思う。もう、昔のように命を懸けて戦いたくないんだ。ふくちゃんみたくなりたくないし、死にたくもない」

「かつての友の道を辿るのが怖いか。まっ、そうだろうな」

「でも、ルルの事もあるし」

「迷っているんだな。じゃあ、こうするのはどうだ? とりあえず扉は開ける。こっちの世界に行って、ルルの存在を安定させる。その後、通うか通わないかはトオルが決めろ。ご都合主義で、扉を開けないでいられる方法もある。鍵さえ掛けなければ、ルルは存在し続けられる」

「そんな事、出来るのか?」

「世界がご都合主義で出来ているからな。それは出来るよ」

「だったら、それで、お願いします」

「分かった。んじゃ、トオルが眠った時に扉を開けに来るよ。その間、俺はこの世界を見てるから」

「おい」

「全ては、ご都合主義だよ。んじゃ、後でな」

 ルイは窓から再び出て行った。

「まったく、勝手な奴だ。でも、又、行けるのか、あの世界に」

 俺は不安と楽しみを混同させていた。


 俺は、2時間後に横になった。

『ああ、この世界は空が明るくって、星が見えないや。さて、始めるか』

 俺はなかなか寝付けなかったのか、夢と現の間にいた時、ルイの声がした。

『悪いな。無理強いさせて』

 ルイは俺の身体に何かをしていた。

 その後、すぐに俺は熟睡したので、やり方はよくは分からなかったが、俺は、穴に落ちた感覚に陥った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ