序章 始まりの扉
世界は1つではない。
世界はいくつもあり、描かれる物語はその断片に過ぎない。
この物語もまた、世界の断片である。
「僕は何の為に生きているのだろう……」
僕は同じ事を考える。
僕の名前は皇トオル。
14歳。A型。
典型的な日本人体型だが、身長は平均より低い。
ヒョロヒョロとしてやせ細り、顔も血色が悪い。
顔色の悪さを除いても、あまりカッコよくはない。
どのパーツも普通すぎるからだ。
ほっとけ!
白い部屋に白いベッド。
僕は病院のベッドに寝ている。
僕の身体はある日突然壊れ、病気になり入院を強いられた。
両親は献身的に僕を看病してくれる。
とても有り難いが、とても心苦しい。
そんな両親に八つ当たりをしているからだ。
この身体が自由になれたなら…
窓の外から退院を喜び、大地を駆け回る姿を見ると、とても羨ましく思う。
そうやって笑いたい。
僕の笑顔は乾き切っていた。
僕がいる世界がそうさせた。
僕は何の為に生まれたのだろうか?
そう思い今日も眠りにつくのだ。
ああ、自由に駆け回るテレビゲームの世界に入りたい。
もしも、神がいるのなら、僕を解放して下さい。