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ひとりで出来ない?
子供に近づくと、警戒したように里香を見るが、後ろには退かない、逃げない。
そんな様子に意地っ張りな子なんだ。と、里香は考える。
「もう、遅いから寝ないと駄目だよ」
それとも、ひとりじゃあ着替えられないかな‥‥。
里香が言うと子供は、馬鹿にされたと思ったのか、里香が出した寝巻き代わりのTシャツに着替え始めた。
今までの事が嘘のように、バッ、バッ、と思いっきり服を脱ぐ。
投げ出された着物を一枚一枚拾って畳んでいるところで目が合った。
どうやらTシャツが上手く着られないようだ。
悔しそうに里香の顔を見ていたが、
「ハイ、頭出して‥‥」
そう云うと素直に頭を出した。その上に服を被せ、頭が出て、腕を出した。
うん、可愛いかもしれない。
そう思うが、きっと親は心配しているだろうな‥‥。
まあ、兎も角、面倒がない内に寝た方がいい。と、里香は子供を抱き上げて布団に入った。