どうでも良いこと
・注意・
以下の方は、この作品を見ないでください。
・甘くて甘くて甘いだけの話に鳥肌が立つという方。
・恋愛は実らない方が美しいという方。
・バッドエンドをこよなく愛するお方。
・「どうでも良い事だけど」が口癖のお方。
それ以外の方は、どうぞご覧ください。
時間を無駄にしたと思われても、当方は責任を負いかねます。
「どうでも良いことだけどさ」
彼女はそう前置きして続ける。
「偶数と奇数、どっちが好き?」
「うわぁ、マジでどうでも良いし」
彼女の目が結構マジっぽいので、俺は素直に答えてやることにする。
「奇数だな。二で割り切れないっていう、捻くれた感じがたまらなく良い」
「それじゃあ、またどうでも良いことだけど」
やはり彼女はそう前置きをする。
「カレーライスとハヤシライスだったら?」
「カレーライスに決まってんだろ」
「やっぱりどうでも良いことだけど」
再三、そう前置きをする。マイブームか何かだろうか。
「頭の良い女と悪い女、どっちが好き?」
どうやら、ここからが本題らしい。
「良い女だな。かといって良すぎるのも良くない」
「じゃあじゃあ、どうでも良いことだけど」
しつこく、そう前置きをする。
「運動が出来る女の子と出来ない女の子は」
「出来た方が良いな。一緒に身体動かせるならデートの幅も広がるだろ」
「それじゃあ最後ね、どうでも良いことだけど」
最後にもやっぱりそう前置きをされた。
「料理の出来る子と出来ない子だったら?」
「それは断然出来た方が良いだろ」
「そっか……」
彼女は心なしか傷ついたようで、顔を俯かせる。
彼女は頭が悪く、運動も出来ず、料理も殺人級にヘタクソだ。
「あのさ」
だから俺は、こう言ってやる事にする。
「どうでも良い事だけど」
「あー、それ私の専売特許」
突然マネされた言葉に、少しご不満の様子だが、まあそれでも。
俺のタイプとは全くかけ離れた目の前の女の子に、ちょっとしたサプライズを提供してやろうかと思う。
「それでも俺、お前のこと結構好きだぜ?」
バカはバカでこそバカだからバカである。
ゆえにバカらしくバカバカしく生きるのだ。
と、そんな名言めいた事を書いてみたところで、意味不明だし絶対に名言になりそうもないけど、メンドイからそのまま残しておく俺は、すでにバカを超越したんじゃないかと思う。
バカを超越したバカによる、バカップルのお話でした。