捨てられた我が子
子供が産まれて半年後。
私は、夫の部屋にピアスを落としたかも……と、二階の夫の部屋に探しにきた。
確か、ちょっと外して仕事机の上においたはず……と、探していたら、廊下からメイドの話し声がきこえた。
「だって、双子だったんでしょう……しかも、男の子。」
「こういう旧家は、双子を嫌うから、その話、本当かもしれないわね…」
私は、ドアを開けて、問いただした。
「なんの話?」
メイドたちが、驚いて、下がろうとするのを引き止めて、無理やり、夫の部屋に入らせ、鍵をかけた。
「本当かもって、何が?言わないと、クビにするわ!」
「お嬢様!」
脅した上で、ダイヤモンドのピアスを片方づつ二人に握らせる。
「これを持って、宝石商へ行きなさい。買い取ってくれるわ。教えて、どういうことなの?」
二人は顔を見合わせて、話し始めた。
「私たちから聞いたって言わないでくださいね。」
メイドたちの話では、子供は二人とも生きていて、一人は、布にくるまれて、連れ去られたのを、助産婦が見たというのだ。
私は、夫に問いただして、養子に出されたことを確認した。なんと、おじい様まで、それに加担していた。
男子の跡取りが二人いれば、あい争って、後々、面倒を引き起こす。
それを防ぐため、とかいうくだらない因習のために。
私は、息子の行方を探し、あの人に、取り返して来て、と頼んだ。
あの人は、息子を取り返して来てくれたわ。
そして、今度こそ駆け落ちしたのよ。子供たちを連れて。
幸せだった。とても、とても、幸せだったわ。
駆け落ちした後の生活は、モンテカルロ編で。