表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
片割れがいない世界で君は笑う  作者: 愛愛 愛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/9

0.5章『——』





冷たい海風がそよぐ。

廃墟と化した倉庫に男と女がいた。




「やぁ、やっと会えたね!愛しの姫君!…元気にしてたかい?」

「…。」

「あらら?もしかして風邪気味?最近冷え込むからね。暖かくしないと。服でもプレゼントしようか?なぁにお金はたくさんある」

「…相変わらずよく喋る口だな」

「だってこれが喋らずにいられるかい?!ずっとずっとずっとずぅううううと待ち侘びていた再開だ!口も胸も躍るとはまさにこのこと!」




男は嬉しそうだが、女は冷たい目、声色で男に返答した。




「御託はいい、さっさと始めよう」

「えぇぇぇ!?ちょっと待って、ストップストップ!せっかくの再開なんだから!もうちょっと、こう!さぁ!ゆっくり話し合おうよ〜…カルピスでも飲みながら。あ、カルピス嫌い?」

「この状況で良くそのふざけた言葉が出てくるな」




男の言い返しに、女は眉を顰めた。

最初から手に握られている拳銃を前にしても、男はまるで動じない。

その態度が、なおさら嫌悪を煽る。




それに——この女が銃口を向ける理由は、もちろんある。

なぜなら、この男は。

 



「そんな冷たいこといわないでよ、もう!そんな態度とってたら、〝ここにいる〟弟君にも怒られちゃうよ!」

「…人の弟を殺した挙句バラバラにしておいて、よくもこの私にそんな態度をとれるな」





殺したのだ。

双子の、愛しい弟を

それなのに男は、笑っている。

その首を指さしながら、あの言葉を。



…それを一瞥し、女は銃口を持ち上げた。





——そのときだった。





     ドォオオオオオオン





遠くで爆発音が聞こえた。

空気がわずかに震えた。



「うわわっ!なに、爆発?!」

「おしゃべりはここまでだ。始めるぞ」




その音に、女の指先がわずかに揺れる。




(もしかしたら船を爆破されたかな?ふふふ、まぁ別に、あの船全部フェイクだから爆発されても何も困らないし)





慌てた声色をしていても、男に焦りは微塵もない。









「…本当にもう!せっかちなんだから!まぁいいよ、お話は舞台が終わった後でもゆっくりできるからね」





男は楽しげに目を細めた。




(この子がここまでくるのに、どんな物語を歩んできたのだろか。おそらく、たくさんの愛を得て、それでも傷つけて——そのたびに、止められてきたのだろうね。)




あぁ——どんな姿を見せてくれるのか。

楽しみだ。






君は、笑えるのかな。

——片割れのいない世界で。







「さぁ、見せておくれ。君という主人公の、美しき舞台を!」








——女の指が、引き金を引く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ