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星守シオンは帰りたいっ!~ギャル、異世界転移した。と思ってたらタイムトラベルだったらしい。未来が魔法の世界ってマジですか!?~  作者: 日華てまり
第2章 探求者の国シャルム編

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57話 ただいま。

 



「「……フリージア……ッ!!」


 施術を終えたネージュ達が出てくるやいなや、シオン達は詰め寄った。すると、扉の向こうで目を覚ましたフリージアが弱々しく微笑んでいた。


「え、へへっ。ジェイド、シオン……どうしたの……そんな泣きそうな顔して……」


 目を覚ましたフリージアに、シオンとジェイドが声を上げて駆け寄った。

 その剣幕に圧倒されて、状況をまだ理解出来ていない様子のフリージアが不思議そうに目を細めて笑う。


「……っ、どうしたの、じゃないよ……っ。フリージアが本当に死んじゃうんじゃないかって、私も、ジェイドも……っ、……ぅ、く……っ」


 声を殺して泣きじゃくるシオンが、フリージアの横たわるベットに顔を埋めた。それを見て安堵したのか、膝から崩れ落ちたジェイドの瞳からもぼろぼろと大粒の涙がこぼれ落ちる。


「……泣かないで、シオン。……そうじゃ、ないや。辛い時は泣いてもいいよって私が言ったのにね……私が辛い思いさせちゃって、ごめんね……。たくさん心配かけて、怖い思いさせちゃって、ごめんね……」


「……うん。……うん……っ! フリージアが無事だったなら、もう、それでいい。耐えてくれてありがとう。頑張ったね、フリージア……ッ!」


 弱々しく笑うフリージアが、子供のように泣きじゃくる二人の頭を優しく撫でた。

 意識がなかった時と比べて顔色も良くなったフリージアにほっと胸を撫で下ろして、ジンガはそんな三人の様子を一人離れた遠くから見つめていた。


「……っ、フリージア、おかえり」


「……ただいま、ジェイド。なんか、子供の頃みたいだね……って、あ、あれ? おかしいな……なんか、今更実感が湧いて……安心、したのかな。怖く、なっちゃったのかな……っ、ぅ、……く。二人とも……助けてくれて……っ、あり、がとう」


 短く交した言葉の中で、フリージアの瞳からも涙が溢れて止まらなくなる。

 話したいことは山ほどあるのに、今はただ、無事を喜ぶことしか出来なかった。




 ◇ ◇ ◇




 フリージアからなかなか離れようとしないシオンとジェイドを引き剥がして、フリージアは病室へと運ばれていった。

 フリージアの容態の安定を確認して、病室への入室が許可されると、そこには関係者が大集合することになった。


「施術中に大きな問題も起きず、体内の成分の消失も確認した。目覚めたばかりにしては、顔色も悪くない。これで一安心だな」


「流石、世界一の医療研究者。無駄の無い、完璧な処置だったよ」


「容態に変化があるたびに、君が的確な指示をしてくれたおかげで治療に専念することが出来たんだ。感謝するよ、イオン」


 ネージュの手には、先刻終わったばかりの施術カルテとフリージアの術後の資料が握られている。


「それにしても、フリージアの容態が悪化した時は流石に肝が冷えたよ。もしかしたら、間に合わないかもしれない、とな。……こんな短期間で試作品……いや、特効薬を完成させるとは……君はやっぱり、天才なんだな」


「……僕一人でやったわけじゃないよ」


「そうだったな。あの他人に興味のない兄さんがあっさりと手を貸すなんて驚いたが……、優秀な人だっただろう」


 イオンがちらっと隅で壁によりかかって手を組んでいるヴォーロのことを盗み見る。何も言うことは無い、というように目を伏せるヴォーロに、イオンはネージュに向き直って言った。


「…………掴みどころのない人だったよ」


「間違いないな」


 そう言って笑うネージュを、真っ直ぐに見ていられなくてイオンは視線を外した。


 自慢するわけでもない。けれど、家族への愛おしさを感じされるなんてことないやり取り。


(俺は、姉貴のこの笑顔を……これから壊す)


 話題が変わったのか、楽しげに笑い合うイオンとネージュ。何も知らずに笑うネージュの姿をこれ以上、目に焼き付けたくないのだろう。


 暗い表情のヴォーロが、誰にも気づかれないようにと、病室をひっそりと後にした。




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