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星守シオンは帰りたいっ!~ギャル、異世界転移した。と思ってたらタイムトラベルだったらしい。未来が魔法の世界ってマジですか!?~  作者: 日華てまり
第2章 探求者の国シャルム編

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45話 カッコイイ武器はロマンだよ!

 



 すぐにこちらに興味をなくしてそっぽを向いたアムレートにお礼を言うと、そうだ、とシオンが訊ねる。


「イオンに聞こうと思ってたんだけど、私の魔法って身体強化じゃん? でも、強い敵とか出てきた時に生身だけで戦えるような戦闘経験も体術もないし……なんか、使いやすい武器とかってないかな?」


「そうだね……。剣は持ったことない人が使っても危ないし、魔法と組み合わせるといっても身体強化だから弓は違うよね」


「そうなんだよ〜。私も杖から魔法をズババーンって打てたら格好いいし、後衛がいいんだけどさぁ……めっちゃ前衛向きの魔法でしょ? だから、ちょっとでもリーチがあるものが欲しいんだけど……。でも、血は見たくないしに人を傷つけたくないから、刃物は嫌かも……」


 そんな武器が存在するのか、と自分でも無茶ぶりをしていると分かってはいながらも、なんとかしてよ! とイオンに訊ねる。


「傷つけずに戦える武器……。魔法の杖……、そうか! 杖ならいいんじゃないかな」


「いやいや……だから、杖から魔法なんか飛ばせないんだってば」


「こういう小さな杖じゃなくて、(ロッド)だよ! 長い棒! 魔法は僕みたいに魔法鉱石の力を借りて、自身の特性以外の魔法も使えるようになるし、本来の使い方とか異なるけれどカンフーのように扱ってもいい。棒術も立派な戦闘だよ」


「カンフー……。マジで、イオンめっちゃ天才じゃん! 武器だし、接近戦にも魔法の杖としても使えるし、相手を傷つけないし、最強じゃん!」


「うん。シオンの強化された身体能力で棒術を身につければ、当てるだけで十分気絶させられると思うよ」


「あと、あれ! 棒と棒が鎖で繋がってるやつやりたい! 双剣みたいになるやつ!」


「うーん……面白いとは思うけれど、問題はどこで手に入れるか、だね。やろうと思えば僕が開発することも出来るだろうけど、ここには材料も設備もないし……」


 イオンが頭を悩ませていると、聞こえていたのか遠くからアムレートが言った。


「……試作品だが、私が造った杖をやろう」


 こちらに背を向けたまま、無造作に積み重なった木の箱を指さした。

 言われた通りに箱を退かして探していると、チャリ、と金属の音がした。


「…………ネックレス?」


 銀色に光るネックレスには、シンプルな棒がついている。有無を言わさず、ネックレスをつけさせるとアムレートは使い方の説明を始めた。


「物を縮小する技術を研究していた時の試作品だ。ネックレスを掴め。魔力を込めて武器を持つイメージで……」


「善は急げ! 何事もやってみなくちゃ、わっかんないよね!」


 アムレートの話を最後まで聞かずに、シオンはネックレスを掴んで魔力を込めると、一気に手を振り下げた。


 ビュンッ、と風を斬る音が聞こえて、シオンの手の中に薙刀と呼んでも差支えがなさそうなサイズの棒が現れた。


「それの長さ、形状はお前のイメージに依存する。素材は最高硬度を誇る金属を使用しているが、本来の金属より柔らかいイメージであれば硬度も自由自在に変更は可能だ」


 アムレートの言葉を受けて、シオンが小さな声で短くなれ、と呟くと一瞬のうちに棒は短くなった。


「なにこれ、めっちゃ凄いじゃん! え、本当に貰っちゃってもいいの!?」


「構わん、試作品だ。改良の余地があれば、ここにいる間であればやってやる」


「本当にありがとう! なんか誤解してたかも。アムレートさん、めっちゃいい人だね! 余計なお世話かもしれないけどさ、絶対に第一印象で損してるよ」


 人懐っこくキラキラと瞳を輝かせて距離を詰めてくるシオンに、アムレートは大きくため息をついた。


「……ふん。ただで実験台が手に入るから使わせてやるというだけだ」


「あははっ。もしかして、アムレートさんってツンデレってやつなのかも」


 心底面倒くさそうに作業へと戻っていくアムレートの背中に、シオンは満面の笑みを向けた。


「二人ともありがとっ! 武器も手に入ったことだし、外で練習してくるね!」


 張り切って飛び出そうとするシオンを、思い出した、とイオンが呼び止める。


「君たちが学校で習う魔法は、イメージの共有と言葉の紐付けだったよね。そして、スピードの求められる戦闘において、魔法の詠唱は短縮するのがいいとされているのは知っているよね?」


「うん。だから、習う時は同じ魔法でも呼び方は人それぞれなんだよね。火よ、昇れ! みたいな人もいるし、メラメラ! って言ってた子もいたよ」


「そう、魔法はイメージが重要だからね。母国語以外でイメージがわかなくなってしまっては、意味が無いからね。だから、最後は無詠唱にたどり着くんだけど……一つだけ、例外があってね」


「例外?」


「シオンの国では言霊、と言うんだったよね。言葉には力が宿るんだよ。君の個別魔法、まっしろしろすけって呼んでいる魔法、あれに名前をつけてあげて。そうすれば、威力も上がるはずだから」


「それって、もしかして必殺技名を考えるってこと!?」


 シオンが瞳を輝かせて、イオンに詰め寄った。


「そうだね。自分にとって大切な言葉、君たちが戦う理由、君たちの中にある言葉を考えてごらん。その言葉自体が力を持ち、魔法を強固なものとしてくれるはずだよ」


「……あれ、カッコイイから叫んでるだけじゃないんだ」


「ふふっ、心の声が漏れているよ」


「だって、技名言う前に殴っちゃえ! って思ってたんだもん。よし、イオン! ありがとう。行ってくるね!」


 情緒のかけらもないことを言うと、シオンはジェイドの手を引っ張って外へと駆け出した。




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