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星守シオンは帰りたいっ!~ギャル、異世界転移した。と思ってたらタイムトラベルだったらしい。未来が魔法の世界ってマジですか!?~  作者: 日華てまり
第2章 探求者の国シャルム編

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39話 空賊だ……っ!

 



 目の前に向けられたスパナを手で払いのけて、シオンは不敵に笑ってみせる。


「上等っ! フリージアの為だもん。それくらい、覚悟は出来てるよ! ……じゃなかった、出来てますよっ!」


「威勢がいいじゃねぇか、そういうの嫌いじゃねぇ。……が、使い慣れてねぇのが丸わかりの敬語はやめろ。ムズムズする」


 とってつけたシオンの敬語に、呆れたようにヴォーロがため息をついた。


「あれっ? そのスパナ、魔法鉱石がついてる……。まさかそれも杖なの?」


「おう。魔力を込めればどんなに硬いネジも簡単に締まるし、こんな風にサイズも自由自在。もちろん、魔法の杖としても使える優れもんだ」


「ヴォーロは何の魔法特性なの?」


「オレは光属性の変異型。電気事態の操作や機械の回路を操作なんかに役立ってる。基礎魔法でも飛行系は得意だからな、天職だろ?」


「飛空挺の為みたいな魔法だね!」


「飛空挺はオレの人生だからな!」


 ヴォーロに連れられて、飛空挺の乗込み口に到着したシオン達は感嘆(かんたん)の声を漏らした。近くで見上げると飛空挺はあまりにも大きすぎて視界に入り切らない。


「なんだ、飛空挺を見るのは初めてか? この機械だらけの無骨さが格好いいだろう」


「サイコー! めっちゃ格好いいっ! 飛行機と違ってマジでメカメカしいし、ロマン感じるのめっちゃわかる!」


 あれは何これは何と無邪気に飛空挺を褒めてくるシオンに、ヴォーロは満更でもなさそうに飛空挺内を案内する。アムレートの所へ運ぶ積荷は準備済みだったようで、上機嫌になったヴォーロが今から行くぞ、と飛空挺を飛ばす準備を始めた。


「うわぁ……っ、操縦室!? 窓でっかい! めっちゃ広いっ! 海賊のハンドルみたいなやつ、めっちゃ格好いいっ!」


「っはは、本当にお前は落ち着きねぇなぁ。飛空挺(こいつ)を褒められて悪い気はしねぇけどさ。……シャッター開放、滑走路確保良し、設備異常無し。よしっ、飛ぶぞ! お前らちゃんと掴まっとけよ!」


 そう言うやいなや、歯車の動く音が工房に響き渡り、飛空挺が浮かび上がった。


 雪に覆われた幾つもの塔より高く浮かぶと、纏まりなくごちゃついた街並みが操縦室の窓一面に広がった。民家は雪が自然に落ちるように三角の屋根の建物が多く、雪で見通しが悪くなるからか昼間なのに街灯に明かりが灯っていて、石造りの建物に積もった雪が照らされていて美しい。


「……めっちゃキレイ」


「これだけ沢山の研究者が、己の欲望に従って研究に明け暮れてる国だからな。個性的なゴチャゴチャした建造物が多いのに、雪で一つに纏まってるように見える。最高の街並みだろ」


「うんっ! それに、飛空挺って意外と静かで揺れないんだね……」


「工房に入ってきた時も防音の魔法かかってただろ、あれがかかってるから中も外も無駄な騒音はしないし、機械だけなら音も飛行も問題は多く出るだろうけど、オレの魔法制御が効いてるからな。この飛空挺は最新技術とオレの最高な魔法がかかってる、今までに造った中でも最高傑作なんだぜ」


「さっすが、天才飛空挺技術者……。ってか、それってヴォーロの魔力足りるの!?」


「今発動してるのは微細な制御魔法だけ。後の魔法は全部組み込み式、機械のプログラムと同じでオレの組んだ魔法式が飛空挺についてるんだ。魔道具とかと同じで飛空挺のエネルギーで発動するようになってるから、大丈夫なんだよ」


「なるほど……奥深いな、魔法」


 シオンの呟きに何故か得意げにしているイオンをスルーして、シオンは操縦室の窓へ近づいて空からの景色を堪能した。


「あの、ヴォーロさんから見てアムレートさんってどんな人なんですか? その……俺達のお願い、引き受けてくれるでしょうか」


「兄貴、な……。まぁ、引き受けるとは思うぜ。兄貴にとっちゃ、まだ存在しないものを研究してくれ、なんて最高の餌だろうからな」


「よかった……っ」


「その点に関しては良い研究材料、研究対象さえあれば兄貴はなんでもやる。逆を言えば家族の頼みだからって興味のないことはやらない。オレの家族は全員が研究者だからな。仲は悪くないけど、家族というには希薄な関係って奴さ」


「じゃあ、ネージュさんとヴォーロさんは双子だから特別なんですね」


「おう。……まぁ、兄貴ともお互いの研究分野は把握してるし、研究者同士の敬意ははらってる。兄貴の性格は分かってるから安心しろよ」


 ジェイドの不安を取り除くように優しく告げると、ヴォーロは少しだけ背伸びをしてポンポンと頭を撫でた。


「…………まぁ、姉貴は家族だからって兄貴のことも大切に思ってるけど、あいつは俺たちにそんな優しい感情は持ち合わせてないんだろうけどな」


「……え?」


「家族、ね。そんないいもんじゃないな」


 ぼそり、と独り言のように囁いたヴォーロに、ジェイドはそれ以上訊ねることはしなかった。


「ねぇねぇ、小さい飛空挺が沢山飛んでる! ここって山ばっかりなのに、沢山通るルートなんだね!」


 呑気に見て見てと、ジェイド達を手招きするシオンの元に向かうと、ヴォーロが顔をしかめて叫んだ。


「あれは違う、正規の飛空挺じゃない! お前ら伏せろ……ッ! 空賊だ……っ!」


 ドォン!!!!




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