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星守シオンは帰りたいっ!~ギャル、異世界転移した。と思ってたらタイムトラベルだったらしい。未来が魔法の世界ってマジですか!?~  作者: 日華てまり
第1章 学園都市ぺスカアプランドル編

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18話 勇気の在り方。それと密談?

 



「フリージアと同室で良かったー!」


 寮に戻り、手続きをすると、シオンとフリージアは同じ部屋へと帰っていった。


「ねぇねぇ、シオン。どんな杖にしたのか見せて欲しいなぁ」


「じゃーん!」


「わぁっ、可愛い! 魔法鉱石が花柄になってる!」


「めっちゃ可愛いでしょ! 私を暴走男から助けてくれた人が、杖の選び方も教えてくれたんだー!」


 子供用のようにシンプルな作りにした理由と、ノワールに会ったことを話すと、フリージアはうんうんと頷いた。


「確かにそうだよね。初めての杖って、私もずっと前のことだったから忘れちゃってたけど……杖が曲がっちゃっただけで簡単な魔法でも失敗しちゃうからすぐに買い換えて貰ってたっけ」


「そうなんだ! じゃあ、やっぱりぐねぐねしたお洒落な形の杖を使ってる人は、めっちゃ魔法の練習した凄い人って証なんだね」


 改めて、シオンは自分の手に持つ相棒()を見つめると、握りしめた。


「と・こ・ろ・で〜、フリージアの方はどうだったの?」


「ん? 私は寮で使う小物とか、気になってたお菓子とか〜」


「じゃなくて! ジェイドとのデートのことだよ!」


「ふぇっ!?」


 誰が見ても丸わかりなのに、わたわたと慌てる様子が可愛らしい。フリージアは、顔を真っ赤にして小さな声で言った。


「……デート、じゃない……けど、楽しかった……よ」


「手とか繋いだ!?」


「つつつ繋がないよっ! 私とジェイドはただの幼なじみだもん! そ、そんなことよりっ、明日は実技の授業だよ! ほら、予習しておかないと!」


 あからさまに話題をそらす初心(うぶ)なフリージアをこれ以上からかうのは可哀想かな、と思ったシオンは乗っかってあげることにして、教科書を開いた。


「最初に習う基礎魔法は、防御魔法と飛行魔法だっけ?」


「そうだよ。まずは何かあった時に対応出来るように、その二つを習っておくの。いざっていう時に、身を守ったり逃げたり出来るように」


 たった数刻前に遭遇してしまった魔力暴走事件を思い出しているのか、フリージアは青い顔で身震いをした。


「フリージア! せっかく予習するなら、ジェイドに教えて貰おうよ! その方が教科書読むより絶対分かりやすいもん。ねっ?」


 怖がるフリージアの気をそらす為に、わざと明るく振る舞うシオンに、ほっとしたようにフリージアの顔が明るくなる。


「そうだね。授業は明日の午後からだから、昼休みに教えて貰おっか。……ごめんね、シオンの方が怖い思いをしたのに自分のことばかりで。……駄目だなぁ、私」


「自分のことばかりじゃないよ! フリージアはさ、土埃で前も見えなくなってたのに、近くまで駆けつけてくれたじゃん。あんなの、本当に自分のことしか考えてないなら出来っこない! フリージアはめっちゃ勇気あるよ! ……土埃が晴れて、最初にフリージアの顔が見えて、私、安心したし、凄く嬉しかったんだ」


「……シオン」


「だから、私達は二人ともまだまだだけどさ、今度またあんな事があっても何とか出来るように、明日の授業頑張ろうね! フリージア!」


「うんっ!」


 あの時、女の子を助けたい一心で身体が勝手に動いた。自分を守る術も助ける力もないのに、訳の分からないまま助かっていて、顔を上げると見慣れたフリージアの顔が見えた。

 その瞬間、日常が戻ってきたようで、シオンは心から安堵した。


 知り合いのいないこの世界で、あんなに真剣に自分のことを心配して涙してくれる友達が出来たことが、この世界に認められたような気がして、この世界に居場所を見つけたような気がして、シオンは何よりも嬉しかった。




 ◇ ◇ ◇




「ジェイド先生! 予習、お願いします!」


「あぁ。まず、基礎魔法は魔法鉱石の補助があれば基本的には誰でも使うことが出来るんだ。俺達が着てる制服には防御の魔法鉱石が、箒には飛行の魔法鉱石がついているから、心配はいらないと思う」


 お昼ご飯を食べながら、午後の授業に向けて、ジェイドが教科書の内容を噛み砕いて説明する。


「良かったー。空飛ぶとかめっちゃ難しそうっていうか、普通に生身で飛ぶの怖いし、心配だったんだよねー」


「制服についてる防御の魔法鉱石は、飛んでる時の風や揺れ、ちょっとしたことにも防御機能が働くって聞いてるから、空の上でも快適だと思うよ」


「マジで! 制服の魔法鉱石(これ)、めっちゃ便利すぎない!?」


「俺達が気づいていないだけで、ちょっとした魔法の効果とかは日常で使う色んなものについてるからな」


「ふーん、さすが便利……あれ? エクレール先生とジンガだ。ジンガが誰かといるの珍しいね……」


 シオンの視線の先に、人気のない校舎裏へと向かうエクレール先生とジンガの姿があった。

 属性が水属性だと分かってからのジンガは、シオン達を構っている余裕もないのか、わざわざ嫌味を言いに来ることもなかった。だからこそ、気がつかなかったが、少し顔色が悪いように見える。


「……っ、うるさい! ……いちいち貴方(エクレール先生)に言われなくても、僕は上手くやります! やってみせます!」


「……わかった。そんなに言うのなら、もう口は出さない」


「……口を荒げてすみません」


「……いや。…………ジンガ、これを」


 声をひそめるように会話をする二人を見ていると、エクレール先生に腕を掴まれて、ジンガが怒鳴りつけた。

 気まずそうに視線を背けたジンガに、エクレール先生が薬の入った袋を半ば強引に押し付けると、ジンガは神妙な面持ちで薬を見つめた。


「……分かっているとは思うけど、これ以上……で……なら、俺にも考えがあるからな。…………ことを忘れるなよ」


「………………」


 シオン達からは遠くなってしまい聞き取れなかったが、何やら釘を刺すように何かを伝えると、黙り込むジンガを残してエクレール先生は去っていった。


「……ジンガとエクレール先生、何話してたんだろ?」


「さぁな。まぁ、家の事でも話してたんじゃないか?」


 首を傾げるシオンにジェイドが軽く答えると、エクレール先生が戻って行ったということは、次の授業がそろそろ始まる時間だと気づき、慌ててシオンとフリージアを急かした。




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