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貞操観念逆転世界で100分の1の出会い(年上女性と年の差恋愛)  作者: くろのわーる


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8話︰約束



 新しい母さんを迎えた夕飯は楽しく過ごすことが出来た。


 今は俺が食器を洗い、親父は母さんを家に送りに行っている。


 幼い頃に産みの母を失っている俺は家族3人でご飯を食べるなんて、記憶がないから正直に言って初めての経験だったと言える。


 これまでは親父と男同士でくだらない下ネタなんかを気軽に話していたけど、これからは出来ないと思うと少し寂しいがそれでも女性が一人加わるだけで食卓に華が咲いたようでそれはそれで楽しかった。


 母さんも俺が年頃の男性ということでかなり気を使っていたようだけど、親父の説明で最後はそれなりに心を開いてくれたと思う。


 それに2人を見ていたら俺も俄然、彼女が欲しくなってきた。


 食器洗いも終わり、時計を見れば時刻は21時。


 今日、一目惚れした立花すずさんがどんな生活習慣なのか、わからないがこの時間なら連絡しても問題ないだろう。


 とりあえず、無難なメッセージを送って反応を見ることにする。


智也︰こんばんわ。


 初のメッセージアプリは1分ほどで既読がついた。


すず︰こんばんわ。


智也︰今、大丈夫ですか?


すず︰はい!大丈夫です!


 どうしよう……キャンプに誘いたいけど、どう切り出せばいいのかわからない。

 悩んでいると攻守が切り替わる。


すず︰智也君はあのコンビニの後、無事に帰れましたか?


智也︰ 無事に帰れましたよ。


すず︰ 男性が一人だったので心配してましたが無事で良かったです。


 こんなことを心配されるなんてやっぱり、ここが男女比が偏った世界なのだと実感させられる。


智也︰ 心配してくれてありがとうございます。その、すずさんはバーベキューは楽しめましたか?


すず︰はい!みんなが盛り上げてくれて楽しかったです!


 嘘である。


 妄想が暴走し速攻で気を失って倒れた、すずはバーベキューを微塵も楽しむ余地なく、部下達に心配されて少し前に帰ってきたところだった。


智也︰それは良かったです。そ、それから俺がコンビニで言ったこと、覚えていますか?


 智也のこのひと言でスマホ越しのすずは心臓が高鳴るのがわかったが、同時にあれは"冗談です"なんて言われたらどうしようと不安になりつつ、恐る恐る返事を返す。


すず︰ えっと、一緒にキャンプに行くことですか?


智也︰ はい。そのもしよければ、すずさんとキャンプとか行けたらなと、思っているんですけど……迷惑ですかね?


 やっぱり、あれは夢じゃなかったのだと、すずはソファーから立ち上がりつつ、ガツガツした女だと思われないように冷静にフリックして、返事を返す。


すず︰ いえ!迷惑なんてとんでもないです!私なんかで良ければですけど……。


智也︰出来れば、すずさんと行きたいです!


 こんなにも直接的に伝えても大丈夫か、不安になるが次の返事を見て、自然と笑みが浮かぶ。


すず︰はい!喜んで!


 返ってきたメッセージを見て、2人は安堵と勝利を確信する。


智也︰ じゃあ…そのすずさんの都合の良い日にちとかありますか?


すず︰ 智也君の都合の良い日にちで大丈夫です!


智也︰あっ!ちなみにキャンプする場所は出会ったコンビニから山の方に行ったところになるんですけど、まだこの季節だとけっこう冷えるから暖かい服装とかってあります?


 ここにきて、すずの頭脳は覚醒する。


すず︰ごめんなさい。キャンプは初心者なんでどういった服装にすれば、良いのか全く分からないです。出来れば、智也君にアドバイスして欲しいです。


 覚醒した、すずの出した答えはあわよくば、キャンプ以外にも買い物デートを取り付けることだった。


智也︰わかりました。俺でよければ、アドバイス出来ると思うので一緒に買いに行きましょう!


「よっしゃー!!私やったよ!お母さん!!」


すず︰是非!お願いします!


 すずの目論見は成功し、冷静に返すとスマホを持ったままガッツポーズを取る。


智也︰なら早い方がいいですかね?明日とかは早すぎますかね?


すず︰大丈夫です!明日は偶然にも朝から空いてます!


 鉄は熱いうちに叩け!社会に出て、会社を大きくしてきた、すずの実績と勘が逃すな!と訴えた瞬間だった。


智也︰なら明日の何時くらいからが良いですか?


すず︰ではランチを一緒にしてから買い物に行きたいので昼前からが良いです。


 最早、野生の勘ではあったがここまでのやり取りで、すずには断られないと自信があった。


智也︰わかりました。じゃあ、待ち合わせ場所は…………


 こうして、智也にとってもすずにとってもWin-Winな予定が立てられていった。


 智也はキャンプに誘う予定だったはずだがよくよく考えてみれば口約束とはいえ、いきなりキャンプに誘うなんて、ハードルが高過ぎたなと反省する。


 なので明日の買い物は妥当であり、キャンプグッズにはそれなりの知識があるので、自分をアピールする絶好のチャンスだと考えていた。


 一方でキャンプ以外の約束を取り付けた、すずはこれまでの人生において、こんなにも男性関係で上手くいったことがなかった為、やり取りが終わった後も実感が湧かず、ソファーでぼぅっと呆ける。


 しかし、メッセージアプリに残るやり取りを見て、顔が溶けるほど綻ぶ。


 明日の買い物デートが終わっても、次は2人っきりのキャンプが待っているのだ。


 時刻は22時前、待ち合わせの時間までは後13時間ある。


 いや、後13時間しかないと考え、明日のプランを立てるのであった。


 男女比が偏ったこの世界では女性がリードするのが当たり前。


 明日の買い物を提案したことで主導権は私にあるとしても、何も考えずに当日を迎えるほど、私は男性に慣れてなどいない。


 慣れるどころか初めてなので当然なのだが……。


 明日の自分が、少しでも「選んで貰った者」として、恥ずかしくないようにネット情報を精査して、出来る女、モテる女の情報を必死で取り込んでいくのであった。



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