表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役と一緒。  作者: 道野ハル
なんだかんだで3クール目!
33/33

とばっちり



「デストロ星より、デストロイ様が参られました!!」

「「……」」

 

 

 しーん……

 

 

 いま、私とロイはモグラ・イグアナ星に来ている。なにしに来てるって?お礼を言いにだ。先日はパイレーツのことをわざわざ教えに来てくれてありがとうございました、お陰様で撃退できました、今後もよろしくお願いします……的なことをね。あ、やっぱり菓子折り持ってきた方が良かったかな?でも賄賂みたいになっちゃったら嫌だし、なによりモグラやイグアナさんが何を食べるか分からない。ミミズとか、虫系?イヤそれは厳しいな。

 

 

 しーん……

 

 

 とプチ現実逃避してみても状況は変わらないワケで。なにこれ、なにこの空気。すんごい緊張感なんですけど。目の前のイグ王だけでなく、この王の間(=ロイが暗殺されかけた場所)的なところにいるモグラさんたちが、摩訶不思議・ナニコレ◯百景的な形相でこちらを見ているよ。いや、正確に言うとその気持ちの揺れを隠そうと頑張って真面目な顔してるんだけど取り繕えてない、みたいな。こらえてることでちょっと面白い顔になっちゃってるよ、みたいな。

 

「……デストロイ様、いかがされたのですか?お二人で我が星にやって来るとは……」

「(!)」

 

 勇気を振り絞って(?)イグ王が喋ってくれた!ああ、素晴らしいテンプレ台詞をありがとう。よしっ、ここからは私が橋渡しとして


「礼を言いに来た」

「(!)」

「え?」

「お前たちが言った通り、ギャラクシー・パイレーツが襲撃に来た」

「……」

「では」

「(え)」



 くるっ   

 

 

 うぉい、くるっ、じゃないよ!さすがに短かすぎるだろ!それに言い方が単調過ぎて有り難みが全くない。いやこれがロイなんだけど、通常運転なんだけど、でも皆様には伝わらないって

 

「お、お帰りになられるので?」

「?、なんだ」

「……(なんだじゃないよ)」

「あ、いや、わざわざそれを伝えに……?」

「おかしいか」

「!い、いえ、滅相もございません」

「(……)」

「102のことも、礼を言う」

「あ」

「(え?)」

 

 102……それって、なんのことだっけ?

 


 “フォフォフォッ、お久しぶりです、デスト……”


 “貴様に聞きたいことがある。宇宙警察と繋がっているのか”

 

 

 !キツネの、スネ王のところか!

 

 確かロイは宇宙警察と会談したのは知ってる的なこと言ってたよね?え、もしかしてそれを教えてくれたのがモグラ・イグアナ星だったってこと?

 

「いくぞ」

「あ、ハイ!……では、失礼いたします」

「はあ……」

「「「「「……」」」」」

 

 

 タッ

 

 

 こうしてロイと私は、困惑の王の間を後にした。

 

 

 

「じゃ、出発します」

「……」


 超短時間滞在を終えて宇宙船に乗り込み、アジトへ向かってさぁ出発!と、自動操縦ボタンを押したいところなのだけれど……

 

「……」

「あの、出発していいですよね?」



 ……

 

 

 しーん、だ。王の間を出てからロイは一言も喋っていない。いやだんまりを決め込まられるのは毎度のことなんだけど、なんかいつもと違う。アレだ、トゲトゲしさがないんだ。無言でも滲み出る、いや無言だからこそビシビシ感じる親方特有の威圧感がない。どうしたんだろう?もしかして御礼を言ったことで何か心境の変化が……

 

 

 ……ちらっ

 


「え」

「……」

「デストロイ様、寒いですか!?」

 

 横並びで座って初めて気がついた、ロイの顔に鳥肌が立っている!……まだ万全の体調じゃなかったのかもしれない。何やってんだ私は。ロイが弱味を見せないのは当たり前なんだから、もっと気にかけるべきだったのに。



 ヴーッ、ヴーッ

 

 

「え」

 

 は、神から着信?なんだこんなときに。こないだあんま電話すんなみたいに言ってたじゃん、クソッ。いいや、あとで折り返そう。とにかく早急にアジトに戻って

 

 

 ヴッ

 

 

「あ、あー、山本朱美、聞こえてるであーるか?」

「え」

「どうせあとで折り返そうとでも思っているのだろう。だが我々はこれからガン◯ンを読み始めるので先に言っておく」

「サービスでごわす!」

「(……)」

「そこのデストロイくんは体調不良ではないのであーる!」

「え?」

「ズバリ、お礼を言ったことで、体が拒否反応を起こしているのだ!」

「えっ」


 は?なにそれ!?

 

「考えてもみるでごわす、彼、悪の親玉だよ?」

「物語はそれぞれのキャラ設定があるから成立するもの。しかもこれは戦隊もの、悪役は悪役じゃないと困るのであーる」

「いや、でも最近のスー◯ー戦隊ってそこらへんフワッとしてるじゃん、だから良くない?むしろ時代にあってて素晴らしいじゃんっ」

「はあ〜、これだから人間は。時代にあってるのが頭イイとかオシャレだとか思っちゃってるんだから」

「己を見失うな!キミが本当に描きたいストーリーを書かないと何の意味もないでごわす!」

「いや私脚本家じゃないから、これ書いたの私じゃないから」

「まあそうなんだけどさ、でもこれでデストロイくんがイイ奴になって終わっちゃったら糞つまんないじゃん」

「イイ奴になってポリスメンズと和解して平和を築く?古代か!」

「いまそこにいるキミはそれでイイのかもしれない。だが視聴者の気持ちになってみるでごわす。受信料払いたくなくなるでごわすよ」

「……これN◯Kじゃないでしょ」

「「「あ、そっか」」」

 

 なんだコイツら。なんか前回から主張強くなってきてない?ってかイラついてる?主張どうこうじゃなくてイライラして当たってきてる?


「あの、なんか言いたいことあるならハッキリ言ってくれませんか?もう、ちょっとやそっとで傷つく歳じゃないんで、ダイジョブなんで」

「えー……いや、別にぃ、なんとも思ってないしぃ?」

「そうそう、考え過ぎじゃなぃ?」

「ごわすぅ」

「え、なんなの、キモイんだけど」

「プッチーン!せっかくJKの口調にしてふわっと紛らわしてあげたのに!」

「いや選択おかしくない?ってかいつの時代のJKだよ」

「あー、もうイイ!じゃあハッキリ言おうではないか!」

「おうよっ」

「あのさー!」

「うんうん」

「最近、映像も舞台も漫画原作多すぎじゃない?」

「……」


 知・る・かー!!


「……えーと、まあ、そうですね。オリジナルものが少ないといいますか」

「そうであろう!すでにヒットしてるから安心とか、子供の頃に好きだったから実写化するのが夢でしたとか、そんなんつまんないだろぉぉぉ!!」

「足りない!物語が明らかに足りないでごわす!!」

「ソウダネ、ソウダネ」

「ねえキミを召喚した理由、覚えてる!?」

「召喚って……アレですよね?他の物語の登場人物を別の作品に送り込んで面白くさせる、みたいな?」

「その通り!面白くするためにキミを送り込んだのだ!」

「エエ」

「面白くなくない!?結局フツーの話になっちゃってなんも面白くなくない!?でごわす!」

「(話戻ってきた……)


 つまりこれはトバッチリだ。最近の物語事情にイライラしてる神たちが、この話に難癖つけてきたワケだ。これは反抗してもダメだろう。こうゆう時はもうお伺いしちゃった方がいい、たぶん。


「あの、じゃあ参考までに……どうゆうのが斬新ですかね?」

「デストロイくんは悪役のままがいいであーる」

「ああ、やはり彼には道を外れないで欲しいな」

「誘拐する演出は失敗だったでごわす」

「(……)」

「悪役のままだけどー、なんか!みたいな」 

「そうそう、ポリスメンズも正義の味方だけどー

なんか!みたいな」

「その、なんか!って、具体的になんですか?」

「それはキミが考えるでごわす」

「(……)」


 ウン、これ以上は会話できない気がする。今までも成立してたか分かんないけど。


「……考えてみます。で、あの、デストロイさんの鳥肌は治らないんですか?」

「ダメなんじゃない?」

「ひょっとしたらアレするかもだけど」

「ごわす」

「(……)」


 ああダメだ、ものっそい疲れた。もう切ろう。そして考えるのをいったん止めよう。


「諸々承知しました、じゃ、失礼します」



 ブツッ


 

「ふう……」



 ……



「どうゆうことだ」

「え?あ……」


 ロイがいるの、めっちゃ忘れてた……。

 

 ヤ、ヤバイよね?いろいろヤバイこと言ってたよね?あいつら声デカいから絶対筒抜けだよね??


「……あの、いま電話してた相手が、私をこの世界に連れてきた方々で……」

「……」

「“神”と言っています」

「神だと?」

「ハイ」



 スッ


 

 コバルトブルーが細くなった。あ、キレる?久々にザシュリくる!?(もはや嬉しい)



 ふんっ



「そんなものいるか」

「え?」

「そんはものは居ないと言っている」

「あー……はい」

「……バカなのか?」

「え、私?」

「お前以外に誰がいる」



 じっ



 うぉい、なんだよ。なんでそんな窺うような目で見てくんだよ。これじゃあホントにバカだと思われてるみた……いや、思ってんのか。


 ロイはしばらく私を観察すると、諦めたのか(こいつはバカだと確信したのか)ふうっと息を吐きながら目線を外して前を向いた。ちょ、まあまあ傷付くんですけど。


「次は」

「え?」

「どうすればいい」

「!」


 鳥肌を立てながらロイが問う。


 ……なんだよ、やっぱメチャクチャ頑張り屋さんじゃん。体が拒否反応起こしてるのにまだやろうとするなんて。悪の親玉なのに、ついこないだまで星を破壊して銀河を闇で覆い尽くそうとしてたのに。ああ、やっぱ好きだなぁ。真面目で真っ直ぐで純粋で。絶対幸せになって欲しい。いや、幸せにしてやる。


「あ!」

「?」

「いや、ちょっと思いついたんですけど……一旦確認します」

「確認?」

「はいっ、分かったらすぐお伝えしますので」

「……」



 “キレイ事だ……”


 “え?”


 “そんなのキレイ事だーっ!!”



「(……もう治ったかな?)」


 あのキツネくんに会えたら……かなりハードル高いかもだけど。でも、もし傷つけた相手とちゃんと話ができたらロイにとって、とても大きいんじゃないかな?


 キツネくんのことは宇宙警察のオオカミさんたちが介抱してくれてたからアタルくんに聞けばその後のことが分かるかもしれない。


 よしっ、すぐに連絡してみよう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ