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殺し屋たち 4
「Loup……ですか」
大通りから一本外れた裏路地ーー埃を被ったこのバーはひっそりと佇んでいる。
「聞いたことある?」
曽根は椅子に腰掛けると、カウンターの向こうの眼鏡の男にそう聞いた。
「まあ、少しは。最近急激に勢力を伸ばしている犯罪集団ですね、殺しやら人身売買やらで……」
へえ、と曽根はグラスを煽る。
「いつまでです?」
「明後日かな」
「またそうやって、無茶振りばかりする」バーテン、いや情報屋はそっとため息をついた。
「君はプロだから」
「おだててもなにも出ませんよ」
「本当だよ」
曽根は二杯目を空けると立ち上がった。「じゃあよろしくね、海野さん」
海野はまたため息をつくと、ノートパソコンを開いた。報酬はしっかり受け取りますからね、と呟いて。