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殺し屋たち 1
7月17日
車はそのまま、何事もなかったかのように道を進んだ。そして、とある家の門をくぐる。
それは、傍から見れば至って普通の一軒家だ。犯罪とは全く縁のない住宅街に、黒い三角屋根が上手く溶け込んでいる。
リビングには、煙草の匂いが立ち込めていた。
「黒瀬、火い、貸してー」
井上がその匂いの原因にすぐさま近付く。
「ほんっと臭いんだけど」
顔の前で手をパタパタと振りながら、真紀が言った。
その目の前で井上も煙を吐き出す。
真紀は露骨に顔をしかめると、廊下に出て、階段を上っていった。
ここのボスに会いに。