ジークvsデュラン
よろしくお願いします!
アビスが帰還した後に先に進むか否かの話し合いをした。
結果は満場一致で7階層まで潜る
恐らくは7階層から他の冒険者にも会うし
なにより全員の体力も魔力も問題なかった。
「じゃあいこうか!」
「危ないと思ったらすぐに避難、そして帰還しますわよ。」
「勿論ですぅ。命あっての物種って言いますからねぇ。」
いくか。
地下7階層に降りると早速他のパーティがいた。
それも複数も
これは動きづらいな
「どこからいきましょうか?デュラン君どこかおススメはありますかぁ?」
「うーん。目の前に3つの通路があるけどどこを通ってもボスフロアに辿りつけそうだね。人が少ないとこだと...右だね。多分1パーティがもうすぐボスフロア近くまで行くとこだから鉢合わせはないんじゃないかな。」
「お前のその索敵範囲どうなってんの?もうボスフロアまでの道がわかってるとかチートじゃん。」
「そんな事言われてもなぁ。でもどこ通っても魔獣は少ないかな。再出現は倒されてからランダムって話しだから歩いてるうちに出てくるかもだけど。」
魔獣が少ないのは結構だが
「ボス待ちは予定外ですわね...それもこの様子ですと何組か待ちがいそうですわ。」
だよね。
参ったな。
「それでは今日はボスフロアまで行って戻ってくる。魔獣の特徴を確認して対策を練り、明日等に人の少ない時間を狙って攻略するのはどうですかぁ?」
「それが無難っぽいな。」
「賛成ですわ。明日は休校日ですし、朝早くでも問題ないですの。」
「じゃあ帰ったらギルド寄って換金した後に明日の用意して解散って感じかな?」
「それでいいじゃん。ついでにギルドでどの階層のドロップがどんなのとか確認したらモチベーション上がるな。」
「それいいですねぇ!」
決まりだな。
7階層は黒い猿に黒い狐が出てきた
猿は目眩しと物を投げての遠距離攻撃
黒い狐は近距離攻撃と攻撃を食らうとデバフだ。
猿の力が思ったよりあって石とかガラクタを投げてくるんだが直撃すれば痛いでは済まないレベルだ。
と言っても戦闘したのはボスフロアまでの往復でたった2回。
数が少なければ大したことない。
けれど明日仮に他のパーティが居なければ数は増す。
そうなれば脅威かもしれないな。
ダンジョンから帰還してギルドに到着した。
今回は魔石の量も質も前回より上がったんだ。
少しは期待できるんじゃなかろうか?
「7層まで到達されたようですね。新人は大抵6層の突破が難しいと言われてはいるのですが、とても優秀ですね。それと換金ですが...全部で銀貨114枚と銅貨8枚ですね。金貨ではなく銀貨でのお支払いで問題ないですよね?6層のドロップアイテムやボスの魔石があればさらに金額は跳ね上がったんですが。」
いや十分だよ!
銀貨114枚...
日本円なら114000円!
4人で分けても結構な値段だよ!
俺の毎月支給されてるお小遣いは銀貨50枚だから
こりゃすぐにお金持ちだ!
「ジーク。顔にでてますわよ?公共の場でその下品な顔はやめなさい。パーティの品格が疑われますわ。」
「いいだろうが別に。銀貨100枚越えだぞ?並の月収クラスをたった数時間で得るんだ。嬉しくて何が悪い!」
「まあまあ。落ち着いて。それとお姉さん、各階層のドロップアイテムとかって教えてもらえますか?」
「そうね。近い所だと7階8階9階10階層辺りを伝えればいいかしら?ドロップアイテムは稀に落ちるものでボスフロアだけでなく階層の魔獣から落ちる事もあるわ。」
「ボス以外からも?」
「えぇ。ボスですら1/100近いと言われていてそうそうドロップしないんだけれど、ボスと同じ魔獣からもドロップした事はあるわ。」
1/100か
不可能じゃないけど偏れば1年通っても落ちないな。
「確実なのはファーストボーナス時ね。初めてその階層をクリアした時は確定でドロップするのとファーストボーナスって呼ばれる特別なドロップアイテムもあるの。」
「それは美味しいですねぇ!」
「ええそうよ。だから皆こぞって攻略を進めるのよ。と、話しがズレてしまったわね。基本的にはその階層でドロップする物は他の階層ではドロップしない。それで7階層なんだけど...」
なかなか有益な情報が聞けた。
聞けば答えてくれる受付さんだったな。
今は全員で明日のための準備として市場に来ていた。
「しかしあの猿が厄介だな。聞いた話しによるとボスフロアに現れる猿は30体、狐が30体、ボスはどちらになるかランダムだなんて。多すぎだろ!」
「そうですわね。実際ダークフォクシーはこちらの前衛の強さからすると問題ないですが、ダークモンキーの遠距離攻撃は厄介ですわ。」
「かといってマルカやシンディに盾を装備させると動きが遅くなり中衛後衛としての役目がこなせなくなる。困ったね。」
「いえいえ、そこは大した問題ではないですよぉ?今回はジーク君に頑張ってもらえばいいですから。」
「んあ?俺?デュランに瞬殺してもらう作戦じゃなくて?」
「それも第2案としてはいいんですが、今回のメインはジーク君とシンディさんですよぉ。デュラン君には私とシンディさんを遠距離攻撃の全てから守ってもらいますぅ。」
ん?
「シンディさんは弓にて遠距離攻撃と牽制を。ジーク君は特攻して殲滅して下さい。」
「馬鹿か?いや、馬鹿だなお前。それができるのはデュランだけだ。死ぬだろうが!」
「勝算しかないですよぉ?自身の実力を正しく認識するのもぉ冒険者の大事な役割ですぅ。」
マルカは馬鹿だな。
そりゃ10体程度ならやれんこともないだろうが
「そもそも盾持ちとはいえ2人を投石から守りきれるのはデュラン君だけですし、ジーク君は自身の守備範囲は正しく守れても他者の範囲には割と疎いから向いてないですぅ。」
「マルカ、それは少し難しいのではなくて?いくらなんでも60体の魔獣の群れを1人では厳しいと私も思いますわ」
「シンディさんは優しいですよねぇ。ジーク君が心配ですかぁ?でもご無用ですぅ。ジーク君は他者のはともかく自身の守備範囲はキッチリ守りきりつつ攻撃できますぅ。相手の隙を見て反撃に出ることのできる優秀なアタッカーですよぉ。」
「べ、別に心配などはしていませんわ!」
「ん?顔が赤いぞ?ん?どうした?ん?」
「うるさいですわ!ジークなど魔獣にやられてしまえばいいんですの!」
痛いっ!
こいつ思いっきしビンタしてきた。
にゃろう...
「うん。いいんじゃないかな?僕も楽しそうだし、ジークなら問題ないね」
問題しかねえだろ!
「勿論フォローはしますぅ。シンディさんは勿論私も微力ながら頑張りますのでぇ。」
「ん?マルカは遠距離攻撃手段ないじゃんか」
「ですからぁ、それを買いに来たんですよぉ」
マルカは自身のできることの少なさをどうにか出来ないかと考えたそうだ。
守り、癒しの要といっても実際にはただの魔石持ち要員になりつつある、と。
とはいえシンディのように弓術を今から学んでも遅いし、なにより模擬戦の順位も下から数えた方が早いマルカにはそこまでのセンスもない。
そこで考えた結果がボーガンなんだと。
連射性のあるボーガンで味方の近くではなく相手の牽制目的での使用
硬い相手には効果は薄いだろうが7階層の相手なら致命傷までいかずとも傷を負わせる事はできると。
威力の調整は出来ないがとにかく早く連射ができる。
今後も活かせる場面は来るだろうとの考えらしい。
そこまでお荷物にはなってないし考えすぎではあるが
自分に出来る事をしっかりと模索して行動するマルカは少しばかりカッコよく見えた。
「うぅーん。思ったより高いですねぇ、おじさんもう少し安くなりませんかぁ?」
金額は矢100本セットで銀貨60枚
マルカでは昨日の取り分を含めても手がでない。
「嬢ちゃん無理言うなよ、こいつはボーガンの中でも安い部類だぞ?誰でも簡単に扱えて連射の効くボーガンは人気なんだよ。」
まあそうだろうな。
「なら今日の報酬で購入すればいいのでは?必要経費ですし、今後も装備品の購入や修理を優先して、その金額を引いたのを分配すればいいのではないかしら?」
「まあいんじゃね?必要経費だし、いつか俺やデュランの剣も折れたり交換する時も宜しくな。」
そこケチってたらいつか痛い目みそうだしな。
てなわけで矢を100本追加しての200本とボーガンで銀貨55枚までマルカが値切って購入していた。
今話題の勇者のパーティだからいつか値切った以上にこの店が売れるとかなんとか
デュランが苦笑いしてたけど
食料とか水とか必要そうなのをいくつか購入して今日は解散した。
マルカとシンディに「夜は痛みに気をつけろ」とデュランが言っていた。
マルカとシンディは忘れてたらしく顔が青ざめていた。
多分俺も同じような顔をしていたことだろう。
「さて、寮に帰る前にジーク一戦やろうか?」
「やらん。寝る。」
こいつは何を言ってるんだ?
散々戦ったろう
「ジークは才能はあるのに怠け癖があるからね。ここんとこ休みは起きたらすぐ家を出て僕と会わないようにしていたようだし、実力の近しい人との戦闘なんて学院長以来でしょ?」
「仮にそうだとしてもやらん。それにお前は実力が近しいとは言わない、最も離れてると言っていい。」
「僕相手だといかに防ぐかを考えていて攻めを諦める節はあるね。でもジークせっかく学院に来たのに村にいる頃とあんまり変わらないよ?スキルも魔術も学べるんだから僕からでも覚えないとこの先キツくなるよ?」
「いいんだよ、俺はお前と違って強くなるつもりもないし。ダンジョンもお前1人だと不安だからついてってるだけ、足手まといにならない程度にはやるから。」
「ーーーへぇ?今の実力で足手まといにならないと?」
今日のこいつはやけに絡むな
「あぁ、別に邪魔にはならんだろ」
「ならそれを確かめようか?成長した僕ならジークなんて10秒もたないよ。」
「別にもたなくていい。ダンジョンでは役割は果たすよ。ホラ!帰るぞ!」
ーーー「ケチッ」
こいつなんだかんだと理由つけて自分戦いだけだろ
ったくしゃーないな。
「んじゃ賭けようか。俺が10秒もつかもたないか。」
「やった!いいねー!そしたら僕が勝ったら毎日模擬戦10回ね!」
「ふぁっ!?毎日はキツすぎないか?」
「いつもジークが言ってるじゃないか。負けなきゃいいんでしょう?」
「良いだろう。んじゃ俺が勝ったらデュランは俺の言う事を1度だけなんでも言う事を聞く!」
「なんでも!?なんでもはやりすぎじゃない?」
「そっちのなんて期限なしだぞ?俺の方が優しいだろうが!」
いい感じにヒートアップしながら空き地に向かう2人だった。
「スキルも魔術も使い放題。相手が床に手をついたら負け。俺が10秒保つかどうかをかける。いいな?」
「基本はいつものルールってことだよね?よーしやろうか!」
こういうルールの時デュランは必ず10秒ピッタリで宣告する。
今回も任せる。
ん?
デュランの闘気が...なにこれ!!?
「デュラン?それは...なに?」
「ん?スキルと魔力操作と闘気変換の合わせ技だよ。」
「いや、見りゃわかるけど。その闘気量が既に一般の家を遥かに越えてるんだが...それ一撃で山とか壊せるんじゃないか?」
「それは言い過ぎだね。流石にそこまでじゃないけど、精々学院を吹っ飛ばせる位かな。」
馬鹿かコイツ!
そのレベルの闘気で俺にぶつけたら俺は木っ端微塵だ。
受け流すとかそういうレベルじゃない。
「ギブアップしてもいいんだよ?反省して毎日鍛えればいいだけだ。けどやるって言うなら...ジークのために全力で勝つよ!」
「どう考えてもお前のためだろーが!やるよ!yqんなきゃこれと毎日だろ?それは地獄すぎる。」
「ジークは変わってるね?僕と模擬戦したいって皆言うのに。」
「皆が頭おかしいんだと俺は思う。」
これは想定外だ。
精々ハイスラッシュとかそういうスキルかと思ったら
闘気変換か。
まあ基礎だっつてたもんなぁ。
俺はできないけど。
「んじゃやるか!」
「うん!」
デュランがこっちに突進してくる!
俺の取る選択は...
「逃げるなよジーク!」
「馬鹿か?まともに受けても周辺でかわしても負ける。なら逃げ一択だろうが!」
当たり前だ。
けどあいつからこのまま逃げれるとも思っていない
「ダブルアクセル!」
ちっ!
あの一直線に一気に来るスキルか。
なら横に...え!?
「なんで直線でこないんだよ!?」
「やっぱり、勘違いしてると思った。ダブルアクセルは数秒だけ倍の速度で動けるスキルだよ。学院長はそれを1秒以下に抑える代わりに数倍の速度で動けるように調節しただけさ。」
いつのまにか目の前に
なら!
「アースランサー!」
俺だって魔術は覚えたんだ。
中級の土魔術アースランサー
本来は複数の槍で大地から相手を狙う魔術だけど、今回の槍は一本
それも自身の足元から延々と伸ばす形でだ!
「自分に使う!?こんなの!」
即座にアースランサーを砕かれる
「アースランサー!アースランサー!アースランサー!」
砕かれたアースランサーから別のアースランサーを発生させて移動を繰り返す。
デュランはアースランサーに登ろうとするも砂になってて登れない。
「馬鹿め!そうするのは読めている!発生させた直後から下は砂に戻るように調整したさ!フハハハハッ!俺の勝ちだな!」
もう1秒とないんじゃない...ふぁっ!?
「闘気集中...飛斬!!」
闘気飛ばしてきた!
アースランサーを足蹴にして逃げる。
あれ?
目の前にデュランが...
「残念だけど、飛斬を飛ばし終わったタイミングで10秒過ぎてた。ずるいよあんなの!!」
「お前それダンジョンで魔獣に言えんの?勝ちは勝ち。負けは負けだ!そしてお前は俺に負けたのだ!!」
デュランはその後一日中「もう一回だけ!ね?もう一回やろうよ!」としつこく言ってきた。
馬鹿め
2度とやらんわ
あぶねー。
あの飛斬とかってやつ洒落にならん威力だったぞ。
掠っただけで全身千切れるね。
最高速度の飛行機を木刀で受け止めろって言ってるようなもんだ。
それにしてもアースランサーは使えるな。
この学院に来てから実は魔術2つしか覚えてないんだが十分だな。
ちょっと飛斬は俺も欲しいけど...かっこいいから!
てか俺魔力量多いのかな、中級とはいえぶっ放しまくったけどまだ半分以上ある気がする。
その日の深夜、痛みに苦しむ俺に
しつこく「ねえ?もう1回だけやろうよ!ね?」と言い続けるデュランであった。
マジでしつこい!
ブックマークが増えてやがるぅうう!
素直に嬉しいです^ ^
ありがとうございます!