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Aクラス

宜しくお願いします!

学院に入学してから数ヶ月が過ぎた。


入ったらあっという間だったな。


俺もデュランも当然Aクラスになり、心配だった年の差は問題なく受け入れられた。


デュランは皆と率先して模擬戦をして、その後全員で反省会をする


俺はデュランの模擬戦を逃れるようになり


魔術の勉強をしたり


授業バックれて屋上で寝たり


街に出ては美味いもん食ったり


好き放題して過ごした。


何故か学院からお小遣いもでるし


寮はデュランと同室だが、あいつは大抵皆と過ごしてる


村の生活とは大違いだ。










今日も屋上で昼寝をしていると頭を小突かれた


俺の修得したスキル[索敵]にも反応しない奴なんて1人しかいない。


「ジーク!またサボって!今日はダメだよ。皆で冒険者登録しに行こうって約束じゃないか!」


「ん?あぁ、授業終わったらだろ?まだ時間あるじゃないか。」


「ダメだよ!今日は授業でダンジョンについて教わるって話しだったろ?冒険者になる前に予習しとかないと1人だけわからない事あったら困るだろ?」


「最近のデュランは俺のオカンだな。村では...いや、村でもいつも小言がうるさかった。やっぱ変わってない。オカン継続だな。」


「なにいってんの。ジークのお母さんはメリアさんでしょ?それより早く授業戻らないと僕まで遅刻になっちゃう。」


そう言って俺を担ぐと教室まで強制連行された。


いいよもう。


冒険者登録なんかしなくたって生きていけるじゃんか。








「今日は皆が気になるダンジョンについて説明します。といってもダンジョンについては謎も多く、未だにわからない事も沢山あります。また、ダンジョンは世界各地にあり、現在確認されているのは8カ所です。ダンジョンによって出る魔獣や性質も異なってきますが、本日はこの王都ピースにあるダンジョン、通称[闇のダンジョン]について学んでもらいます。」


8カ所


多いのか少ないのかわからんな


「闇のダンジョン。それは闇属性の魔術を使用する魔獣が特徴のダンジョンだからそう名付けられてますね。デバフに影移動といったのがポピュラーですね。もちろん闇属性しかいないわけではないんですが他のダンジョンに比べて非常に多いです。」


「先生!闇のダンジョンはダンジョンの難易度としても世界第2位と聞いてます!それは闇属性が関係しているのですか?」


デュランは元気だな。


前より言葉使いもマシになったが、教室で1番質問をする。


全部聞いてから聞けばいいのに


「はい、それもありますね。闇魔術は他の魔術に比べて致命傷にはなりづらいですがしつこく残ります。1度受けたまま階層を下りれば下りるほどに難易度は上がるでしょう。ですが肝心の難易度はそれだけではなく、ダンジョンの深さが原因ですね。」


深さ


ダンジョンは地下へ行けば行くほど難易度が上がるって聞いた


「現在闇のダンジョンは地下21階層です。1位の氷のダンジョンは地下24階層ですがここ100年更新を確認できておりません。ここ闇のダンジョンだけが数年に1回未だに階層を拡げる稀有なダンジョンとも言えます。」


地下21階って...


下がるのも上がるのもそれだけで大変じゃん。


「ダンジョンは諸説ありますが、生きているという説が有力です。ダンジョン内にはコアと呼ばれるダンジョンの心臓部があります。それを破壊するとダンジョン内の成長は止まり、いずれ魔獣の出現も収まります。4位〜8位のダンジョンは比較的に早期にコアが発見され破壊したために10階層未満で既に活動を停止してます。」


あっ


もう停止してるんだ。


そしたら活動してるダンジョンって世界に3つだけ?


案外少ないね。


「先生!ダンジョンでは沢山の魔石や、魔導具が発見されると聞きました!コアを破壊するのは勿体ないんじゃないですか?」


「そうですね。確かにダンジョンがあるお陰で我が国も大きく栄えた、その事実は否定できません。けれど危険も大きいのです。ダンジョンは常に一定数の魔獣を生み続けます。今は冒険者達が駆除してくれるお陰で問題ないですが、仮に放置したら?数が一定を越えるとその魔獣はダンジョンから溢れてきます。いわゆるスタンピードですね。」


スタンピード


国の大半は戦闘経験もない人だ。


ただの村人が魔獣に勝てるはずもない。


確かに危険だな。


「かつて4位の火のダンジョンでもスタンピードが発生して国が滅びました。それを我が国も含む連合国で鎮圧してコアの破壊に至りました。どれだけ繁栄をもたらそうともいつまでも冒険者や国の防衛隊で賄える階層に留まるとは限りません。そしてこれは我が国でも他人事ではなく、ダンジョンが成長すればするほどに魔獣の生産は増えます。魔石の質も魔導具も以前より多く手に入る反面危険な状態に陥るのです。」


やべーじゃん!


全然この国ピースじゃないじゃん!


「そのため我が国では戦闘を教える学院を多く設け、冒険者の手当ても他国より多く出す事で現状を維持しています。ですからコアを見つけたら早急に破壊する必要があります。」


はよ壊して!


ダンジョンなんかいらんいらん。


「それはとても危険ですね。でしたらコアはどのように見つけるのですか?」


「それはとても難しいですね。コアの出現条件はわかってはいるのです。新たな階層が生まれるとその階層のボスフロアを攻略すると発見した例が多いのですが、階層が新たに生まれてから一定期間が過ぎるとさらに深くに潜ってしまうようです。しかし深くなればなるほど難易度は増す、それも初見の魔獣やボスであれば尚更難しいでしょう。現在の21階層を攻略している冒険者パーティは数組いますが、21階層が出現してから半年経過した今でもボスフロア攻略できていません。」


確かにな。


俺も前世のゲームでは攻略情報見てクリアしてた派だし。


初見のボスで尚且つ命がけなら時間もかかるわな。


ーーーあっ


デュランが笑った


これはマズイ


非常にマズイぞ!


「先生!仮にですが、今だったらまだコアってあると思いますか?」


「ダメだぞデュラン!絶対ダメだ。俺が認めない。」


先生の回答を待つ必要はない。


「なんで?僕には力がある。そして困っている人が居れば助けるべきだろう?」


「俺たちはダンジョンに入った事すらないんだぞ?命がけなんだ。遊びじゃないんだぞ!強いからやらなきゃいけないなんて事はない。コアはベテランの冒険者に任せるか時間をかけて慣れてからトライすべきだ。」


「そうやって任せっきりにしていつかスタンピードが起きたらどうする?王都も、学院も、僕らの村だって危険かもしれない!次の階層が出現するのもいつかはわかってないんでしょう?1位なんて100年出現してないって話じゃないか!」


そう言うとは思ってたけどさ


別にお前がやらなきゃいけない理由もないだろうが


「お、落ち着いて下さい。先生もデュラン君に今すぐ攻略して欲しいなどとは思っていません。デュラン君も段階を経てからトライすべきでしょう。これからダンジョントライの授業もありますから焦らずに。」


「...はい。すいませんでした。」


こいつはすぐに熱くなるからな。


村にいる時は問題自体が少なくて目立たなかったが


王都に来れば別だ。


窃盗団が出たって話を聞けばすぐに行って壊滅してくる


闇奴隷商人が出たって聞けばこれまた壊滅してくる


お前が強いのは知っているが強力なベテランの冒険者が攻めあぐねているんだ。


多少は危険を感じて欲しい。


「よろしい。それでは先程の質問に答えましょう。今なら間に合うか?恐らくは間に合います。あくまで可能性も話しですが。以前の記録では更新して11ヶ月でのコアの破壊が記録されています。他のダンジョンのため闇のダンジョンでもそうなるとは限りませんが。」


あぁ


これはダメだ。


これを聞いたらあと3ヶ月程トライして


経験を積んだ!とか言って行っちゃうパターンだ。


「先生!1位のダンジョンではどのようにして維持をしているのですか?」


今度は俺から質問する


維持さえしっかりできればいいのだ。


お金も入って危険もない。


100年も維持してるんだからなにか良い方法があるのだろう


「残念ですが、1位の氷のダンジョンでは維持はできていません。確認が出来たのが100年前というだけで現在は放置されています。島国のダンジョンだったのが幸いしていて、魔獣はなぜか海を渡れないそうです。ですから今では魔獣しかいない島となっているでしょう。別名魔界と呼ばれています。」


おワタ!


んで現在それに最も近いのがこの国ピースで


そこに現れた救世主の勇者


期待しないわけがないな。


そりゃ王様自ら会って聖剣も渡すわ...











「ホラ!今日の授業でて良かったでしょ!いい話聞けたじゃないか!」


「別にいい話でもないよ。」


「ジークはまだ拗ねてるの?心配しなくてもちゃんと時間かけて攻略するから。大丈夫だよ。僕が嘘ついた事ないだろ?」


「ないけどお前は半ば強引に進めていくからな。お前1人では危険だし、お前のペースに合わせてたら一緒に行くメンバーが危険だ。その辺ちゃんとやれよ?」


「その辺はジークに任せるから大丈夫だよ。」


ん?


「え?俺も行くの?」


「当たり前でしょ?ジークいないと僕が危ないよ?」


「行かなきゃ良くない?」


「放置してたらチャンスを失うよ?」


「バカだなぁ。チャンスもなにもないじゃんよ。あるかどうかもわかんないのに。」


「でもあったならこの機会を逃したくない。可能性は十分、戦力も十分。ならあとは経験だよね?」


「やだ。」


「じゃー寝てていいよ?背負って行くから。大丈夫、僕の背中は世界で1番安全だから。」


全然話し通じない


行きたくないつってんだろ!


なんだって魔獣がうようよしてるとこに自分からウキウキピクニックに行くのか理解できない。


怖いだろうが!


「ジークが魔獣嫌いなのも怖いのも知ってるけどね。ある程度は慣れないとこの先大変だよ?村の外にだっているんだから。対人戦だと頼りになるけど魔獣戦だとなんでそんなに怖がるかなぁ。」


「俺が悪いみたいな言い方すんな!普通は自分より数倍デカイ奴とか見たら無条件でビビるもんなの!俺が異常なんじゃなくてお前が異常なんだよ!」


「お二人とも?そこまでにしていただけるかしら?」


あ、こいつの存在忘れてた。


なんとか貴族のお嬢様


うちのクラスで座学1位のですわ系お嬢様だ。


「ごめんよシンディ。ジークが駄々こねるものだからつい。」


俺のせいかよ!


そうだ、こいつはシンディ


シンディ・ブランケットだ。


名字持ちは少ないんだけどな。


「ジークはいつまでもデュラン様に駄々を捏ねるのをおやめなさいな。デュラン様はとてもお強く、正義感の強いお方。ジークの臆病風も生きるために必要とは理解出来ますが、それはデュラン様には不要な感情ですわ。」


「さよけ。俺をディスるなら1度でも俺に模擬戦勝ってから言えよ。毎月クラスの3位さん?」


「模擬戦だけが全てではないですわ。座学では常に1位ですの。そしてジークは毎月ビリ。総合的に見て私は貴方に負けているつもりはありませんの。」


こいつは最初に模擬戦でボコしてからむちゃんこ仲が悪い


俺らが来るまで模擬戦も座学もトップだっただけにプライドがあるのはわかるけど、妙に俺に突っかかる


そんでデュランにめちゃんこ甘い


「別に総合で負けてても悔しくねえよ。力のねえ奴の勇気なんて危険なだけだろうが。あぁ、そっか。デュランに守ってもらうんだから弱くても関係ないもんな?そりゃ怖くねえわ。」


「ワタクシ、足を引っ張るつもりはありませんの。1対1ではジークにはまだ勝てませんが団体戦ならジークより活躍できますわ。」


そんで口がめちゃんこ強い


「まあまあ。その辺にしませんか?私達全員初めてのトライですし、仲間割れしている場合ではないと思います。」


このメガネっ子...


誰だっけ?


「ジークさん、ひどいですよぉ。私の名前忘れてるでしょう?」


ふぁ!?


なぜに...


「はぁ。私はマルカです。近接戦はクラスでも下の方ですし、魔術の幅も少ないですが。魔力量は学院でもトップクラスです。ついでに魔眼持ちで皆さんの状態や残存魔力量を確認できます。学院長との模擬戦でも私ステージにいたのにまた忘れたんですか?」


あぁ!


あの時のメガネちゃん!


ふっくら感がいいよね!


「いつも授業にでないからこうなるんだよ?たまには授業にも出てクラスの皆と交流した方がいいよ。」


ぐぬぬ...


言い返せない。


「ほんでなんでこのメンバー?もっと希望者いたんじゃないの?」


「呆れましたわ...ダンジョントライは基本は4名で挑むものですの。4名までしか各階層にあるボスフロアに入れないからって授業で...貴方出てませんでしたわね。失礼。模擬戦の順位で上位3名、サポート役で魔眼持ちのマルカという事に決まりましたの。普通は流れでわかるかと思いますが?」


こいつは好かん!


「まあまあ。今のはジークが悪いからね?けどシンディももう少し優しくしてあげてよ。シンディもジークの強さは知ってるだろ?必ず戦力になる。僕らでこのダンジョンを終わらせるにはこのメンバーがベストだろう?なら仲良くしないとね。」


こいつは...好かん!


お互いプイっとしてから冒険者ギルドにはいる。


この日俺らは冒険者になるのだ。














ーーー悪夢の始まりはまだずっと先。


けれど一歩ずつ近づいていた。




ですわ系が1人は欲しいんです。


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