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5年後

よろしくお願いします。

ーーーデュランが死んでから5年が過ぎた。


あれから色々あったが、目的は1つだ。


バトラーを殺す。


それだけが俺の生きる意味だ。










デュランは言った。


俺ならデュランを超えられると。


俺はあいつの言葉を嘘にしてはならない。


だから、デュランを超えてバトラーを殺す。


そのためにあれからずっと鍛えてきた。


それでも未だにデュランの当時のレベルにはまるで追いつかない。


デュランに追いつけないでどうしてバトラーを殺せる?


早く追いつきたい。


なぁ、デュラン。


俺の事見ててくれよ。


絶対に殺してやるから。


そうしたらお前もこの窮屈な剣から解放してやるさ。


だからもう少し待っててくれ











「前に出すぎですよぉジーク君!」


マルカが叫んでいた。


構うか、デュランならこの程度の雑魚に苦戦しない。


聖剣で目の前のワイバーンを切り裂く。


聖剣[デュランダル]


俺が命名し引き継いだ。


デュランの時とは違いいつだって使用できる。


きっとデュランのおかげだ。


こいつのおかげでこの地下43層の魔獣ともなんとかやりあえている。


「もう!聞いてるんですかぁ?ここは定石通り罠を仕掛けて待ち伏せかぁ、魔術にて牽制しつつぅ隙をみての攻撃でしょぉ?」


「あの程度の雑魚に時間をかけてられない。もうこのダンジョンの時の結界は消えているんだからな。どこまで成長してるかもわからん。」


「早めの攻略のためにもぉ最善を尽くすべきですぅ!油断すればジーク君だってぇ死にますよぉ!」


「こんなところでは死なない。俺は最短でいく。」


俺はそのまま潜り続ける


マルカは文句を言いつつ付いてくる。


今潜っているのは魔界のダンジョンだ。










魔界のダンジョン以外はここ数年かけて全てをクリアした。


クリア済みのダンジョンにも念のため確認しに行った。


コアを破壊した事によるためか、レベルアップの恩恵か俺は3ヶ月ほど前にようやくクラスアップした。


超級クラス[聖騎士]だ。


やっと超級、デュランの背中が見えた程度だ。


その時のレベルで53


スキルや魔術は学院で学べる物は全て身につけた。


中には特殊な種族限定物などがあり、その辺りは習得出来なかった。


けれど大半は身につけて今は魔界のダンジョンに潜り続けている。


魔界のダンジョンの結界は消えていた。


恐らくはデュランが突破した時に破壊してしまったのだろう。


なら成長も再開しているはず。


当時で50階層、今はどこまで成長しているかわからない。


早く攻略しなければならない。


今は俺とマルカの2人で攻略中だ。


ペーターとシンディも先程までいたが消耗が激しく一旦ダンジョン外に帰還している。


マルカだけが俺についてくる。


「別に無理して付いてくる必要はない。他の2人同様帰還してて構わないぞ?」


「ジーク君1人だとなにかあったらどうするんですかぁ?他の2人も残存魔力が2割を切ったので無理矢理帰還させたんですぅ。ジーク君ももう3割ないですよぉ。一旦帰還しましょう」


「3割もあるならここのボス位はやれる。問題ない。」


「...ここのボスを倒したら帰還しますよぉ。」


魔力が残ってればもう一層行くけどな。










ボスフロアに到着した。


ここの雑魚はワイバーンにクラーケンに魚人だ。


どいつがボスになろうと関係ない、倒すだけだ。


なんせデュランが3歳の時に素手で突破できたフロアだ


倒せないはずはない。


扉をあけると総勢数百はいるであろう雑魚とでけえクラーケンがいた。


「デビルクラーケンですねぇ。氷の上級魔術を複数同時に行使しますぅ。その上再生力が高く、内部のコアも常に動いていて位置を把握しづらいの注意を。」


「わかった。隠れてろ。」


マルカはゴーと一緒にダンジョンの隅に移動する。


「かかってこい。雑魚共!!」


俺は聖剣を振るう


的確にコアを一撃で破壊する。


ワイバーンのブレスも


魚人の氷の魔術も何度も見た。


こんなの当たるかよ!


雑魚を相手していてもボスは放置してくれない


俺目掛けて何度も魔術が飛ぶ


その全てを他の魔獣を盾にして躱しきる


「イカ野郎は待ってろよ。こいつら殺したら相手してやる。」


20分程かけて攻防を繰り返し


ようやく巨大イカとのタイマンだ。


ちっ


魔力を結構消耗した。


40層を超えたあたりで魔獣のコンビネーションが劇的に上昇した。


数が多いだけあって厄介だ。


こんなのを相手にしてたんだから本当にデュランは化け物だったな。


コアを発見して貫こうとした瞬間


氷魔術が降り注ぐ


その全てを躱すと地面から触手が生え、俺を捉えようとした


「ハイ・シールド!」


マルカの上級の盾が触手を拒む。


数秒で破壊されるもその隙に俺はコアの破壊に成功した。











魔力の消費に伴い帰還したがその間マルカはずっと小言を言い続けた。


「ジーク君!聞いてますかぁ?あんなに無茶を重ねて...いつか死にますよ!強化もさせないで、とにかく特攻なんて。そのスタイルはジーク君のものではありませんっ!」


「触手の一本位、攻撃されても問題ない。闘気でカバーできる。」


「そうやって自分の身体を過信してぇ、搦めとられれば次は魔術の攻撃を躱せません。そういった慢心がジーク君をぉ、って聞いて下さいよぉ!」


マルカは最近毎日こうだ。


文句があるならついてこなくていいと何度も伝えているのに。


「ジーク、またマルカを悲しませて。貴方の力は以前よりも遥かに強い、認めますわ。」


「なら問題ないだろう?」


「いいえ、問題しかありませんわ。この際ですから強く言わせてもらいますの。ジーク、貴方はジークであってデュランさんではありませんわ。聖騎士であって勇者でもない。同じように戦闘はどうあってもできませんの。」


「知ってるが?」


「なら!」


「それでも俺はこの聖剣と進むんだ。この程度の所で立ち止まれない。こんな所で死ぬようなら土台無理な話しだろ?魔王を倒すなんて。」


「いいえ、違いますわ。我々はパーティですの。1人では無理でも全員で挑めば勝てるかもしれませんわ。4人の力をそのままではなくて、策で何倍にも高めて戦えばきっと勝機がありますの!」


「お前は見てないからそう言えるんだ。」


「そう、ワタクシは見てませんわ。足手まといでしたもの。だからこそ!次は準備を整えて強くなって皆で!」


「俺らが束のなったらデュランを倒せるか?あれから5年経つが今の全員でどれだけの策を仕掛けりゃあいつを倒せる?無理だろ?」


「今は無理でもいつかは出来ますわ!必ず。」


「俺には無理だと思うけどな。事実あの時の俺たちはただの足手まといだった。デュラン1人なら、最初から全開で戦っていたなら、きっとあの戦いは違う結末になっていたはずだ。」


「お前はいつまでそんな事言うつもりだ?デュランはそんな捻くれちゃあいなかったぜ?」


「お前らも同じ事を何度言うつもりだ?必要なのは絶対的な強さだ。デュランが出来なかった事を俺がやる。文句があるなら王都に帰れ。必要ない。」


そう言うとペーターが俺に向かってきた。


やるのか?


構わない。


その間マルカが割って入った。


「2人ともぉ落ち着いて下さい。2人とも超級クラス、それが本気でぶつかれば怪我では済みません。その上残存魔力も少ない中で戦えば致命傷にもなりかねませんよぉ?冷静になりましょう。」


なんだ、やらないのか。


「ジーク君。貴方を心配する人を蔑ろにしてはいけませんよぉ。皆貴方を心配して「うるせえ!」」


いつもいつも同じ事を言いやがって!


「誰が心配してくれなんて頼んだ?なあ?俺は1人でやるんだ。あいつはいつだって1人でなんでもやってきた、あんなところで死んでいい奴なんかじゃない!」


「そのデュラン君が今のジーク君を見て喜ぶと思うんですかっ!」


「関係ない!あいつは...俺のせいで死んだんだ!あいつにコアを破壊するように言えば良かっただけなのに、俺があいつの邪魔をした。そしてあいつに託された。なら俺がやるしかないだろうが!」


「デュラン君を聖剣から解放する...それはとても良い事だと思います。魔王を討伐する為に強くなる。それもいいでしょう。けれどぉそのために1人で死にかけてまで無茶を繰り返せなんてデュラン君が言うと思いますか!」


「ならどうやって強くなる?あいつが時が止まったここで数十年、或いは数百年もの間戦い続けた。それにどうやって追いつく?このペースでやってればいずれ老い、そして死ぬ。そうなるよりも早く突き進むしかないだろうが!」


マルカは答えられない。


当たり前だ。


高レベルは老いにくい、寿命も延びる


それでも記録されてるのは精々が200年。


毎日毎晩戦い続けたあいつの年数でさえそれだ。


追い越すにはさらに無茶を重ねるしかない。


「もうほっとけ。お前らまで付き合う必要はない。」


そう言って俺はダンジョンに潜った。


また一層から...










「あいつはもう死ぬまで突き進むしかねえのかよ...」


「そうはさせませんわ。ワタクシ後ろから隠密を使ってついていきますの。お2人はここで休憩されて下さいまし。半日もあれば戻るでしょうから。」


「...すいません。私がもっとうまく伝えられればぁいいんですけどぉ。」


「マルカは悪かねえ。...誰も悪くねえんだよ...。」










ジークは進む。


ただひたすらに進み続ける。


友の聖剣を携えて。


ようやく幼少期を過ぎました。

いや、10歳も...

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