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よろしくお願いします!

デュランは笑顔のままだった。


だけど俺にはわかる。


右手は微かに震えてるし、その笑顔はいつもの笑顔ではない。


「お前はバカだな。そんだけ戦っても今もバトルジャンキーしてんだから。」


「え...僕が怖くないの?いつ声に乗っ取られるかもわからない、戦闘狂だよ?」


「怖いに決まってるだろうが!ここで怖くないとか言う奴はお前の力を知らない奴だ。知ってて言う奴は頭のおかしな奴だ。お前は怖い。それは間違いない。」


「だったら...」


「だからと言ってお前俺の友達には変わりない。幼馴染なのも変わらない。お前が変わらない限り俺とお前の関係は変わらない。」


「ジーク...君は随分と頭のおかしい奴だね?」


今度こそデュランは笑っていた。







「デュラン君がぁなにかに操られる可能性があるとぉ、それはぁこの国も含めて人類の危機ですからぁ突き止めないといけませんねぇ?」


「デュランさんはワタクシ達を何度も救ってくれたでしょう?お困りならそれを取り除くお手伝いをしなければいけませんわね?」


「俺も似たような状況だしな、他人事とは思えない。一緒に乗り越えんぞ!」


「皆...ありがとう!」


パーティメンバーは受け入れたようだ。


まあ今すぐなにか起こる兆候はないしな。


けれど国王だけは違った。


「勇者よ...その声に心当たりはないか?」


「いえ、ないです。少なくとも村や街で聞いた声ではないですね。」


「そうだろうとも...その声の正体、教えてもよい。」


!?


国王が知っている?


「その声の正体は過去の勇者達の声だ。勇者のクラスはエクストラクラス、世界でたった1人しかなれず同時に勇者は存在しない。」


「過去の、勇者...」


「勇者としての力が一定値を越えるまでは過去の勇者により自我を乗っ取られる。そして強制的に戦闘を強いられレベルを上げさせられる。」


「それは...何故ですか?」


「勇者とは人類で数少ない先があるやもしれぬクラスだからだ。」


先...


勇者の先。


超級の先は天級、人類未だ到達したことのない領域って聞いたけど。


「勇者のクラスは過去の勇者の力を蓄える性質があるようだ、つまり、いずれは至る。天級へと。それが目的なのだろう。今のままでも近接戦なら或いは天級にも対抗できるやもしれぬ、けれど敵わないかも知れない。もしも天級クラスが人類に牙を向けた時に守り手として在りたいのだろう。」


「デュラン、そいつらとは意思疏通はできるのか?」


「できないよ。一方的に声が聞こえるだけ、同じ事を繰り返すだけだよ。」


「くそ身勝手な奴らだな。」


「そうだ。身勝手だ。しかし現状人類全てもその身勝手な彼らに頼るしかないのも事実だ。」


「そもそも天級クラスがなんで襲ってくる前提なんだ?襲ってくるかもわからない、事実ずっとなにもなかったんだろう?それなのに備え続ける理由はなんだ?」


「ちょ、ジーク!相手は一国の王様、それも我が国の王様ですわよ?」


「先程も言ったが構わん。我らは勇者と其方らに託すしかないのだ。」


託すしかない?


「いずれ天級クラスが人類を滅ぼしに来るのは目に見えておる。理由は其方らがいつも挑んでいるダンジョンだ。」


「ダンジョンが...」


「ダンジョンは何故できるのか?理由は単純だ。冥界と繋がっているんだよ。冥界との橋渡し、それがダンジョンだ。」


「冥界との橋渡し、ですかぁ。つまりはいずれダンジョンから冥界の住人がくる、とぉ?」


「間違いなくくる。何故階層毎に報酬が用意されてる?人を呼び込むためだ。なんのために?内部の魔獣を殺させたり、侵入者が死ねばダンジョンが育つ。」


「育てば育つほど冥界に近づく、という事ですわね。」


「あぁ。そうだ。何故魔界の結界内と外では時間の流れが違う?一定まで育ったダンジョンが成長させないように時の流れを限りなく遅くしたからだ。」


時の流れを遅くした?


「沢山の生贄が必要な大魔術だったと過去の文献には載っておる。数百数千では足りない程の犠牲を払い止めたのだ。冥界からの刺客をこさせないためにな。」


「冥界とはそもそもなんですか?」


「そうだな、今我々が過ごすこの世界は[人界]隣併せで[天界]と[冥界]がある。我々人類は神が創造した生物と言われ、天界は神の従者達が住まう世界と言われている。」


天界に冥界


聞いたことないのがポンポン出てきてついていけなくなってきた。


「そして冥界、ここは神によって創造された生物の失敗作と離反した従者を閉じ込めるために作られた世界という話しだ。故に生きるのも過酷な世界、この人界とは比べ物にもならない程の環境だそうだ。」


つまりは、冥界に住む奴らは人界そのものを求めてると。


「けれど人界と冥界を隔てる壁は厚い。そこを突破するためには相応の力が必要だ。それがダンジョンだ。両側の世界の命を代償に育ち、少しずつ階層を伸ばす。そうして伸びきった先には...冥界がある。」


「だからダンジョン攻略を国が支援していると?」


「先送りにしかならんが、ダンジョンコアを破壊すればダンジョンは止まる。そうして止めてきた。だがもしもまた魔界のように止まらなければ?そうして冥界から刺客がきたら?その時のために勇者は必要だ。抑止力は必要なんだ。」


「...待ってください!もしも、もしもデュラン君が死んだらどうなるんですか?」


「無論他の勇者と同じように次代の勇者に取り憑く事になる。勇者が死ねば10年前後で次代の勇者が誕生する。それの繰り返しだ。」


「その繰り返しを終えるには?」


「わからぬ。天級に至れば終わるのか、至ればその先を目指すのか。どうすれば良いのかはわからぬ。」


「んじゃデュランは死ねないな。ダンジョンを調べて出現させない方法を確立する。そんでデュランを勇者から解放する手段も探す。それでいいだろ?」


「君は...本当にバカだね、ジーク。」


「お前程じゃない。」









「なあ、そういや魔界にあったダンジョンってコア破壊したのか?」


「当時の僕がコアなんてわかると思う?魔石だって1つも拾わずに帰ってきたんだよ?」


「もう1度その龍を討伐しなければいけないわけですねぇ...初回報酬も全てそのままですか?」


「そうじゃないかな?まだあればそのままだと思うよ?」


「参ったな...50層か。」


「多分今の皆なら30層までは問題ないと思うけどね?」


「お前の問題ないが信用できん。」


「なんでさー!なんならダンジョンを1日封鎖してくれれば僕がクリアしてきたっていいよ?」


「お前なぁ...せめて俺とペーターは連れてけ。」


「いいけど。21層までなら聖気も必要ないし、問題はないかな。」


「では明日封鎖する事にする。頼まれてくれるか?」


「勿論ですよ!王様!」


こいつはやっぱ素で戦闘狂だ。












20層からのトライ


俺とペーターはデュランをひたすら追いかける形でついていった


正確に言うとペーターが俺を背負って走って追いかけている形だ...


無理無理


あんなの早すぎだから。


だって俺まだ20層に来てから魔石しか見てないよ?


ボスも同様


フロアに着いたときには魔石になっていた。


「お前もう少し速度落とせよな」


「え?なんで?ちゃんとペーターの足に合わせてるでしょ?」


「...まあいいか。」


「俺ら魔石回収係になりつつあるけどこんな予定だったか?」


そうして20階層はあっという間にクリアした。


21階層、ここが現在確認されている最下層


なのに全く脅威を感じない


相変わらず魔石しかない。


ボスフロアだって到着したら大型のリザードマンが魔石になる瞬間だった。


「うーん。初回報酬は出てきたけど、コアはないね?」


「そらそうだろ、奥見てみろよ。」


奥を見れば扉があった。


何度も見てきた扉


あれは...


「さらに階層があったって事だな。どうする?」


「進むしかねえんじゃねえか?余裕はあるし問題はない、だろ?」


「そうだね。目標はコアの破壊だもんね。行こう!」


扉を越えた先は


ーーー広大な森だった。










「闇のダンジョン、とは思えない程に美しい森だね?」


「広い森に綺麗な湖。それを一望できるこの位置...絶景っつーんだろうな。孤児院の皆にも見せてやりてえ。」


「鬼も喜ぶ絶景な。まあ綺麗だけど、油断はすんな。」


綺麗な光景に似つかわしくない物が一つ中心にある。


黒々とした塔


周辺を湖に囲まれている塔


「デュラン、前のダンジョンでこんな風なフロアはあったのか?」


「ないよ。概ね今までとずっと変わらない。ここはもしかしたらレアボスとかがいるフロアなのかな?」


んなバカな。


ラッキーペンダントも豪運持ちのシンディもいない。


「もしくは...コアがあるところは特殊フロアになるとか、かな?」


「なら他のダンジョンでも目撃されていたはずだろ。」


「条件とかか?」


「なんの条件だよ。わざわざ綺麗なフロアを出現させてダンジョン側のメリットがない。」


あぁ


こういう時にマルカ先生がいればな...








「魔獣が1匹もいないな。つかデュランはなんで走ってかないんだ?」


「魔獣が1匹もいないからだよ。」


そうか。


もう黒い塔につくのに1匹もいない。


おかしい...このフロアはなにかおかしい。


「やはり1度戻らないか?マルカに相談してからでも良いと思う。」


「ジーク、デュランがいるんだぞ?レアボスだろうと不安はないだろ?それに戻ったらもうここには来れない可能性もあんだろ?」


「僕も同意見だね。自分の力を過大評価してるわけではないけど、仮にレアボスでも問題はないよ。」


むむー。


嫌な予感がするんだよなぁ。


ビビってるだけか、いつもと違う環境に。


「それもそうか。んじゃいくか!」


扉を開く


デュランさえいれば問題ない。


そう思っていたんだ。









ーーー扉を開くとそこには魔獣はいなかった。


けれど人はいた。


全身黒のローブにフードで顔は見えないけれど


人?


「やあ、遅かったね。観光でもしてたのかい?美しいフロアだったろう?」


「あぁ!とても美しいフロアだっ「デュラン!警戒しろ!こいつはおかしいなんてもんじゃない!ボスフロアに人だぞ!?お前は...何者だ?」」


そいつは頬をポリポリと掻きながら言った。


「はは。まあそうだね、ここはジークが正しいのかな。デュランも緊張感を保たないとね。油断すれば...すぐに終わるよ。」


そいつはそのままペーターに攻撃しようとしてデュランに阻まれた。


見えなかった...こいつは、一体。


「はは!流石は勇者だね!裏切り者の赤鬼は先に仕留めたかったんだけど...勇者でもいいか!」


「残念だけど、赤鬼じゃない。ペーター、僕の大事な友人だ!やらせるわけにはいかないね。」


声だけが響く、2人の姿なんて見えやしない。


「ペーター!ジークを守って!後ろに出来るだけ下がってて!」


「任せろ!そいつは頼んだぞ!」


俺たちは足手まといだ。


わかってるけど...なんでこんな階層にデュランと互角の奴がいるんだ?


「やるもんだね。潰しにきたのは正解って事だね。うん、じゃあもう少し強くいこうか!」


ガァンッ!


言うなりデュランは壁に吹き飛ばされていた。


え?


...片腕がない


「勇者だろう?本気を出さないと死んじゃうよ?」


「実力を隠してるのもわからなかったよ...参ったね。聖剣も今頃抜けるようになるなんてね。」


デュランが勝てない...


なんでそんな奴がここにいるんだ。


「デュラン!」


俺とペーターはデュランに駆け寄り治癒を施す


左手は既に見当たらない、止血だけでもしないと


「少し、話そうか。すぐに殺してもつまらないしね。」


「それはお優しいこったな。なんの話しをするってんだ?あぁ?」


瞬間ペーターの目の前で爆発が起きた。


俺もデュランもペーターも吹き飛ぶ。


「君とは話すつもりはない。次に口を開けば一瞬で肉塊にするからそのつもりでね?」


「...俺とはどうだ?」


「ジーク!君とは話したいと思ってたんだ。とても興味深い人材だ。」


「それはどうも。まず名前から聞いてもいいか?」


「あぁ、そうだね。これは失礼だったかな?僕の名前は[バトラー]一応冥界の五大魔王の1柱を担ってるよ。」


そう言ってバトラーは笑っていた。










ーーー突如として現れた魔王


それは遥か格上、天級のクラスだった。


台風凄かったですね。

深夜にうるさくて全然眠れませんでした...。


皆さんは大丈夫でしたか?


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