表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/23

牛鬼と青鬼と赤鬼

よろしくお願いします!

地下14階層


そこは牛鬼と青鬼が住まう超近接型のフロア


速さと片手斧による闘気を込めたスキル連撃を繰り出す牛鬼


高位の武器でなければ闘気を纏わなければ攻撃は通らない青鬼


ここまでの階層全ての約1/3程の広さを誇る森のフロア


ーーーそのハズだった。








「マルカ先生?聞いてた話しとまるで違くないか?俺が聞いてた階層って14階層じゃなかったとか?」


「いえ、これはおかしな事になってますねぇ。聞いた事もないですよぉ。ボスフロアの扉を潜ったら大森林があるはずですがぁ、目の前には大きな扉1つ、後ろの扉は消えてますぅ。」


「そしてこの扉は今まで幾度も見てきた扉ですわ。間違いなくボスフロアの扉ですわね。」


「じゃあ道中の敵と顔を合わせなくていいじゃないか!ラッキーだな。」


ラッキー...


「猿のペンダントか。」


「ですわね。ここはレアボスフロアと言う事でしょう。デュランさんが来ない事からもその可能性は高いですわね。」


「あいつ今頃本来の14階層で大暴れしてんだろうな。」


「想像つきますぅ。こっちは大ピンチなんですがぁ。」


「え?ピンチなの?レアでラッキーなんだろ?」


「そう。レアでラッキーで大ピンチだ。」


デュラン不在のレアボスは想定してなかった。


まぁゴーもいるしなんとかなるか...


つか転移石もないし、倒さないと帰れないしな


「現状の確認しますよぉ。まずレアボスがいると見て間違いないと思いますぅ。牛鬼と青鬼どちらがレアボスになるかはわかりませんがいくつか想定して策を練りますよぉ。」


マルカによる作戦会議は1時間近くかかった。










「ではパターンA〜Gのどれかに当てはまる事をぉ期待していきましょぉ。どれもゴー君とジーク君のぉ負担は大きいですがぁお願いしますねぇ。」


「ちゃっちゃと終わらせて帰って飯食いたい。そろそろ腹減ってきた。」


「いいなそれ!俺も朝は緊張してあんま食えなかったから...」


「ここが正念場ですのよ。気を引き締め直していきますわよ?」


扉に手をかける


ボスは牛鬼でも青鬼でもなかった。


情報が全く無い第三の鬼


赤鬼が中央にいた...


牛鬼と青鬼も10体ずつ横に並んでいた


扉をそっと閉じて、会議してた所に全員戻る


「マルカ先生、こういう時どうすればいいですか?3体目とかありなんですか?」


「これは困りましたねぇ。他の数が少ないのはぁ助かりますけどぉ、魔力量からいって牛鬼も青鬼も通常ボスクラスですよぉ。」


「は?」


「因みに赤いのはぁその数倍上の魔力量ですぅ。10層のレアボスフロアとは比べ物にならない難易度ですぅ。間違いなく現在発見されている最深部よりも強敵ですねぇ。」


「無茶苦茶ですわ...」


「デュラン君もいない現状だとぉ勝率は恐らくないですねぇ。」


「おワタ。」


「諦めが早すぎますの!」


「なぁ...今すぐ戦わなきゃいけねえのか?」


「何言ってんのペーター。お前バカ?倒さないと帰れないだろうが。」


「いや戦うのに反対なんじゃなくって、時間の話しがなんだけど。」


「時間、ですかぁ?」


「だって2人ともクラスアップ間近なんだろ?だったら夜まで待って全員レベル上がってからでもいいんじゃないかって。ついでにクラスアップもしたら儲けモンだろ?」


「お前天才じゃん。採用!」


「掌返し凄すぎますの...」


「そうですねぇ。少しでも戦力を上げたいところではあるのでその案でいきましょう。一応非常食なんかも少しは持ってますので分けますねぇ。大半はデュラン君に持って貰ってたんで本当に少しですがぁ。」


「あいつ今回マジで役立たずだな。飯まで奪っていくなんて。帰ったらトイレ掃除3年だな。」


「勇者がトイレ掃除って...このパーティ本当に容赦ねえな。」


そんなわけで深夜まで各々時間を潰す事になった。








「少しいいですの?」


「なに?おまえ暇なの?俺は寝るのに忙しいから起きたらにしてくれ。」


「これからレアボス討伐が無ければワタクシ永遠の眠りにつかせてしまいたい位ですわね。ですがその討伐に必要な事ですので1度起き上がりなさいな。」


「短めにしてくれ。」


「それはジーク次第ですわね...ワタクシが使えるスキルを教えますの。今すぐ覚えなさいな。」


「ムリ。じゃまた討伐の時までさよう...うおっ!危ねえな!」


「今のままでは勝てませんわ。するかもわからないクラスアップに全てを賭けるわけにもいきませんし、少しでも可能性を広げる必要がありますわ。」


「スキルなんて数時間で覚えられるわけないじゃん。魔力の無駄遣いだ。」


「そうですわね。けれど魔力は気にしなくていいですわよ?深夜のレベルアップ時に活性化してほぼ全回復するそうですから。」


「えー!余計なお世話なんですけどぉ。」


「もしもスキルを1つ覚えられたら1度だけなんでも言う事を聞いてあげますわよ?」


「やる!超やる!3つ位覚えてやる!」


「本当に殺してやりたいですわ...覚えてもらうスキルの候補は2つ。ダブルアクセルと闘気変換ですわ。」


「なんだ。どっちも知ってるスキルじゃんか。つまんな。」


「ポピュラーですが大事なスキルですわ。相性もいいですし、なによりボスクラスの牛鬼のスピードに対抗できる者がいないと終わりますの。」


「頑張れ。」


「貴方が頑張るんですのよ!」


そうして深夜までの時間を特訓に使う事になった...









「闘気変換は簡単だったが、ダブルアクセルは結構キツイな。皆使ってくるからもっと簡単かと思った」


「ワタクシでもダブルアクセルは3回に1回はいまだに失敗しますわ。Aクラスで使えるのワタクシとデュランさんだけですわよ?」


「映えある3人目になれたわけだ。」


「悔しい事にセンスの塊ですわ。ワタクシがダブルアクセルを初めて成功させるまで3ヶ月はかかりましたの。」


「でも覚えられると思ったんだろ?」


「初級をすっ飛ばして中級魔術を習得する位ですもの、どっちか1つは覚えられるんじゃないかとは期待してましたわ。」


「けどどっちも連続しては使ってたらすぐに魔力枯渇しそうだ。」


「闘気変換は特に消耗が激しいですわ。注意して使用して下さいまし。」


「へいへい。」


「流石ですねぇ。ジーク君にスキルを覚えさせるなんてぇどんな手を使ったんですかぁ?」


マルカとペーターが近づいてきた


「ワタクシの魂を売りましたの。」


「パーティメンバーを悪魔扱いか!」


自分で提案してきて酷い言い様だな。


ペーターもっと言ってやれ


うっ...これは...


「きましたわね...ワタクシはあちらに移動するのでなにかあれば言って下さいまし。」


そそくさと移動するシンディ


「いてぇ!頭が割れそうだぜ...なんでシンディはあんな澄ました顔してられたんだ?」


「貴族ですからねぇ...譲れないなにかがあるんですよぉ。私は鎮痛剤使ってますので痛くないですけどねぇ?」


「は?俺には?」


「念のため持ってきただけなんでぇ、一個しかないですよぉ。あれ?ゴー君も痛いんですかぁ?ゴー君は痛覚ないはずなんですがぁ。」


ゴーを見るとプルプル震えてる


「いてぇ!これが毎回とか冒険者はドMかよ...」


「いえいえ。普通はこんな頻繁にはなりませんよぉ。あくまで私達がオーバーペースだからですぅ。」


「どゆこと?」


「そのままの意味ですよぉ。1、2階層はともかく、普通の冒険者は1階層クリアするのに何日もかけますからねぇ。明らかに異常なペースでのクリアですからぁ身体がついていけないんですよぉ。」


「それ早く言ってくんない?」


「クリアできる人材がいるなら早い方がいいですよぉ。」


良くない!









数時間の激痛の後、ようやく解放された


「想定通り私は治癒士にクラスアップでぇ、シンディさんは狩人にクラスアップしましたぁ。」


「ん?シンディって見習い狩人だったの?」


「そうですわよ?なにか?」


「複数の武器の習得が早く、なんでもこなせる優秀なクラスですよぉ?」


「ジークはパーティメンバーのクラスすら知らないのか...」


「興味なかった。」


「ワタクシも貴方に興味ないのでお互い様ですわね。折角のクラスアップでステータスは上昇してるんでしょうけれど...」


「はい。流石に魔術やスキルを習得する時間はないですねぇ。1日や2日で習得できるとも限りませんし、食べ物等ももうないのでぇ。」


「まぁ普通そうだよな?ジークが異常なだけで。俺もマルカに教えてもらったけど、ライトシールド覚えられなかったし...」


「気にしなくていいですよぉ。でも筋はいいのであと数日で覚えられそうですぅ。戻ったらまた練習しましょうねぇ。」


「頼むな。」


なんで魔術習得をそんなに喜んでやれるんだよ。


魔力消費すると疲れるしフラつくしでダルいのに。


「作戦は?どれでいくの?」


「そうですねぇ。結局は赤い鬼の能力がわからないと対策がとれないんですけどぉ、とりあえずはパターンBをメインに展開してみましょう。長引けば不利なのはこちらですからぁ。」


パターンB


俺がアースランサーでの移動でボスを直接狙う作戦


ゴーによるシルバーゴーレムの10体の作成とゴー自身によるフォロー


動きを止めた牛鬼はシンディの的


牽制でマルカはボーガン乱射、俺に強化と結界を貼り続けるのに魔力のリソースを割く


ペーターは回復要員


今ならスキルも使えるしやれない事はなさそうだけど、マルカ曰く赤鬼の魔力量は俺を超えるらしい。


上級クラス以上の魔獣って事なら苦戦は免れない。


デュランはこういう時のためにいるのに...


マジで役立たずだな。


「んじゃ今度こそ行くか!」


扉に手をかけると再び赤鬼達がいた。


さっさと片付けて帰還したい。


全力でやってやる!













この時のマルカの想定では勝率30%


クラスアップもスキル習得も考慮にいれての想定だ。


しかし現実は想定以上の結果が出る事になる。


最高の結果でも複数人の死者がでる、これがマルカの想定だった。


勿論誰にも言わなかった


言えなかった


ーーー事態は想定通りにはいかなかった


良くも悪くも...


デュランの出番なし!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ