新メンバー
よろしくお願いします!
「1人で学校抜け出してそんな楽しい事してたんだ。ズルイよ!」
「全然楽しくねえよ。危うく死ぬとこだった。」
「ジークのミスって珍しいよね。因みにボスのスライムはコアを失っても数分消えないってのはマルカが言ってたからね?」
「マルカはもっと俺に聞かせる努力をするべきだ。」
「君が普通に聞いてればいい話しだよ。」
デュランは羨ましそうにしていた。
どうせ昨日も学院の奴らと模擬戦三昧だったくせに
「それにしても一層しか攻略してないのに昨日は相当痛がってたね。」
「2人での攻略だったからな。経験値も多かったんだろ。つかソロはキッツイわ。11階層で難易度上がりすぎだ。」
「いやいや、11階層は10層より圧倒的に簡単って言われてるからね?」
「どこが?即再生に酸弾、コアは動き回るし、デカすぎて普通の武器じゃリーチが足らない。近接系パーティじゃ詰むぞ?」
「これもマルカが言ってたんだけど、スライムは温度変化に異常に弱いんだよ。熱を与えれば溶けるし、凍らせると再生できない。だからボス前までは近接で倒してボスには火か氷で攻めれば楽勝だって言ってたよ?」
「俺の苦労を返せ!!」
マルカの話しはもう少し聞こう。
俺は今日も学院をサボる。
何故なら今日もダンジョントライはないからだ。
正確に言えば今日こそ、ないからだ。
明日は午前中で授業は終わりだし、明後日はお休みだ。
普段の休みより早いんだけどなんでかは忘れた。
どっちにしろ俺には毎日休みみたいなもんだし。
デュランは早く攻略したいみたいだけど
俺は出来ればしばらく潜りたくない。
今日は昨日に続き孤児院に行く。
デュランの話しだと
「そのペーター君?は村人なんだよね?だったらレベルアップで何かしらの自身の資質にあった初級クラスに変化すると思うよ。」
との事で気になったからだ。
あいつ何になるんだろう?
孤児院に着くと爺さんが出迎えてくれた
「おぉ、ジークさんじゃないか!昨日はありがとう。あんな大金本当にいいのかい?」
「いいさ。俺が無駄遣いするよりここの方がよっぽど良い使い方をするさ。」
「こんなに若いのに気前がいいねえ。ありがとうな。」
「どいたま。今日はペーターに会いに来たんだけどいるかな?」
「あぁ、いるとも。すっかり浮かれてるよ。」
おぉ
やっぱクラスチェンジしたか
「ペーター。遊びに来たぞー。暇か?暇だろう。付き合えよー!」
「ジークか。お前、本当に年上とか気にしないよな。俺8歳なんだけど。」
「ふふん。俺は恩人様だからな。」
「たまに妙にガキになるよな...あんなに戦ってる時はかっけえのに。」
「いいぞいいぞもっと褒めろ。」
「これで褒めた事になるんだから都合の良い耳だな。」
「良い事だけ聞く有能な耳さ。」
「へいへい。」
ペーターは大げさにお手上げポーズだ。
「んでさ、お前クラスチェンジしたろ?なにになったんだ?」
「お?気になる?俺も朝シスターに確認してもらってさ、ビックリしたんだけどよ。見習い治癒士だ!」
納得。
こいつ年齢よりずっと治療がうまかったし、心根も優しい。
天職だな。
「あぁ、結構治癒士は珍しいんだろ?すげーじゃんか。」
「だろ?これで次になにかあれば俺が皆を癒すんだ。それに見習いでも治癒士は相当優遇される、給金だって良いはずだ。これでこの孤児院も多少は余裕ができるさ!」
「見習いでも給金貰えるの?」
「当然だろ?見習いでも魔術は使えるんだ。回数や高度なのは無理でも基本の魔術は習得できるって。シスターは治癒士だけど見習いから10年かかったらしいから俺はそれよりも早く治癒士になるのが目標だな!」
ほう。
見習い治癒士って確かマルカもだよな?
学院全体で2人しかいないクラスとかって聞いた気がする
「んでいつから働くんだ?」
「流石にまだ決まってねえよ。魔術もまだ覚えてないしな。」
ふむ。
「んじゃ決まるまで俺に付き合えよ。良い考えがある。」
「なんで俺は学院まで連れて来られたんだ?」
「まあ説明はあとだ。もうそろ授業終わるからついてこいよ。」
「えぇ、説明はしろよなー。つうかジークは授業休んで良かったのかよ」
「俺は天才だかいいんだよ。」
俺は学院までペーターを連れて来ていた。
「いいや、よくないよ?ジーク。トイレ掃除も一体誰がしたんだろうね?おや、お友達かな?さては昨日話してたペーター君かな。はじめまして、ジークの友人のデュランだ。よろしく。」
「あ、ああ。ペーターだ。よろしく。」
門を潜ったら現れると思ってた。
「そ、話しが早くて助かる。悪いけど先に行ってマルカとシンディを空き教室に待たせてくれないか?入校手続きしたら行くから。」
「いいけど、説明は後でたのむよ?」
デュランは話しが早い。
「お前の友達すげーイケメンだな。あれお前の同い年?」
「ああ見えてあいつの中身化け物だからな。覚悟しとけよ。」
「聞こえてるからねっ!!」
「よっ!シンディにマルカは2日ぶりかな。」
「突然の呼び出しでなんですの?授業は受けなさいな。受けたくても受けれない人が沢山いますのよ?」
「天才ですから」
「その天才さんはぁどうやら昨日死にかけたらしいじゃないですかぁ、なんでしたっけ?ナニが死んでも治らないって言うんでしたっけ?」
ぐぬぬ。
デュランのやつぅ
「それに関しては俺のワガママのせいだ。ジークを責めないでやってほしい。」
「ーーージークは素晴らしい友人を得たようだね!ビックリしたよ、ジークが連れてくるんだからどんな人かと思ってたんだ。あぁ、マルカにシンディ。彼はペーター、昨日の件の孤児院の男子さ。それも自身の孤児院のシスターを救うために1人でダンジョンに挑んだ勇敢な男子だ。」
「おい、なにを話したジーク?」
「ありのままだけど?」
「ペーターさん、そいつはこの学院のゴミですから他人の嫌がる事を嬉々として行いますの。同じ学院生として申し訳ないですわ。ワタクシはシンディ、そこのゴミと遺憾ながらパーティを組んでますの。」
「おいそこのふざけた縦ロール。表でろや。」
「あら怖い。授業は毎回サボるわ罰のはずのトイレ掃除を友人にやらせるわ。その上恐喝ですの?ワタクシ震えてしまいますわ。」
こいつ!
「ジークもトイレ掃除だったんだな...でも人にはやらせるなよ。人に迷惑はかけちゃいけないっていつもシスターが言うぜ?それとシンディさん、俺のが年下だし平民だ。敬称はつけなくていいですよ。」
「あら。本当にできたお方。ジークと一緒にいると品位を見誤られるのでご注意を。それではワタクシの事も呼び捨てで構いませんわ。」
「ありがとう、シンディ。あとジークはあぁ言ったけどその髪型とても似合ってるし綺麗だよ。」
なっ!
こいつ!
シンディの顔が赤く染まってやがる
手練れか!
いや天然タラシか!
「それでは次は私の番ですねぇ、同じくジーク君とパーティ組んでますぅ、マルカです。同じ治癒士ですしぃ仲良くしましょうぉ。」
「お、よくわかったな。魔眼って便利だな。」
「そうですねぇ、治癒士の魔力はとてもわかりやすいですからぁ。」
「マルカさんは魔眼持ちなんだ!凄いね!どうりで真っ赤で綺麗な瞳をしてると思ったよ!」
「え、あのぉ私も呼び捨てで構いませんよぉ?私も平民ですしぃ。」
クネクネしてる
マルカは珍しいな
「ありがとうマルカ!これからよろしくな!」
「お前タラシだな。敵か。」
「なんだよいきなり、タラシってなんだ?」
「とにかく女を褒めまくって好感度上げようってミエミエのクズ野郎だよ!」
「え?そうなの?シスターには女の子の可愛いところは素直にドンドン伝えるようにって習ったよ?だから素直に言っただけだ。学院では違うのか?」
なにこいつ、とんでも教育されてやがる
孤児院怖いわ
「はは、ジークの言う事は気にしなくて良い。それはとても良い事だと思うよ?改めてデュランだ。よろしく。」
「あぁ、ペーターだ。よろしく、ってジーク!俺なんの説明もされないで連れて来られたんだけど、いつ説明すんの?」
「ん?これから。」
「何も言わないでここまで連れてきたんですの?ペーターが可哀想ですわ。学院生で常識がない野蛮人はジーク1人ですので一緒とは思わないで下さいね。」
「ジークが色々おかしいのは昨日わかってるから大丈夫。でもこいつはおかしいところもいっぱいあるけど良いところも沢山あると思うぜ。決してただの野蛮人じゃないぞ。」
「お前見直したわ。良いやつだな。」
「ペーター、皆ジークの良い所はぁわかってますよぉ。ただ普段があまりにだらしないので言われても仕方ないとも思いますぅ。ですからこの場合は中立を保つかぁシンディさんにつくのが正しいと思いますぅ。」
「マルカは口を挟むな!てかお前ら説明聞きたいの?聞きたくないの?」
「ペーターを連れて来たのには理由がある。お互いに大きなメリットがあるからだ。」
「メリット、ですかぁ?」
「そうメリット。こいつを臨時でパーティに加えるのを提案する。ついでにチームを一時的に2チームにする。メンバー構成は何度か入れ替える予定だけど、基本マルカとペーターは別チームだな。」
「お、俺を冒険者パーティに!?」
「あくまでペーターが仕事に就くまでだ。ペーターのメリットは金銭とレベルの上昇と実践経験、それとマルカからの魔術の知識を教われる。」
「いつのまにかぁ私が教える事になってますけどぉ?」
「うん。マルカは教えるのが上手いし人に合わせるのもうまい。良い教師になる。」
「ま、まぁいいんですけどねぇ。」
ちょろいな
ペーターのおかげで攻略法が見えた!
「ほんで俺らのメリットはメンバーを入れ替える事での応用力と少人数になる事での経験値の増大かな。実際に攻略スピードは落ちるかもだからそこは効率面でいうと下がるかもしれないが。」
「なるほどね。確かに大きなメリットだ。」
「だろ?昨日ソロプレイして1人ってめっちゃしんどいと思ったけど足りないとこも沢山見えた。ぶっちゃけデュランがいるとチートだかんな。結局居ると頼るし、下層に下がる前にその辺を修正したいわけ。」
「え?デュランってそんなに強いのか?ジークもめちゃくちゃ強くてカッコよかったぞ!」
あれ?
なんだろう。
男に褒められたのに...嬉しい!
俺はノンケじゃなかったのか!
いや、ノンケだ。
「ご、ごふん。俺も強いとは思うがこいつは別格だ。昨日のボスもこいつなら10秒以内で瞬殺できるしノーダメ確定だ。」
「それは言い過ぎだよジーク、確定ではないし大体ジークに以前負けたままじゃないか。」
「あれは一般的には勝ちとは言わん。お前から10秒逃げ切っただけだ。」
「ジークのパーティってすげえんだな...マルカは見習い治癒士で魔眼持ち。じゃあシンディさんも凄いんだ!きっとカッコいいんだろうな。」
「あれはただの縦ロール。大したことない。」
「その呼び名で定着させたら本気で殺しますわよ?」
「気にしないで。いつもの事だから。シンディは凄いよ。パーティで最も器用なんだ。弓での牽制と射抜き。近づかれれば槍にて応戦できて、数こそ少ないが攻撃魔術での対応もできる。チームの大事なバランサーだ。」
デュランめ。
余計な事を。
「そしてマルカはペーターの言う通り魔眼持ちで凄い。皆の残存魔力を確認して、敵の大まかな性質も見抜く。勿論治癒魔術にも何度も助けられた。けどマルカの1番凄いところはそこじゃない、その頭脳。チーム1の頭脳で作戦を立案して、自身がどう動けばいいかも常に考える。うちのチームの頭脳そのものだよ!」
デュランがいつもよか褒めまくってる
ペーターの真似か?
「最後にジーク。普段はこの通りだけど、ペーターも見たろうが彼の戦闘センスはずば抜けているよ。単純な戦闘力だけでなくてその場その場での応用力はチーム1さ。」
うれ、しくない。
「お前に言われると素直に聞けない。」
「本心だよ?」
「パーティリーダーはデュランだろ?凄え強いし性格も文句ないもんな!」
リーダー?
「そういや、リーダーって誰だ?」
「特に決めてないよね。」
「ええっ!?そんな事ってあるの!?」
「まぁうちは独特ですしぃまだパーティ名も決まってない出来立てホヤホヤですからぁ」
「出来立てで11階層まで行ったの!?」
「正確には10階層までのクリアですわ。ジークが先走っただけで。」
「うっさいわ。」
「ジーク昨日初だったの?なのに単独でクリア...規格外過ぎるだろ...」
「俺なんか可愛いもんだよ。こいつに比べたら。あとデュランがリーダーは有り得ないな。こう見えてバトルジャンキーで戦闘になると血が騒ぎ出すから。」
「それは人聞き悪くない?」
「でも否定は出来ないんですよねぇ。残念な事に。」
「とんでもないパーティに参加したんじゃないか...」
「ようこそとんでもパーティへ。」
その後、あーでもないこーでもないと話し合いは一向に進まなかった。
とりあえず明日は授業が終わり次第孤児院にいってペーターと合流
その後買い出ししてからトライという流れになった。
今は寮でデュランと2人だ。
「それで?本当の狙いはなんだったの?」
「ん?言った通りだけど?」
俺が策略家かなんかだと思ってんのかコイツ
「全部ではないね。僕らのメリットも彼のメリットも大きいのは確か。けれど他にも理由があるだろ?」
マジで大した事じゃないけどな
「んー。ないっちゃないしあるっちゃあるけど。大した事じゃないぞ?」
「うん。教えてよ。」
「ペーターが良い奴だから。」
「ん?」
「あんなに良い奴なのに、生まれと生まれ持った村人ってクラスだけであんな暮らしをさせられて、それでも周りを大切にするあいつを埋もれさせたくなかった。」
「うん。それで?」
「俺なんか生まれ持ったクラスだけでこんなイージーゲーなのにさ。なんかムカつくだろ?だからせめてあいつのなりたい物になるまでちょこっと手伝ってやろうって思ったんだよ。」
「ジークは生まれ持ったクラスだけじゃないよ。でも...そうだね。ペーターは良い奴だもんね。」
「あぁ。だから捨てた奴を後悔させる程度には大物になって欲しいのさ。」
「事情はあるのかも知れないけどね。でもペーターはそんな人と生活するより孤児院の皆と暮らせて幸せなのかもしれないよ?」
「でもムカつくだろ?」
「それは勿論。」
俺は内心でペーターを尊敬していた。
デュランに向けるのとある意味で近い尊敬
俺は99%死ぬ戦いに誰かのために向かえるだろうか?
いいや、きっと行かない。
けどあいつは8歳で、あんなに子供なのに。
良い暮らしでもない、親でもない。
それでも自身の命を顧みずに行ったんだ。
それができる奴をペーター以外では1人しか知らない。
そしてきっとあいつが成長すれば孤児院だって大きくなる。
正しい事をしている人達がまともな暮らしができない世界が嫌だったのかもしれんな。
「ガラじゃないか?」
「いいや。とてもジークらしいよ。」
コイツは俺をなんだと思ってるんだ?
買い被りすぎだ。
「なぁ、本当にいいのか?凄い高いぞ?」
「いいんですよぉ。必要経費ですし、パーティの数少ない決まり事でぇ装備はパーティの共有のお金で購入や修理をして余ったお金を分配する方式ですぅ。」
「気にしなくていいぞ。どうせその分の金は今日中には返ってくる。」
「でも全部で銀貨70枚だぜ?皆が知ったら怒られちまうよぉ。」
「そしたら僕らで説明しにいくよ。大丈夫、ケチって大怪我したら意味ないから。」
ペーターは装備を持つ手が震えている。
最近までずっとボロ1枚の生活だったんだ。
仕方ないけどな。
「不満なら結果を出せばいいんですのよ。今は出来なくともいずれ出す。そう思ってダンジョンに挑めばいいだけですわ。大丈夫、早速初級の魔術を1つ覚えたのでしょう?」
マジか!
はやくね?
「見習いとはいえ治癒士ですからねぇ、光魔術の類いは初級なら割と簡単に習得できますしぃ、消費魔力も少ないという恩恵があるんですよぉ。逆に光以外も覚えられない事はないですが時間もかかるし魔力効率は悪くなりますねぇ。」
「いや、それだけじゃなくてマルカの渡してくれたノートが凄いわかりやすかったからだ。助かったよ、シスターも驚いてた!」
「いえいえ。あれは授業のをまとめただけですからぁ。」
いやマルカの事だ
絶対に追加で補足してる
「んで何覚えたの?」
「ライトヒール...もうちょっとでライトキュアもいけそうなんだけどなぁ。あ、マルカ。帰りにコツを教えてくれないか?なんか光が纏まりづらくって。」
「構いませんよぉ。きっと見ればわかりますからぁ。」
「それで今日のチーム分けはどうしますの?言い出しっぺは考えて来てるんですわよね?」
「んにゃ。全く。」
「死んでくれませんこと?」
「まあまあ。うーん、マルカとペーターを分けるとして、ペーターは初めてだから人数が多い方がいいんじゃないかな?」
「前衛のジークとデュランさんも分けた方がいいんじゃなくて?」
「一応考えては来たんですがぁ、私とジーク君のパーティとデュラン君とシンディさん、それにペーター君のパーティが最初は良いと思いますぅ。」
「俺とマルカだと...厳しくないな。今もゴーに乗ってるし、実質3人パーティみたいなもんだな。」
「そうですねぇ、今回そのパーティを推すのには理由がいくつかあるんですがぁ、半分は先程皆さんが言った通りですぅ。後はゴー君のテストも兼ねてるのでぇこっちは人数少ない方が良かったという所ですねぇ。」
「皆普通にしてるけど、冒険者って皆ゴーレムに乗って移動するものなのか?今も心臓が飛び出そうなんだけど。」
「普通ではない事に慣れますわ。」
「やっぱこれ異常だよね!?」
「皆で乗れて乗り心地もいいね。気に入っちゃったよ!」
「ゴー君は揺れも少ないし早くてとっても優秀なんですよぉ。因みに皆さんの座ってる部分だけ柔らかくしてますぅ。」
「めっちゃVIP仕様じゃん。ゴータクシー採用決定。」
ダンジョン前に到着した。
ペーターも最後の方は慣れた様子でゴーに触れまくっていた。
「それでさっきの話しの続きなんですがぁ、パーティ編成は毎回変えるとしてぇ、それぞれ意識して欲しい点がいくつかあるんですよぉ。」
「ほいほい。なにを?」
「ではまずはジーク君からですねぇ。前衛が1人になる事で安定さが欠けてしまう場面が出てくると思いますぅ。ですからそこを工夫とスキルでより安定するように意識して下さい。あとぉデュラン君とはしばらく組みませんがぁシンディさんとは度々組む事になりますぅ。追加メンバーが加わった際の役割やフォローなんかも想定しておいてくださいねぇ。」
「俺スキルないんだが?」
「わかってるくせにそうゆうこと言うのやめてもらっていいですかぁ?ついでに必要だと思ったスキルはデュラン君に習って下さいねぇ?今後必要だと思ったものは積極的に習得した方が後々楽になりますからぁ」
「考えときますぅ。」
「次真似したらゴー君にやってもらいますからねぇ?」
「すいませんでした。」
「はい。では次はペーター君にしますねぇ。まずはダンジョンに慣れることを優先に考えて下さい。それと戦闘では私達ヒーラーは正直役立たずですぅ。ですが私達が怪我をしてそこで無駄な魔力を消費すれば助かる命を失いかねませんのでぇとにかく自身の命を最優先に守る事を考えていきましょう。その上で戦闘スタイルは数日潜って探っていきましょうねぇ。」
「わかった。出来るだけ早く戦力になれるように頑張るさ」
「焦りは禁物ですよぉ。次はシンディさんですね。シンディさんは前衛のフォローがメインになりますがぁ、ジーク君とデュラン君では癖が違いますぅ。それぞれフォローする際の慣れが必要ですのでそこをまず意識して下さい。あとは状況を見てシンディさんの前衛も試し試しでやってみてもいいかもしれませんねぇ。これから敵の数は益々増えますのでぇ、ジーク君やデュラン君の負傷、回復するまでのスイッチとしての前衛が出来れば幅は大きく広がりますよぉ。」
「前衛中衛後衛、全てを完璧にはまだ遠いですが目指すべき所は意識しているつもりですわ。」
「はい。ですのでぇ後はそれぞれに厚みを持たせるイメージですねぇ。オールマイティな人が1人いるだけでパーティの安定は違いますからぁ。最後はデュラン君ですねぇ」
ん?
デュランにもあんの?
「まず現在で1番パーティプレイが出来てないのは間違いなくデュラン君ですぅ。」
「ええっ!!」
まあそうだな
「ズバ抜けて強いせいで周りと合わせるのが難しいのかもしれませんがぁ、そのおかげで戦略の幅を縮めてもいますぅ。現状ではデュラン君1人で突破出来ているので問題はないですし、しばらくは必要もないのですがぁ、下層が想定以上に厳しい場合はそれが大きく足を引っ張りますぅ。」
「そうか...僕が足を...」
「近い将来そうなると思ってるだけで確実ではないですけどねぇ。仮にデュラン君1人で倒せない相手がいたとして本来ならコンビネーションで倒す所を互いを潰しあう可能性がありますぅ。なので常に人を頼る戦い方、周りを見渡し自分がどう動くか、ジーク君やシンディさんがどう動くかを想定しつつ戦闘して下さいねぇ。」
「はい...シンディ最初は指示してくれるかい?」
「任されましたわ」
ぶっちゃけデュランが倒せない相手が出た時点で詰みだけどな
勝てるイメージがわかん
ただまああいつの動きは1つ1つがでかいからな
同時に近くでとなると難しいのはマズイとは思う
「因みに現状パーティプレイが最も上手いのはジーク君なのでぇ寮に帰った時にでも聞くといいですよぉ。代わりにスキルを教えるとかで相乗効果が生まれると思いますのでぇ。」
「いや、それは俺にデメリットしかない。」
「知ってますよぉ。ジーク君は勉強嫌いですもんねぇ?でもパーティの事って考えたらメリットしかないわけでぇ。デュラン君お願いしますねぇ?」
「勿論だ!頼むよジーク!」
や、いやだぁあああああああ!
「では私達はぁ12階層からいきますねぇ。デュラン君がいればすぐ追いつくとは思いますがぁ。」
そうだな。
ボスとか瞬殺だろうな。
「ようし!そしたら競争しないかい?そうだね、13階層をどっちが先にクリアするか!とか?」
「初めてのパーティ編成でそういう事言ってるからパーティプレイができないんだ。」
「え?そ、そうかな?」
「それよか初トライの階層をクリアする前提でさらに2階層先に進む気しかないパーティって普通じゃないよな?」
「普通じゃない事に慣れますわ」
「はいはぁい。競争はNGですぅ。そちらには初めてのメンバーもいるんですから普段の3倍は慎重に攻略する位の気持ちでいてくださいね?それと仕入れた情報が確かなら12階層までは問題ないでぇ、今日は13階層突破を目標にしますねぇ?13階層ボスフロアまで一旦集合という事でどうでしょうか?」
「それだとどちらかしかボスに挑めないんではなくて?」
「そうですねぇ。次回のトライはまた考えるとしてもぉ今回はそうなりますねぇ。とはいえメンバーの誰か1人が攻略できれば先には進めますからねぇ。」
うんまあ
別に戦わなくていいなら戦いたくないしいんじゃね?
「では13階層でまたお会いしましょう!くれぐれもお気をつけてぇ!」
「了解!マルカも気をつけてな!」
そうして新メンバーを加えて新たなトライを開始する。
この時の判断が正しかったのか
大きな過ちだったのか
それがわかるのもまだ先の話し
出来れば毎日更新したい!
とは思ってます。