序章
第1話です!
宜しくお願いします。
なんでこんな事になったのか...
どこから間違えていたのか。
最初から間違えていたのかも知れない。
もうなにもわからない。
ーーーもう答えてくれるあいつはいないのだから...。
俺の名前はジーク
ただのジークだ。
貴族でも無ければ、大商会の息子でもない。
普通の村人Aだ。
だけど他の人とは違った点が3つある。
1つは前世の記憶があること。
それも異世界の、だ。
現在俺は5歳を迎えたばかりだが、精神的には36歳だ。
記憶は朧げで前世の名前も思い出せないし、どうして異世界に来たのか
どうして死んだのかはわからない。
それでも基礎的な知識は前世のから引き継いでいる。
まぁ異世界の、地球の日本という国の知識がこちらで役に立つ事もそう多くはないが...
ここはデトという世界?星?らしい
そのデトのピースという国の辺境にある村
サマラという小さな村の村人Aだ。
デトでは魔術があり、前世では考えられない現象を引き起こす。
信じられるか?
まるでゲームの世界だ。
まぁ、5年も居れば慣れてきたけどね。
ゲームみたいにステータス確認とかはできない。
けど、やっぱりあるみたいで然るべき場所で確認はできるみたい。
それと生まれた時にクラスを与えられる。
クラスは全部で7段階ある。
初級→中級→上級→超級→天級→究級→神級
上級までは一定の経験を得るとそれに沿ってクラスアップするんだって。
やっぱりゲームみたいだろ?
基本は皆生まれた際に得られるクラスは初級。
大半は初級のまま終えるらしい。
中級にもなれば職には困らないんだってさ。
中級にまで至れるのは人の全体2割程度だって。
思ったよか少ないだろ?
上級クラスなんて国全体でも10数人
超級なんて何十年に1人現れれば凄いんだってよ。
7つも段階あるのに案外上にはいけないものみたいだ。
そんな上級クラスに俺は生まれつきなっている。
[騎士]だ。
攻防のバランスが良く、専門職程ではないにせよ魔術も使用できる器用貧乏スタイルのクラスだ。
これが他人とは違う点2つ目
3つ目はさらに上のクラス
超級のクラスを生まれもった最強の友人が居ることだ。
「やぁ、ジーク。今日も狩りにいかないか?今日はいつもと違って山の方に行こうと思うんだ。最近山の方で猪が増えて困ってるそうなんだ、山ならここにいるよりよっぽど楽しいと思わないかい?一緒に行こう!」
俺の友人であるデュランが話しかけてくる
爽やかな金髪に、青い瞳。
俺の黒髪黒目に比べると爽やかさがまるで違う。
いいさ
男は顔じゃないさ。
「やだよ。今日も暑いじゃんか。昨日も暑いから涼みに行こうって言って、行ったらめちゃんこ動かされるわ、強制模擬戦させられるわ疲れた。今日はここから一歩も動かない。そう今決めた。」
「そう言ってまた来てくれるんだろう?ジークは素直じゃないからね。それにここにいるとジークのお父さん辺りが暇なら畑を手伝えって言うと思うよ。僕の勘だけど、多分今ジークを探してるね。」
「じゃ、どっちにしろ無理じゃん。畑手伝ってたら山には行けない。うん、無理!」
「ところがそこに僕がいれば?そして村全体で困ってる猪狩りなら?お父さんはそれでも畑を手伝わせるかな?」
こいつは...
はぁ。
この距離なら俺の感覚でもわかる
親父が俺を探してる、それも結構な近さで。
多分後数分でここにたどり着く。
「わかったよ。行くから親父がきたら先に狩りに行く事を伝えてくれよ?」
「そう言ってくれるとおもったよ。ジークは優しいからね。」
こいつはいつもこうだ。
こいつの思う通りに話しは進んでいく。
このサマラには近い年齢の子供は俺とこのデュランだけ。
俺は先週5歳になり、デュランは再来週に5歳になる。
2人が5歳になったら王都から迎えが来て、学院に通わされる予定だ。
つまりこの村にいれるのもあと2週間足らず。
だからデュランは出来るだけこの村の困り事を解決しようとしている。
ついでに保存食を沢山取ったりして村に貢献しようとしているのだ。
しばらくは帰ってこれないから。
本当はどっちが優しいんだが。
「お前のその性格は困りもんだな。学院ではしばらく大人しくしてろよ?俺ら最年少での入学になるんだから。目をつけられたくない。」
「なにもしなくても注目されると思うけどね?気をつけるよ。」
学院は本来貴族や優秀な人材、裕福な人間が行くものだ。
村人Aではどれだけ願っても通える場所ではない。
けれども上級クラスと超級クラスなら話しは別だ。
無料で通え、家にもそれなりの援助が届いた。
まあ金だな。
例外はあるが基本は10歳から18歳まで通うらしい。
それまでは幼年学院とかってとこで学ぶんだと。
俺とデュランは飛び級だ。
飛び級で王都の王立学院に通う事になるのだ。
ーーー親父を予定通り言い包めて俺たちは山に来た。
いつも思うんだが話しが毎回違うんだよなぁ。
猪って聞いたはずなんだけど、目の前にいるのは猪なんて呼べないぞ?
細部はまあ、猪と呼べなくもない。
けどな?
猪はこんな象並にデカくはねえよ!?
「この辺の猪って言ったらこの魔獣でしょ?キラーボアはでかいしなんでも食べる。その上群で行動するからね。村には魔獣避けがあると言ってもこいつらがいると山に入れないから困ってたんだって。」
「お前さ、俺と年齢変わんないのになんでそうなの?あっさりバカデカイ猪殴り倒しながら会話すんのやめない?バカなの?死にたいの?」
「言い過ぎでしょ。こいつらジークよりずーーっと弱いよ?デカイけどガードは緩いし動きも遅い。ついでに弱点の頭部も常に見える。まあもう少し警戒はする事にするよ。」
俺は俺のが強いとわかっててもこんなデカイのにそんなあっさり向かっていけない。
怖すぎるだろうが!!
なんでそんな...
「ジークは強いのに相変わらず臆病だね。僕はジークとの模擬戦の方がよっぽどやり甲斐あるんだけどなぁ。」
「嘘つけ。お前に勝った事なんて一度もないし、お前に当てた事すら一度もないんだ。どっちも変わらんだろ?」
「ジーク相手に気を抜いたらやられちゃうよ。君だけだよ?本気出せるのは。ジークはもっと自信持っていいのになぁ。その臆病さがなければ僕も負けるかもしれないよ?」
「言ってろ。臆病さも大事な要素だい。」
「それもそうか。うん、そうだね!」
ただ口から出た遠吠えをデュランは笑って答える。
こっちに振り向いた時にはもうキラーボアの群れは全滅していた。
象クラスの魔獣が12体。
余裕で年越せるだろうなぁ...
あっ!!
「おまっ!これ一緒に運べって言うんじゃないだろうな?」
「え?ジークは僕に1人でこれを運べっていうの?」
やっぱり付いてくるんじゃなかった...
その見た目からは信じられないが、デュランはとんでもなく怪力だ。
あの魔獣を片手で持ち上げる。
今は両手で積み上げて3体を抱えている。
俺も年齢の割には凄い力を持っているとは思う。
けど、魔獣の片足をズルズルと引っ張っていくのが限界だ。
とてもじゃないが持てないぞ。
それもデュランのペースは早い。
全然追いつける気がしない。
「早くー!あと何回か往復するんだから、急がないと日が暮れちゃうよ?」
うるせえ!!
ーーーようやく最後の山下りが終わり、今度こそ地面に寝転ぶ。
「お疲れ様。ジークはやっぱり付き合ってくれたね。ありがとう。」
「お前さ、山に向かう前にあの大きさの事とか、数とか、その後の大変さとかちゃんと教えとけよ!これは詐欺だぞ。」
「え?だって言ったら結局来る事になるのに30分は無駄に抵抗するでしょ?だったら言わない方が早く終わっていいじゃん。」
本当こいつ良い性格してるよな...
村の解体出来る人が全員集まってるけど、まだ最初に届けた魔獣の処理も終えてない。
あのでかさだ、当然だけど...
「このままじゃ状態が悪くなっちゃうね。血抜きだけでも全部しちゃおうか?」
「え?俺も?俺今動けないから。全然無理だから。それにグロいのとかちょっと厳しいな。任せたよデュラン!」
「はいはい。前に兎の解体教えたでしょ?今回も1回お手本見せるから続いてやってよね。そうだなぁ、ジークは3体終わらせないと明日は1日模擬戦にしようか?」
マジで勘弁してくれ...
お前の一撃防いだだけでむちゃんこ吹っ飛ぶんだぞ?
ジェットコースターなんか可愛い位だ。
「わかったけど、3は厳しい、2にしてくれ。腕がもうパンパンなんだよ。」
「はいはい。魔術で回復終わってるくせに。まあ2体やってくれるだけでもいいかな、そんかし明日は「3体やる!やります!」...うん、お願いね!」
このなんでもお見通し感は本当やめてほしい。
本当に...
今日もハードな1日だった。
明日こそはゆっくり...ん?
なんだこの気配は。
馬車かな?
俺はこの村に接近する複数の気配に気付いて家を出る。
すると家の前にデュランがいた。
なんで村に近づく馬車はわかって家の前にいるお前の反応はしないんだよ!
おかしいだろ!
「思ったより早く来たねー。お迎えの馬車みたいだ。明日こそは模擬戦したかったんだけど...仕方ないね。しばらくは馬車の旅を楽しもうか?」
「お前、明日の模擬戦はしないんじゃなかったのか?結局なんだかんだと言ってする気だったのか?」
「明日は明日にならないとわからないよ。ただそうなって欲しいって僕の期待さ」
世の中は大抵こいつの思い通りになる。
この頃の俺はそう思っていた。
このピース国が建国してから初の生まれつきの超級職
奇跡の子デュラン
こいつのやる事は全て正しい
そう疑わなかったんだ...
少年2人の物語って好きなんですよ。
頑張りまーす!