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4.魔法 Ⅰ

この話にも書いていますが、ティナが魔法を使えないと言っていたのは、教えて貰えなかったからです。闇属性=無能。人々の間ではこれが常識だったのです。





「ん…んぅ……」


『起きたか、おはよう』

『おはようー、お兄ちゃん』

『……これからそう呼ぶのか?』

『うん』


 俺が寝たのは夜が明ける少し前くらいだったが不思議と眠くない。霊ってこんなもんか。

 そしてティナのお兄ちゃん呼びは定着したそうです。嬉しいな、魔王感全然ないけど。



『さ、ちゃっちゃとご飯食べて外に行こう』

『うん!』


 ティナは脳内で元気に返事して、ベッドから飛び起きた。

 服は昨日のワンピースのまま。俺が綺麗にしたからこのまま着ていくそうだ。因みにこの家にはティナの服がもう一着だけある。驚くなかれ、全く同じ瓜二つのワンピースである。

 魔王やってて貯めまくった金を持って降霊したかった。色々買ってあげられたのに。



 下に降りるとお母さんが朝食の準備をしていた。ジルはまだ起きていないようだ。

 お母さんはティナを一目見るなり、


「あら? ティナ、その服どうしたの?」

「洗った」

「洗ったって……」


 開いた口が塞がらない様子のお母さん。

 そりゃあ驚くよなぁ。そこまで気が回らなかったわ。魔王さん不覚。

 お母さんは、ティナがそれ以上話すつもりがないと悟って、それ以上深くは追及して来なかったが、未だ怪訝な顔をして首を傾げている。

 まぁそのうちわかるさ。あとでティナの部屋全体も綺麗にしてやろう。


 朝ご飯は温めたミルクとお馴染みの固いパン。ミルクにつけて食べる。

 ティナはものの5分位で食べ終わった。余程魔法が待ちきれないみたいだ。



『行こうか、お母さんには魔法の練習をするって言うのか?』

『ううん、出来てから』


「今日は随分早いのね、あんまり森の奥に入っちゃダメよ?」

「わかってる!」



 ミルクの入ったお椀をお母さんに渡すや否や、ドアに向けてダッシュするティナ。お母さんの忠告に背中で返事をする。



『どこでやるの?』

『そうだなぁ、なるべく目立たないところが良いな』

『ならいいとこあるよ』

『じゃ、そこに行こう』


 家を出てから道をゆくこと十数分、森を少し入った所に開けた場所があった。樹々の間から漏れる太陽の光が帯となって地面に生えた草花を照らしている。広さ的にはティナの部屋二つ分ほど。真ん中には大きめの切り株があった。


『昔、お父さんが切ったんだって』

『ん? お父さん木こりか何かやってたのか?』

『ううん、冒険者だよ。剣が得意なんだって』

『冒険者か。こんな太い木を切るとは中々腕が立つようだな。切断面が滑らかだ。剣筋に乱れがない』



 ふむ、お父さんから色々情報を聞き出すのも良さげだな。そして出来ればティナに剣を習わせたい。俺が教えるのは現段階では不可能だからな……


『ジルは剣を習ったりしないのか?』

『痛いから嫌だって』

『ははは、ジルらしいな』


『それより魔法!』

『あ、悪い悪い。それじゃ、魔法の授業を始めよう。まずは魔法の仕組みの勉強だ。ティナくん、座りたまえ』

『はい、先生!』


 ふむ、なんだかムズ痒いな。


『うむ、良い返事だ。では、まずは問題。この世界の魔法は何種類の属性がある?』

『えーと、8種類?』

『正解。水、火、風、土、雷、光、闇、そして無だな。何で分かれるかは知ってる?』

『知らない』


 ティナがふるふると首を振る。この知識を知ってる者がそもそも少ないので、ティナが知っていなくても不思議ではない。


『魔力はどの種族も共通で、いわゆる〝魔魂〟という、精神的な器官のようなもので作られて、全身を巡っているんだ。けれど、その作られる魔力の量や質は、皆それぞれ違う。量は〝魔力〟のステータスで表示される。質はと言うと、これが〝適性〟を左右するんだ』


『みんな同じじゃないの?』


『同じ適性でも同じ魔力の質とは限らないんだよ。魔魂で作られる魔力には、7属性全ての〝魔素〟が含まれていてね、その中で魔素量が一定の基準値を超えた属性がその者の適性となる。魔法の強さは〝魔力量×魔素量〟で決まるんだ』


『みんな、7属性の魔素を持ってるの?』

『そうそう。賢いな、ティナは』

『そ、そうかな』


『あぁ。なんせこの話はあまり知られていない。皆適性のある属性しか使おうとしないからな。続けるぞ。魔法は、魔素量が基準値を超えていないと、そもそも発動しないんだけど、何らかの方法で魔素を補ってやれば、適性が無くてもその属性の魔法が使えるようになる』


『ティナも?』

『それなんだが、魔素量はステータスで表示されない。だから、どの属性がどれだけ足りないのか分からない。その人の魔力量を考えずに魔素を送りすぎると、魔力暴走を起こすことがあるから危険なんだ』


『残念……』


『でも、昔、俺が作った魔素計があれば、足りない分だけを俺が補って、少なくともステータス上は全属性適性となるのも夢じゃない。そのうち作ってみるよ』


『楽しみ! あれ、無属性は?』

『無属性魔法というのは、使う時に魔素を必要としない魔法だ。使い方を知っていないと適性としてステータスには現れない。まぁ、ある程度やれば出来るから、ほとんどの人が持ってる適性だよ。魔力量が少ないと用法は限られるけど』

『魔法はむずかしいね』



 確かにね。しかし、魔法の仕組みを知ってると有利な時もあるんだよなぁ。さっきも言った通り、誰もが7属性の魔素を持っている、と認識している者は少ないからね。

 俺が知っているのは部下にその手の研究者がいて、そいつから色々聞いたからだ。転生した時、元から光と無以外の適性は持ってたからあまり活用の道はなかったんだが。



『次に進む前に説明しておこう。今、俺はティナと繋いだパスから魔力を送って、魔法を使うことが出来るんだけど、その威力は俺の、魔王としての全力の1割にも満たない。今俺が使える魔法は、ティナの魔力量で放てるものだけ。昨日使った融合魔法で半分といったところか。融合魔法は消費が多いんだけど。そして、ティナの身体の操作権が俺になった場合は、5割くらいなら出せる。ただ、この方法はティナに負担をかけるから、長くは持たない。使い所は考えてね』


『わかった。ティナがんばって強くなる。そしたらお兄ちゃんも強くなれるんだよね?』

『そうだよ、応援するからな』



 ここで一息。

 ティナは長い話に飽きもせず足をプラプラさせながら耳を傾けてくれる。やる気も十分。

 なるほど教師の気持ちがわかってきた。授業を寝て過ごした高校時代の先生方ごめんなさい。



『で、次だ。なぜ人間は闇属性が使えなくて、魔族は光属性が使えないのか』


『なんで? ティナは使えるみたいだけど』


『魔法は魔力と魔素だけあっても発動しない。体内から〝ゲート〟っていうのを通って外に魔力を出すんだが、その時に人間は闇属性の魔素、魔族は光属性の魔素は霧散して消えてしまう。ほかの種族も同じ原理。ティナの場合、何故か消えないみたいだね。世界は広い、何が起きても不思議じゃないさ』


 魔王降霊してる時点でもう既におかしいけどね。


『誰も闇属性が使えるなんて思ってなかったから、魔法を教えようともしなかったみたいだけど、これで大体理解出来た?』

『うん、大体』



『よし、じゃ次、実際の魔法、行ってみようか』



設定を説明し忘れてたり抜けてたりするところがあるかも知れません。

魔法の説明続きます。


※追記

2部に魂という単語が出てきますが、魔魂はその一部という認識でお願いします。

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