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死んだかと思ったら新世界の幕開けだった  作者: 田村 毅
第一章
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服選びは慎重に


あの後、智聖ちゃんにめちゃくちゃ励まされて俺は何とか立ち直った後、悟さんと別れ、自室で今朝渡された資料を読んでいた。


「ここが俺の部屋、ここが食堂、ここが・・・えっと」

「そこはプールよ」

「智聖さん、言っちゃだめですって」

「あ、ごめん」


 あの戦い(一方的にボコられた)が終わった後、十一時まで微妙な時間が空いてしまったため一度部屋に戻ってきていた。今は施設の暗記をしている。思っていたよりも広いためちょっとてこずっているがこれから頻繁にここを利用するんだから覚えておいて損はない。しばらくこんなやり取りが続いているが智聖ちゃんが何かに気付いたようで俺に目で訴えかけてくる。


「どうかしました?」

「私、気づいちゃったの!真保ちゃんの暴走って状態維持でしょ?」

「はい、そうですけどそれが何か?」

「じゃあ憶えてる状態を維持すればいいのよ!」

「なるほど、智聖さん頭いいですね!」


 智聖ちゃんの言葉に俺は驚く。普段から暴走を使っているからかもしれないがそんな発想は俺は全く浮かばなかった。俺の発想力の問題だな・・・。さっそく試してみるか。


 俺は図を見ながらその図を頭の中に固定するイメージを浮かべ、魔力を使う。特に変わったことは起きないな。


「どう?憶えられてる感じする?」

「いや、特には無いですね。失敗かな・・・」


 それともできないかのどっちかだが、まだ失敗のほうが可能性があっていいな。なんてことを考えていると魔力を切ってしまった。すると急に頭の中にさっきの図が浮かんできた。


「うおっ?」

「どうしたの?」

「なんか魔力を切った瞬間に今憶えようとしてた図が頭の中に浮かんできました」


 どういうことだ?もしかしたら暴走によって見ている状態を維持したのではなく保存したことになってしまっていて、それを解いたから保存が解除されたことになって図が浮かんできた?うーん・・・分からんな。


「じゃあできたってこと?」

「できてない訳じゃなさそうなんですけど、なんか違う気がするんですよね。今はもう浮かんでないし」

「一時的にその状態を取っておくって感じ?」

「ああ、そんな感じです。自分の能力なのにまだよくわかんないです」


 手元にあった資料を面を上にして空中に保存する、宙に浮いたままピクリともしない。触ってみる、曲げることすらできない。手に持っていたペンを乗せてみる、何も変化が起きずペンは乗ったままだ。まるで資料の時だけが止まっているようだ。


「不思議ですね、どうしてこうなるんだろう」

「暴走については生まれつき持つものじゃないこと以外よくわかっていないらしいわ、学校で聞いた話だけど」

「周りの環境によって決まるんですかね?」

「さあ?でも大人になってから暴走者になった人はほぼほぼいないみたい」


 大人になったらならないってことは多分成長する間に魔力体の突然変異が起こったりするんだろうな。俺は文系だったからそういうの全然わかんねーや。ん?学校って言ってたけどそういえば智聖ちゃんは何歳なんだ?


「突然ですけど、智聖さんって中学生ですか?」

「うん、今年から中学生になったの、この制服可愛いでしょ?」


 そういってその場でくるりと回る、ふわりとした風に乗っていい匂いがする。今年から中学生ってことは12、3歳だな。


「とっても似合ってますよ」

「そう?ありがとね!」


 制服より智聖ちゃんのほうが可愛いって言ったらどうなるのかと気になったが、俺はヘタレだからそんなこと言えない、悲しいな俺。それにしても中学生か、俺も遊んでばっかじゃなくてもうちょっとしっかり勉強してればよかったかな。


「で、どこ通ってるんですか?」

「あれ、制服でわからなかった?天下あました中学校よ」

「あ、その制服天下中のですか、どっかで見た気がしたんですよね」


 天下中か・・・、妹が通っている学校だったな。俺いきなりいなくなったけど皆どうしてるかな。なんてことを考え始めたところに俺の携帯が鳴りだす、喋ってる間に時間が来たみたいだ。時間に遅れないように十一時の十分前にアラームを設定しておいてよかったな。


「遅れると羽切さんに悪いですしそろそろ行きましょうか」

「そうね」


部屋を出て数分で羽切さんの部屋についたんだが物凄い音漏れしてる、カラオケ大会でもしてるんですかってくらいバカでかい音が廊下に響いている。


「またやったのね・・・、入っちゃいましょうか」

「大丈夫ですか、これ」

「いつものことだしへーきへーき。さ、入るわよ」


 ガチャリ、とドアを開けた瞬間に爆音が耳に響く、前に友人といったコンサート会場みたいだ。部屋に入るとヘッドホンを付けながら真剣な表情でテレビを見ている羽切さんがいた。智聖ちゃんが近寄って頭を叩いている。壁際には丁寧にたたまれた服が詰まっているであろうタンスがいくつもあり、引き出しが所々開いていた。


「おーい、ちょっと!それ電池切れてるわよ!」

「ん?ああすまない。またやってしまったようだな」

「『やってしまったようだな』、じゃないわよ!それ凄いうるさいんだからね!」

「次から気を付ける」

「この前もそれ言ってたでしょ、もう」


 どうやら無線ヘッドホンを付けてテレビを見ていたら電池が切れてしまっていたみたいだ。この前も、ということは前もこんなことがあったんだろうか。しばらくしてからメジャーを持って羽切さんが俺の目の前に立った。


「よく来たな、ボスから話は聞いている。制服を作るために来たんだろ?準備はできてるから服を脱げ」

「え?あ、はい、わかりました」


 突然この場で服を脱げと言われ、少し戸惑ったが俺はその場でパンツ一丁になった、ちょっと恥ずかしいが体を測るためだから我慢だ。横で智聖ちゃんが俺が脱いだことに対してアワアワしている。


「胸が小さいな、元が男だからか?このサイズならここにあったはずだ・・・よし、これを着ろ」


 俺が元男じゃなかったら問題になっていたであろう発言を言われながら、スリーサイズはもちろん、首や二の腕、太ももなどをこれでもかというくらい細かく測られた。手足細っ、男の時とは比べ物にならないな。替えの服を渡されるが、さっき着ていたのとは違うようだ。Yシャツにスカート、少し長めのトレンチコートだ。コートはちょっと大人っぽくて格好いいな。


「この服は?」

「制服と全く同じ素材で作られている物だ。それを元にして制服を作る、これから調整するからその服を着て今日一日過ごしてくれ、問題なければ三日以内に完成させる。何か希望は?」

「じゃあ、Yシャツの胸元のリボンをできれば他の物にしてほしいんですけど」

「分かった、ネクタイならどうだ?」

「ちょっと巻いて見ますね」


 色々試した結果結局、俺は青色の何も柄が無いネクタイを選び、巻くことにした。選んだ理由は単純に俺の属性が水だったからそれっぽい色を選んだだけだが。そのあともいろいろと要望を聞いてもらいながら調整を重ねていく。


 スカートじゃなくてズボンにしてほしかったがそこにはこだわりがあるらしくやんわりとだが断られてしまった。袖の長さだとか靴をどれにするかとかで結構話し込んでしまったらしく調整が終わったころにはもう一時を回っていた。ちなみに智聖ちゃんは部屋に大量にあった服を片っ端から試していた。


「ありがとうございました、じゃあ制服よろしくお願いします」

「任せろ」


 部屋を出た後、智聖ちゃんが買い出しに行くと言ったため俺もついていくことにした。一緒に支度をしてる間に教えてもらったが、どうやら羽切さんの服作りは仕事でやっていたとかでは無く完全に趣味らしい。制服を作りたいと榊原さんに頼んだところ二つ返事でオッケーをもらったようだ。軽いなおい。


「何買うんですか?」

「お菓子と果物ね、メインはおじさんが買ってくるはずだから。迷子になっちゃだめよ?」

「馬鹿にしないで下さいよ。流石にこの年で迷子になんかなりませんって」



 支度を整えた俺たちはエレベーターを使って地上に上がっていった。

私は自分のセンスに自信が無いので制服好きでしたが皆さんはどうですかね?

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