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死んだかと思ったら新世界の幕開けだった  作者: 田村 毅
第一章
2/7

聖なる者しか剣は抜けない

知らない天井だ・・・(コピペ)


 (ここは?)

俺は目を覚ます。どうやら布団に寝かされていたらしい。そして視界に入ってきたのは見慣れない天井だった。ちなみに俺の服は、Tシャツにジーパンという服装から、上下ともにダボダボとしたパジャマのようなものに着替えさせられていた。


 起き上がって周りを見てみる。どうやら個室のようだ。ドアが一つ、窓はなく明かりは蛍光灯のみ、物は布団と俺の使っていたバッグ以外何もない六畳ほどの殺風景な部屋だった。


 (何でバッグがここに・・・)

そして俺はバッグの中身を確認しながら外に出していく。俺の携帯とノート、テキストなどが無傷のまま入っていた。不思議だ。そして先ほど起こった悲劇を思い出す。惨状を鮮明に思いだして吐きそうになるのを何とか堪えた。


 (神に異世界に行くのを拒否されるなんて・・・)

もちろん最後の言葉もしっかりと思いだした。そして気が付く、体が動かせるのだ!うれしくなった俺はその場で跳ねてしまう。


 そしてジャンプの他にも首を回したり腕を振ったり体を動かしてみたところ、体が軽く感じるくらいで別におかしなところはなかった。

(体のどこにも異常はなさそうだな、痛みが一切ないことは異常だけど)

そして、ここがどこなのかを確認するために先ほど出しておいた携帯を手に持つ。今の時代GPSですぐに居場所が分かる。しかしどうやらここは圏外のようだ。やはり死んでしまったのだろうか?


 (まいったな・・・異世界じゃないってことはここは死後の世界か?それとも結局異世界なのか?)

とりあえず部屋から出るか、そう思った時ドアがガチャリという音を立てて開いた。そして一組の男女が入ってきた。二人とも軍服のようなものを着ている。見た目の重圧感が凄い。


 すると俺の前に二人が立ち

「やあ、体の調子はどうだい?」

と男のほうが訪ねてくる。見た目は俺と同い年かそれより少し上だろうか?身長は俺よりも高いため180は超えているだろう。黒に紫がかった色の髪をしていてストレートの髪型だ。そして俺はこの人の声が死ぬ直前に聞いた声と同じだということに気付く。


 (この人が神か。ずいぶん若そうな見た目なんだな)

そう思うが別に気にすることでもないかと思い質問に答える。

「ええ。おかげさまですっかり「待った!」へ?」

が、男に止められてしまった。続けて

「君は二つ勘違いをしている。まず一つ、俺は神じゃない。そして二つ目、ここは死後の世界でも異世界でもない」

と言われてしまう。


(バカな!俺は死んだはずじゃ?)

そんなことを考えると男がすぐさましゃべりだす。

「君は死んでない、ここは地球だ。君が想像していたような世界ではないよ。ちなみに君が意識を失ったのは一時間ほど前だね」

男のその言葉に俺は唖然とする。


「状況は理解した?」

声のしたほうを見ると女の人が何やらボイスレコーダーのようなものを操作しながら聞いてきた。この人は俺より年上だな、多分だけど。20歳ぐらいだろうか。赤い色をした髪をショートヘアにしている。かわいい。

「いや、さっぱりわかってません。死んでないことはわかりましたけどここはどこですか?」

俺は正直に答えた。あれ、今気づいたがなんか俺声高くね?


「まあ場所を簡単に説明するとここは俺たちの所属する組織の空き部屋さ。電車事故、災難だったね」

と、男が言う。

あ、これ絶対そんなこと思ってないな。顔でわかる。しかも所属する組織の空き部屋って言われたけど俺が聞きたいのはそういうことじゃないんだが。


 そういや名前聞いておいたほうが良いかな、なんてことを思うと

「自己紹介がまだだったね。俺は水無月みなづきさとる、カウンセラーをしている。名前で呼んでもらって構わないよ」

悟さんが言ってくる。さっきからこの人、俺の心を読んで答えてるんだろうか?そんなことを思うと悟さんが親指を立てた、どうやら当たりのようだ。


「急な自己紹介ね。私は天野あまの愛香あいか、薬剤師よ。私も名前で呼んでもらって構わないわ。あなたは?」

遅れて女の人が言う。急に自己紹介が始まっても驚かないあたり愛香さんのほうも悟さんが心を読めることを知っているようだ。俺も自己紹介しておかないとな。


「俺の名前は神薙優斗です。比地金高校に通ってて今年で高三です。あ、呼び捨てにしてもらって大丈夫ですよ」

そう答えて二人の反応を窺うが何かおかしい。いたって普通の自己紹介のはずなのに悟さんはニヤニヤしているし愛香さんに至ってはまるで汚いものを見るような目をしている。どういうことだ?


 そんな俺の心境を見たのか覗いたのかどうか分からないが悟さんが聞いてくる。

「君の性別はどっちだい?」

は?何わけのわからないことを言っているんだろうか?今まで18年間生きてきた中でもその質問はされたことがなかった。

「何を言ってるんですか?どっからどう見ても男でしょう。ところで愛香さんは何でそんな顔をしているんですか?」

「比地金高校は男子校だったはずよ。あなたって変態?」

そんなことを愛香さんに言われるが全く身に覚えがない。同性と体の付き合いをしたことは無い、異性とも無いが・・・。もしかして男はみんな変態だと思ってる人なのか?


「優斗君、股を触ってみてほしい。胸でも構わないよ」

悟さん!?ヤバイこの人頭のおかしい人だ。俺はホモじゃないので全力で拒否する。

「な、な、なんで俺が悟さんの体を触んなきゃいけないんですか!」

俺と悟さんの発言を聞いて愛香さんの顔がほのかに赤くなる。あれ、この人も実はやばいんじゃ・・・。


 すると悟さんが反論する。

「別に俺の体を触ってほしいわけじゃない」

悟さん以外だと!?じゃあもう愛香さんしかいないじゃないか!服であまり大きさが分からないが少なくとも平均よりあるだろうお胸を欲の生き物である男子高校生に触れといっているのか?なんてやつだ!しかしどうしてもというなら仕方ないな。うん。別に触りたいわけじゃないが仕方なくだ。そういうことにしておこう。しかし悟さんに呼び止められる。

「またもや君は勘違いしている」


「君の体を自分で触ってほしいんだ。」

煩悩丸出しで愛香さんに近づこうとしたところに真剣な表情で言われてしまったため動きを止める。こんな顔をしながら言われるということは変な意味で言っている訳ではないことにやっと俺は気づく。


 二人に背を向け股を探る。何やってんだ俺、と思うがすぐに自身の体の異常に気付く。無いのだ!俺の一度も楔から抜かれていない宝刀が!さらに胸も確認してみるとほんのわずかだがふくらみがある!慌ててほかの箇所も確認していく。どうやら髪も長さは変わっていないがサラッサラになっている。確認していくたびに不穏な予想が確信に変わっていく。そして俺は消え入るような声で呟いた。



「俺、女になってる・・・」






 

皆も剣が抜けないように気を付けよう!

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