passenger
あなたはもうここにいない
きっと乗客だったの
空っぽの車両
また夏を過ぎていく
窓に流れる入道雲
いつかの駅で
あなたは降りて
私は走りつづける
いくつものトンネルを抜けて
上手にすれ違いながら
あなたの切符は
いつの間にか
そのポケットに入っていて
空っぽの座席
ドアが開くたび
風は流れ込んで
終点を知らない青空
あなたが立ち止まる踏切
愛になれ
愛になれと
私は駆け抜けていくから
見かけたのなら
そっと手を振って
蝉の声を振り切って
線路が続けば
走りつづける
居眠りする思い出たち
きっとあなたは
乗客だったの
ドアが開くたび
想いを馳せる
あなたよ
幸せになれ
幸せになれ
私は駆け抜けていくから
聞こえたのなら
強く
そう願ってほしい