東京迷図
こんな夢を見た――
Uボート(ドイツ海軍の潜水艦)で東京湾に到着し、モノレールに乗って浜松町駅へ。
私は東京の取り引き先相手に会いに行くのだが、足取りが重い……
納期が遅れたため、社を代表してお得意先のF社長に謝りにいくのだ。手土産に地元の銘菓を買ってある。
Fさんはヤリ手の女社長で、厳しく叱られることを覚悟しなければならない……
ホームの乗り換えがよくわからないので、駅員さんを探していたら、カラフルな道士服(だと思う)を着た中学生くらいの男の子と女の子がいた。
朝のワイドショーなどのテレビで、ときどき映像で見るアニメやゲームのコスプレイヤーだろう、初めて生で見た。さすが東京……
二人に新宿への乗り換えをたずねた。二人は丁寧に教えてくれて、好感をもった。
そして何のコスプレなのか聞いてみたら、これはコスプレではなく仕事服だと答えた。二人は悪霊祓い師なのだという。
「ボクたちはこれから港区へ行って、東京タワーを占拠した悪霊の群れを封印にいくところなのです」
「えっ!! そんな危ないこと、大人たちに任せたらいいんじゃないかい?」
「いいえ、霊能力は私たちの年代でしか使えないのです……」
「そうなんだ……」
私は二人と別れて新宿行きのモノレールに乗った。揺れる車内で物思いにふける。
〈あんな子どもたちでも一生懸命仕事をしているのに、私は情けないなあ……〉
新宿駅はあいかわらず人が多く、乗り換えがわかりづらい、ぐるぐると無駄に歩き周り、疲れたので手近のエスカレーターに乗って地上にでた。
喫茶店でアイスコーヒーでも飲もうと思ったら、行先のビルが間近に見えた。
〈よし、誠意をこめて謝ろう……〉
私は決意して、陽炎ののぼる暑いアスファルトの道をふみしめて行く。銘菓が痛んではいけない、早く冷房のきいたビルに入ろう。
すると、目的のビルの影からのっそりと、巨大な影が現れた――
それは巨大なF社長であった。ウェディングドレスを着ている。ズシンズシンと地響きをたてて歩き、まるで進撃の巨人だ。
「社長ぉぉぉ! F社長ぉぉぉぉぉ! まってくださぁ~~い」
私はあらん限りの大声を張り上げて社長を呼んだが、耳に届かないようで遠くへ行ってしまう……
そして、目が覚めた――




