ベビー&キャット
こんな夢を見た――
私は居間で赤ん坊を抱いていた。ぷくぷくとして体温が肌に伝わる。
その赤ちゃんが突然、火のついたように泣きだし、前後に揺らしてあやした。ミルクが欲しいのか、オムツを変えるべきか、ママが恋しいのか……
赤ん坊がモコモコと動き、長く伸びて、白い長毛の猫に変った。白猫はクルリと回転して床に着地し、ソファの椅子の下に潜りこんだ。
床にしゃがみこみ、猫を覗く。暗闇の中で猫が悪魔のような形相でシャ~~~~ッと、吠えた。
狂犬病にでもかかったのだろうか? だとすれば、保健所で処分となってしまう。
私はソファの背後に廻って、暴れる白猫を抱きとめた。良く見ると、首輪がギュウギュウと首を絞めつけている。
なんとか、革の首輪をゆるめるこができた。すると、怖い顔つきであった白猫は大人しくなっている。顔を見ると、元の可愛らしい猫の顔に戻っていた。
「良かったですね……」
傍らにいつの間にか人がいた。よれよれのお釜帽子に、蓬髪、地味な木綿の羽織、袴の人物が立っている。名探偵の金田一耕助であった。
いつの間にか、地方の駅のプラットホームになっていた。右の線路の先に、ジョッシュ、ジョッシュと蒸気機関車が白煙を出してこちらにやってきた。
そして、目が覚めた――




