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儚きユメの果ての世界  作者: 床之上庄之助
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欠片が第17幻想界で夢蝕者を浄化。うん、分からん。

どうやれば早く書けるんですかね?

「...はっ!」



急な目覚めに体がびくっ!ってなりながら、私は目を覚ました。

首筋をはじめ、全身が冷や汗でびっしょりだ。

それでも、目の前にあるのはなんの事はない、見知った天井である。



「うぅ...」



寒さに布団を巻き付けるように身体を起こす。

閉じたカーテンの外は少し暗い。


ぼんやりと見える机や本棚、クローゼット。確かに自分の部屋だ。


まだはっきりしない意識の中、取り敢えず枕元で充電していたスマホを手探りで探し、時間を確認する。



「5時...13分...」



きっとあの夢のせいで目が覚めたのだろう。


いや~、それにしてもスゴい刺激が強い、というよりマジすぎる夢だった。


『知らない』夕暮れの町、ぼやけた影も、あの痛みも、そして、あの無限に続く階段も。とんだ夢だ。二度と見たくない。


小震いしながら布団を離し、パジャマをたくし上げる。自分のお腹には何も変わらない、いたって普通の身体があった。


脳に貼り付けられたように覚えているあの激痛の後、今目の前の綺麗な肌に不思議な感覚になった。



「うぅ、寒っ...」



ささっとパジャマを戻し、ベットから抜け出す。あんな夢を見ては寝ようにも寝れない。


取り敢えずトイレへ、いや、その前に汗が...シャワー浴びなきゃ...


そう思い、ドアまで歩いていき、ドアノブへと手をかける。


ゆっくりと開き、左に続く廊下へと歩きだす。



ゴンッ!



突然、額に強い衝撃が走る。



「いたっ!?」



後ろへよろめき、額をさすりながら前を見ると、そこには壁があった。



「...ふぇ?」



百八十度回れ~右!


ドアで遮られているが、どうやら廊下はそちらへと続いているようだ。


あれー、おかしいなー。ウチは左のはずなんだけどなー...


よく見ると、大分壁紙も違った。我が家は木目が特徴の木の壁であったが、なんだか無機質な白のツルツルとした壁になっている。それこそあの階段のようだ。



「......?」



理解できない間取りに首をかしげる。


とりあえず今一度開けたばかりのドアの内側に戻り、ドアを閉めて部屋をもう一度確認する。


確かにここは私の部屋だ。多分本棚の裏とかに恥ずかしい日記とか挟まってるはず。


深呼吸を二三度して、よしっ、と一声かけてまたドアを開き左に進む。



ゴンッ!



「いった!」



が、結果は寸分狂わずそのままだった。

今度は勢いをつけていったのでそのまま尻餅をついてしまった。



「何なのよ...もぅ....」



お尻を擦りながら立ち上がり、白い壁に手を着く。思ったよりツルツルなその手触りに少し驚いた。



これは何?寝起きドッキリ?私寝起きバズーカやる側なら喜んでやるのに。


あんな夢を見されられて、こんなところで額とお尻を痛がっているというのに、まだ夢なの?どういう趣味?私Mの片鱗も無いよ!



多分頬をつねったところでオーバーキルになるだけなので、先に進むことにした。


道を塞いでいたドアを戻す。すると廊下は思ったより長く、10メートルほど続いていた。


相変わらず白い壁はそのまま、私の部屋のある方の壁にはもう3つドアがついている。薄暗い中、目を凝らすと、真っ直ぐ進んだ所から左にもまた廊下が続いているようだ。


行くしかないんですかぁ...


閑散とした冷たい空気の中、ぺたぺたと素足でフローリングを歩く音が響いた。





曲がったらすぐに広い空間があった。


感覚としては学校の教室くらいだろうか。広い窓から朝日が射し込んできている。目映い光に目を細めながら、部屋全体を見回す。


真っ白な壁に囲まれた、生活感があるようなないような部屋だ。


中央には黒く背の低い長方形のテーブルと、それを囲むように置かれた4つの座布団。テーブルには白い花が飾られている。


パッと花の名前が出てくるような可憐な少女でありたかった。

「綺麗だなー」と思うだけ。寂しいやっちゃのぅ...


奥のほうにあるのはどうやらキッチンだ。細部まで整理された食器棚からは使用感があまり感じられない。


その手前にはテレビと大きな白のソファ。ソファは向こう側を向いているが、何か上に毛布のようなものがかかっていた。


それが気にかかった私は、ふらっと足を動かす。

近づいて行くと、毛布の下からちらちらと肌色が覗いて見える。


手前に回って、そこで一人の少女が寝ていると分かった。


毛布の上からでも分かるほど、細く折れそうな華奢な手足の、ちっちゃな少女だった。


白く透き通った肌に、とても整っていて可愛らしい顔。床から反射した朝日で光沢を放つ髪の毛も、深い闇のような美しい黒である。多分触ったらすごいさらさら。


やばい、超可愛い。


そんな寝息をたてる超絶美少女に視線を奪われてから、どのくらいが経過したのだろうか。

気がつくと私はソファの前にしゃがみこんでいた。




「...ぅん...」



少女が寝返りを打とうとして毛布を抱き寄せる。そしてその時、



「動くな」

「ふぇ!?」



突如ソファの反対側から青年が表れ、何かを私に向けてきた。私が見とれてる間に何処からから来たのだろう。

ゆっくり目線を上げると、なんとその手には拳銃が。

銃刀法違反で捕まるぞ!と言いたいところだが、こちらとて不法侵入者。反論はしない方がよろしいのかな...



「あんた、何者だ?」



そう言い放つ青年は、身長は170ちょいくらいの細身である。Yシャツ姿や見た目からその年齢を推定すると、多分私と同じか少し上の高校生で間違いないだろう。黒の短髪に、よく見るとイケメンなのがアレである。

シチュエーションがシチュエーションなら惚れてたかもしれないが、あいにく拳銃突き付けられて発情する程、特殊な性癖を私は持ち合わせていないのだ。



「え~っとですね、はい...私は、その~...」



目を泳がせながら、どうして説明したものかと考える。



いや~、私、変な夢を見てですね。気が付いたらここにいて?そこで可愛い子がいたので見とれてたんですよ~。

なんてそのまま言ったら第一印象変質者まっしぐら。少しはそれっぽい理由を!考えろ!私!理由とは動機ではなく言い訳よ!



「新しい欠片なかまですよ、桜花おうか



私の思考を断ったのは、少女の声。

目の前の少女が、目を開けてこちらの顔を覗いていた。大きくくりっとした瞳にも驚いたが、それよりも日本人に見える彼女の瞳が青いことに驚く。

人形のような。その言葉は彼女のためにあるのではとつい思ってしまった。



「なんだ、こんな鈍臭そうなのがか?」

「鈍、臭い...!」



オウカと呼ばれた青年は呆れた顔をしながら銃を下ろす。

変質者に見られないようにと全力を注いでいたが、よもや初見で格下扱いとは。渾身の右ストレート決めてやろうか...


それよりも、だ。


何だかよく分からないことをそこのお嬢ちゃんが言ったような気がする。



「あの~...ナカマ、というと...」



よいしょ、と少女は起き上がり、目を潤ませながら背伸びをする。そして、直ぐにキリッ、と口でいいながら、少し真面目な顔つきになる。



「はい、そのままの意味です。今日からあなたはこの小さな第17幻想界に住む一人の心の欠片カケラ。私達と共に『夢蝕者ナイトメア』と戦い浄化してほしいんです」



今度は少女はニコッ、と笑い首をかしげる。


何だろう、頭が痛い子なのかな?少なくとも日常チックじゃないことが二つ三つあったんですけど?

私の意思を感じたのか、ソファの上から青年が頭にげんこつ(弱)を浴びせる。軽いコツっ、という音と共に少女はぎゃん、と声を出した。



「いった~...何ですか桜花!?」

「アホか、この世界来たてに専門用語使いまくるな。パルスのファルシのルシがパージでコクーンみたいなもんじゃねぇか」

「パル...ス?フ、ファ...」

「いや、そこじゃねぇっつの。要は知らない奴に伝わるように喋れってことだ」



ぬぬ、と涙ぐみながら頭を押さえる少女。ホント、表情がコロコロ変わる子で。

青年は小さく溜め息をつくと、蔑むような目でこちらを見下す。



「まあ、簡単に話せば、お前は夢の中で襲われただろ?その時にお前の心は夢蝕者ナイトメアに喰われたんだ。今ここにいる一部の欠片を除いてな。分かったか?」

「すいません。全然理解できないのですが?」

「何っ!?」


苦虫を噛んだような顔をする青年と、くすくす笑う少女。


いや、だってねぇ?夢の中で襲われる?心を喰われた?そんな事すぐ信じろってのが無理な話だと思いますよ私。



「それじゃあ、ここがその何ちゃら幻想界とかいう所でいいんですね?」

「「なんだ、ちゃんと分かってるじゃん」」

「えぇ...」


そこでハモられても困る。


とにかく、ここが現実ではないことは本当なのだろう。現にこの状況に置かれてる訳だし。そして夢のあの影。あれが彼女らの言うナイトメアのようだ。やだ、私結構理解できてる。



「まぁ、細かい事はさておき」



軽く咳払いをしながら、話を進めていく。

さて置いちゃっていいんすかねそれ?



「私の名前はリアス。リアス・レイルヴァーシュ。よろしくね。そして彼が紫月桜花しづきおうか

「むっ...」



自己紹介したかったのか、少し不機嫌そうになる桜花さん。可愛い所もあるんですね。殴るのは無しにしてあげましょう。



「お前は?」

「私は、小白浜玲夢こしらはまれむ。...あれ?」



そして、私はここで初めて重大な事に気付く。



「何だ?どうかしたのか?」

「あのー、ここに来て混乱してて気にする間も無くて、気付かなかったのですが、私...」



最速最大出力で、頭の中に思考を巡らせる。



我が家の間取り。

さっき見た夢。

しかしそれ以外、真っ白な世界が広がるだけだった。


それ以上、私の記憶には何も無かった。



「ほとんど記憶が無いみたいです」

「「あー、やっぱり?」」




...あれ?驚いてない?






かくして私は、記憶をほとんど失い、よく分からない世界トコロに来てしまったようだった。


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