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絵夢 (1)

 木曜の夜は忙しい。

 インターネットの生放送は二十三時五分からなのに、僕はいまだ鏡の前で悪戦苦闘していた。

 今日に限って髪型も決まらないし、アイラインもちょっとはみだして、変になってしまった。こんなことなら最初からウィッグに仮面着用のキャラクターとして設定しておけば良かったのだが、後悔先に立たず。ようやく髪に仕上げの銀粉のスプレーを吹き終わり、僕はペットボトルのミネラルウォーターを一口飲んだ。

 放送五分前。

 群青色の光沢ある大きな布を天井から垂らして、照明の具合も調整された、僕の中では青いスタジオと呼んでいる部屋の一角に座る。カメラの位置を整え、マイクもいつも通りに用意した。もちろん制御用のパソコンも近くに準備してある。

 放送回線は二十三時丁度から開いてある。確認用のモニターには、青いスタジオの中に椅子がひとつ。僕が出て座ればいいだけだ。毎回、オープニングのバックミュージックはガブリエル・フォーレのパヴァーヌのピアノ版と決めている。

 時間だ、さあ行こう。

 僕はおもむろにスタジオの椅子に腰掛ける。モニターには宝塚並みに派手に着飾って化粧をした僕の姿が写った。淡く輝く妖精の姿をしたエフェクトが僕の肩に乗り、背景には銀色の星くずが雪のように降り始めた。

「みなさんこんばんは。『月光の回廊』管理人のスバルです。今夜も、来てくれてありがとう」

 部屋には僕がひとりきりだけれど、インターネットに乗った僕の姿はいま、たくさんの人に見られ声を聴かれている。

 このやや現実離れした緊張感と高揚感が僕は好きだ。だからといって興奮しないよう、感情を抑え気味に、なるべくゆっくりした丁寧な口調で話すよう心がける。

「みなさんから、またたくさんの素晴らしいポエムが届いています。今夜のオープニング・ポエムをご紹介しましょう。ペンネームは……」

 僕はさっき適当に選んだ投稿ポエムのひとつを朗読しながら、モニターを確認した。現在の視聴者数は二百ちょっと。リアルタイムのメッセージが数件受信されている。

『スバル君今日も綺麗です』『一週間待っていました』『今夜はスバルさんのオリジナルポエムが聞きたい』……。

 僕が詩を読んでいる間にもメッセージは少しずつ増え続けた。時々誹謗中傷的なコメントが書き込まるので、そういったものは発信元ごとに拒否して表示されないように対処していった。

 僕はアダージョ風のゆっくりとした音楽ばかりを順番に流しながら、視聴者からのメールを紹介したり、占い師のまねごとをしたり、自作の朗読劇を披露したりして、スバルとしての五十五分を過ごした。

 日付が変わるすこし前、お別れの挨拶をして、回線を閉じる。

 今日の放送も無事終わった。

 カメラの死角に用意してあったミネラルウォーターをがぶがぶ飲むと、僕はようやく落ち着いた。

 横目でパソコンのモニターを見ると、何通かのメールが届いているが、内容を確認する気が起きない。僕はただ、はやくシャワーを浴びて化粧や髪のセットを洗い流し、ワタルの姿に戻りたかった。

 髪を洗い、部屋に戻ってドライヤーをあてているとき、夏希からのメールが着信していることに気がついた。二回読み返して、別れのメールだと気がついた。

 窓の外は晴れていた。オリオン座が派手に輝いていた夜だった。


 駅西口方面の旧商店街通りにあるカフェ・ペンデュラムは、いつも色白眼鏡のマスターが一人で切り盛りしている。客は少ないが、そのほうがゆっくりできていいんだとマスターは言う。

 イルミネーションとクリスマスソングであふれているにぎやかな通りから、小さな横道に入り、僕は目立たない昇り階段を上がった。

 ジーンズの裾と肩についた雪を払い落し、扉を開け店に入ると、もう小夜子がカウンターに座っていて、僕に気づくと手招きをしてくれた。今日はベージュ色のスーツ姿だ。

「観たわよ、昨日の放送。あたしずっと笑いっぱなしで、おなか痛くなっちゃった」

「そう言ってもらえると、心底肩の荷が降りた気がするよ」

 僕は小夜子の隣に座り、ランチセットをオーダーした。

「つらいならやめたらいいのに」

 コールスローサラダをフォークでつつきながら小夜子が言う。

「そんなことはないさ」

 自分でも説得力がないのは分かっていたがそう答えた。

 昨夜起こったことについて、小夜子と話しているとき、店の扉がそろそろと開き、眼鏡でショートカットの制服姿の女の子が入ってきて、僕の前で立ち止まった。

「あの、スバルさんですよね」

 知らない子だ。

 小夜子は僕と眼鏡少女との顔を交互に見比べている。

「さっき、パソコンショップで見かけて、スバルさんかと思ってついてきたんです。間違いだったらごめんなさい。でも、そうですよね?」

 しまったと思い、反射的にマスターの顔を見た。マスターは、胸の前で小さく手を水平に広げるポーズをした。『セーフ』だ。助かった!

「わたし、エミューです」

「エミュー」

 僕は人差し指を立てた。その名前は確かに知っている。

「夢枕のエミューか」

「そうです」

 ペンネームを口に出すことが気恥ずかしいのか、エミューと名乗った少女は白い頬を真っ赤にしてうつむいた。

「例の件で――名乗り出るべきかどうか、迷っていました。でもさっきお見かけしたので、思わず後を追ってしまったんです。まさか、こんな美人な彼女さんと一緒とは思いませんでしたし――あの、やっぱりご迷惑でしたよね。わたし帰ります」

 エミューは何度も頭を下げた。

「ああ気にしないで。彼女とかじゃないし。ただの茶飲み仲間よ」

 眉ひとつ動かさず小夜子が言った。僕は少しがっかりした。

「それに、ワ……じゃない、スバルはどうせ暇だもの。ゆっくりお話ししていけば?」

「べつにもうワタルでいいよ、めんどうくさいから」

 素顔も見られてしまったし、別に良かった。

「そういえば、僕は化粧もしてないし、髪も染めていなかったのに、よくスバルだとわかったよね」

 僕のメイクの濃さは舞台役者並みと自負している。スバルと普段の僕とではまったくの別人のはずだ。エミューはきょとんとして、いまどき珍しく飾り気のない銀縁眼鏡を指で押し上げながらまばたきした。

「ああ、本当ですね! お化粧していなかったなんて今気が付きました」

 演技とは到底思えないとぼけた反応に、小夜子は大笑いした。「ねえ、あなた面白いわね。あたしミルクティーとかおごっちゃう」

 エミューは恐縮してしきりに頭を横に振っていた。頭の上に積もった雪が解けて、髪から水滴がしたたっている。そういえば僕らはずっとエミューを立たせっぱなしだった。小夜子が話を聞きたがったので、僕らは座ることにした。


 エミューはもともとスバルのファンの一人だった。

 ある日、スバルのもとにエミューからのメッセージと一枚のイラストが送信されてきた。

「みなさんの眠りが穏やかなものでありますように」との一言が添えられたその絵は、デジタルアートではなく、手描きで描かれたものだった。水彩絵の具かポスターカラー、それにエアーブラシを使用していると思われた。上半分がべた塗りの黒の中に青白い丸がひとつ、下半分には紺と青銀色のゆるやかな波模様が描かれていた。おそらく海面に映る満月の絵だろうと僕は思った。

 僕は絵画の良し悪しが全くわからない。僕に言えることは、この絵は写実的ではなく、抽象的な種類のものだということだ。粗いタッチで描かれていたが、眺めていると確かに心が落ち着く気がした。メッセージの意味については、つい先日、大きな事故が全国ニュースで報道され、皆の気分が沈んでいるたためだろうと僕は考えた。

 僕の放送の七割くらいは、視聴者からのこういった投稿作品で成り立っている。僕は早速、次の回のネット放送でこのイラストを紹介した。

 翌日不思議なことが起こった。

 最近心が不安定だったり眠れなかったりしたという視聴者が、イラストを見た夜からぐっすり眠れるようになったという旨の報告が一件。きれいな月夜の夢を見て心が洗われたという報告が二件。なぜか分からないが、頭がすっきりして不倫関係を清算できて良かったという報告が一件。

 視聴者提供のポエムやイラストに、ここまで反応が出ることは珍しかった。

 僕はそのまた次の放送のとき、エミューの絵を見た人からこんな報告をもらったよ、ということを紹介したところ、自分もその体験をした、というメッセージが次から次へと書き込まれた。誰かが投稿主を「夢枕のエミュー」と命名し浸透した。

 エミューにもう一度絵を描いてほしいという熱心なラブコールが絶えず、一時は僕の放送がほとんど乗っ取られ気味になった。そこにスバル正統派を名乗るファンや、イラストが紹介された回を観なかった視聴者のグループが出てきて、激しく対立し、番組は大混乱を期した。

 僕は正直このあたりでかなり疲弊し消耗した。エミューからのイラストが届いたのは最初の一度きりで、その後は何の音沙汰もなかった。僕は僕みたいなペテン師じゃなくて本物の救世主が現れたのに違いないと思って、本気で放送を辞めようかと思っていた。

 いろいろ考えているうちに、徐々に騒ぎは収まっていった。僕は引き際を逃し、番組は惰性で続いた。いつのまにか、夢枕のエミューの話は視聴者の間で禁句となっていた。


 僕ら三人はペンデュラムのボックス席に陣取っていた。

 それぞれが好きにオーダーしたコーヒーやら紅茶やらが運ばれてきて、テーブルの中央には、マスターいわく試作品の山だという、大量のスコーンがバスケットに盛り上げられていた。ご丁寧に持ち帰り用の透明パックまで添えられている。

「わたし、本名はエムといいます。絵画の絵に夢と書いて絵夢です。わたしの母が子宝に恵まれなかったとき、受胎告知の絵を枕の下に敷いて眠ったら、夢に天使様が出てきて、娘を授けるから絵夢と名付けるように、とおっしゃったそうです」

 そんな話は正直あやしい、と僕は思った。子供の名付けの由来はあとでなんとでも言えるし、どうせなら子供自身も喜ぶようなエピソードがあったほうがいいに決まっている。多分エミューの母さんもクリスチャンでもなくて浄土真宗あたりだろうし。

 僕の屈折した思考をよそに、エミューは話し続ける。

「わたしが小学三年の年の暮れに、母さんが七福神の夢枕の話をしてくれました。おめでたい初夢がみられたら一年間楽しい気持ちで過ごせるのにね、って言ったので、わたし色鉛筆で宝船の絵を描いたんです。かろうじで船らしきものに人が七人乗っていることがわかる程度の、そりゃ下手くそな絵でしたが、母は喜んでもらってくれました。一月一日の夜眠る前に、母は宝船の絵をじっと眺めてから眠ったそうです。そうしたら、高貴な雰囲気の白鬚の老人が夢に現れて、黒光りした小さな薬箱を母に授けてくださったそうです」

 僕の脳裏には、水戸黄門が懐から印籠を出す映像しか浮かばなかった。

「その年の節分あたりになって、リウマチと骨粗しょう症で全身痛いと言っていたはずの祖母が、すっかり元気になって動き回っていることに気づきました。母は、夢に出てきたお爺さんはきっと寿老人だと言っていました。その後、宝船の絵はなんとなく持っていないほうが良いような気がしてきて、しめ縄飾りと一緒に神社で燃やしてもらいました。

 わたしはそういったことをすっかり忘れていたのですが、つい最近になって、母がそのことを叔母に話しました。叔母は、わたしに宝船の、しかも弁財天の絵を描いてほしいと言って、五千円のお小遣いをよこしました。要らないといっても画材の調達費だといって引き下がりません。仕方がないので、画材店に行って馬鹿みたいに高級な画用紙と筆を買って、それで絵を描きました。

 弁財天の絵を渡した夜、叔母の夢に、異国の王妃様のような美しい女性が現れたそうです。しばらくすると、叔母の勤め先の上司にあたる人から、高級ディナーにしつこく誘われるようになりました。――あ、叔母は独身なんです。

 一度だけならということで食事を共にしたところ、結婚を前提に付き合える女性を真剣に探しているのだ、ということでした。経済的に安定した優しい男性だったそうですが、さすがに叔母も少し後ろめたくなったようで、弁財天の絵は神社で燃やしてもらったそうです。その後、その男性上司は転勤で遠くに行ってしまいました」


 僕がこの話を何の先入観も持たずに聞いたとしたら、思春期の女の子の単なる思い込みであろうと一刀両断していただろう。しかし、インターネット放送の件がある。でたらめや偶然では済まされないかもしれない。小夜子も身を乗り出して聞いている。

「つまり、エミュちゃんの絵を見た人たちは、絵の通りの夢を見て、絵の内容に沿ったご利益まで得られるってわけね」

 興味津々の小夜子とは対照的に、エミューは顔を曇らせる。

「ご利益というか……そんなに都合のよいものではないって気はします」

「そういえば、絵は神社で燃やしたって言ってたよな」

「はい。もしも本当にわたしの絵に特別な力があるとしたら、神様からお借りした力だと思うんです。ならば、神様にお返ししなくてはならないと思うのです」

 話がどんどん信仰に偏ってきたが、そういう類のものではないと僕は思っていた。

 女子二人はさっぱり手をつけようとしないので、僕が先頭切ってスコーンをかじった。バター風味のさっくりした生地の中にレーズンとチョコチップが練り込まれていた。おいしいが口の中の水分が持っていかれる。

「それで、エミューは僕のところに名乗り出て、どうするつもりだったんだ?」

「まず第一に、番組を壊してしまったことを謝るべきだと思いました。それに、寄せられた視聴者の皆さんの声も見ていました。もしもスバルさんが、もう一度絵を描いてくれと言ったら何度でも描くつもりでした。しかし、それすらわたしの思い上がりではないかと。このまま沈黙して、忘れられたほうが良いのかと思い、ずっと迷っていました」

「いっそのこと、エミュちゃんが、スバルの番組の中でコーナー持ったらいいんじゃない?」

 小夜子がスコーンをもごもご食べながら言った。僕が一番恐れていたことを、そんなふうに簡単に口に出すなんて。エミューは顔を真っ赤にして横に振った。

「わたしにそんな大それたこと無理です」

「エミュちゃんは、巫女さんみたいな恰好して、絵だけ描いて無言で去っていくミステリアスなキャラにしたら? 服もメイクもあたしがなんとかするわよ。あとはスバルが適当に喋って進行してくれるわ」

 勝手に人の番組の方針を決めないでほしい。

 小夜子はエミューのプロデュースをするんだと言ってはしゃいでいたが、僕はなんとか気を逸らそうと必死だった。振り子時計が十七時を知らせた。冬の日没は早く、外はもう暗くなっていた。バスに間に合うように帰るため、エミューは椅子から立ち上がった。

「あ、そうそう、エミュちゃん」

 小夜子は思い出したようにエミューに言う。

「このカフェのことは、お友達に広めないでね。お客さんが増えると、マスターが忙しくなって困るって言うのよ」

「そうそう。無断で知り合いを連れてきたら、出入り禁止になるんだ。あの優しそうなおじさん、本当はすごく怖いんだ」

 僕は先ほどエミューに尾行されてしまった失態を思い出した。マスターはセーフ判定にしてくれたが、あやうく唯一の行きつけのカフェを失うところだったのだ。

 わかりました、また来週、今度は絵を持って来ますね、と一礼すると、エミューはドアを開けて軽い足取りで出ていった。

 残された僕と小夜子は、スコーンのバスケットを持ってふたたびカウンター席に戻った。二杯目のシナモン・ミルクティーをオーダーした小夜子が僕に聞く。

「エミュちゃんの話、どう思う?」

「まあ、神様の力がどうこうって部分以外はおおむね本当じゃないかな。就寝前に得た情報――絵とか映像なんかが、夢の内容に影響するっていう説はあるんだ。だから僕は、エミューの絵が大反響を巻き起こしたとしても、それほど疑問じゃなかった」

「では、おばあさんのリウマチが治ったとか、叔母さんが急に男性から言い寄られたとかって話はどうなるの?」

「サンプルが少なすぎるんだけど、ひとつには偶然の可能性。もうひとつには、絵のご利益を信じたがために無意識のうちにそうなる行動をとってしまっている可能性だよ。プラシーボ効果だ」

「ワタルはなんでも理論で片付けられるのね。つまんない」

 小夜子はシナモンスティックでミルクティーの表面にくるくる円を描いている。僕は別に小夜子を口説いているわけではないが、女の子をやたらと落胆させてはだめだ。希望も与えなくてはいけないと僕は思った。

「いや、実はちょっと面白いんだ。いままで色々なイラストを番組で紹介したけど、あれほど影響が大きかったのは後にも先にもエミューの絵だけだ。エミューの絵には、なにか非凡な要素があるんだと僕は思う。たとえば、ユングの言う普遍的無意識ってやつを呼び覚ますような力がね」

「フヘン的無意識って?」

「うーん、たとえば、勇者が悪い竜をやっつけて、お姫様を助ける、っていう類の物語は、大昔から世界各地にある。人間は国や宗教が違っても、根底の部分はつながっているのだっていう説があって、誰もが心の底に持っている共通のイメージのことを、普遍的無意識っていうのさ」

「ワタルって本当に物知りね、尊敬するわ」

 小夜子の口調は平坦で、言葉と裏腹にうんざりしたような表情を浮かべていた。

 僕の頑張りは空振りに終わったようだ。それなら、エミューの絵はきっと神様の力か超能力に違いないね! とかなんとか言うべきだったのだろうか。女の子は難しい。

「あっ、あたしもそろそろ帰らなきゃ。バスなくなっちゃう」

 小夜子は鞄から財布を取り出した。僕がご機嫌を損ねたせいではないと願いたい。

「そういえば、今日の恰好はオシゴトじゃないのか?」

 小夜子がOL風の恰好をしているときは、たいていオジサン相手に秘密の仕事をするときだけなので、僕は聞いた。

「ああこれ? 就職活動の帰りよ。これでも月に二、三回は面接試験にこぎつけてるんだから」

「永久就職か?」

「馬鹿ね。それ、女性蔑視よ」

 茶化す僕を軽くあしらって、小夜子は席から立ち上がった。

 小夜子が抱えているビジネスバッグは単なる知的に見せるアクセサリーで、実は化粧品とか避妊具とか、レースの下着ばっかり詰まっているんだろう、と心のどこかで僕は思っていた。本当のところは、公開求人票や履歴書や、資格勉強のためのテキストなどが入っているのかもしれなかった。

 そりゃそうだ。僕は何をばかげた想像をしていたんだろう。

※「永久就職」=女性が結婚して家庭に入ることを意味する俗語。筆者は最近めっきり耳にしなくなったので、念のため補足いたします。

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