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勇者の失敗  作者: 林育造
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第7話 魔術学院編入試験第2日目

編入試験2日目は実技試験である。

昨日の学科試験の出来がひどかった(というか、ほとんどできなかった)自覚のあるチートは、今日の実技で頑張らなければという思いがある。


今日も最初はマギ学院長が対応してくれた。

「こちらが魔道場、実技試験の会場じゃ。」

そこは地面がでこぼこした中庭のような場所で、複雑に木が茂っている弓道場のような造りになっており、両側には大きめの木が生えているが中央は先を見通すことができる。

100mほど向こうに的と案山子のような物体が立ててあった。


「ここには何頭か魔獣が放してある。探知魔術でも気配察知でも良いから、どこに何がいるのか把握するのが1つ目の課題じゃ。なに、それほど危険のあるものはおらんから、実際に入って行って捕まえてくるのも有りじゃぞ?」

言われてチートはとりあえず前方の景色全体に簡略ステータスチェックをかました。

【木木木木木木木木蛇草草木木木木虫木木草木木草草草草草虫草草草】

お、なんかいた。っていうか、これだけ植物が多いんだから当然そうなるわな。

詳細ステータスチェックなんぞでスキャンすれば、植物の名前が視野いっぱいに広がるであろう。ステータスチェックで魔獣を探すのは岩山やダンジョン内に絞った方が良いようだ。

チートは気配察知である程度何かいそうなところを絞り込み、その場所のステータスを詳しく見る方法でチェックしていった。


【ロックパイソン】

ごつごつした巨大ニシキヘビ。毒はないが締め付ける力は岩も砕く。


【デスマンティス(♀ノンアクティブ)】

植物に同化して獲物を待つ巨大なカマキリ。鎌に挟んだ相手をすぐ齧る。鎌に目が行きがちだが、あごの力を見くびってはならない。


【ジャイアントリオック】

攻撃力Sに相当するコオロギ。発達した後脚で跳びかかり、体重をかけて相手を押さえつけ咬みつく。頭胸部は硬くて攻撃が通りにくく、腹部はやわらかいので攻撃を吸収する。

湿った林縁部に多いので通過時には注意が必要。


【デスストーカー】

体は大きくないが尾の非常に太いサソリ。毒は極めて強力で牛や馬でも一撃で倒す。


【ストロングボンバルディアビートル】

攻撃的ではないが、危険を感じると尾端からガスを噴射し、爆発させることができる。うっかり踏んだりすると足がなくなることがある。


【キラービー】

スズメバチ。尾端に毒針を持ち、かなり攻撃的。集団になると非常に危険。巣を見つけたら避けるか要警戒。


【ヘルオポッサム】

叫び声をあげて相手を竦ませ、取りついて鋭い牙で首にかじりつく。抉るように肉を持って行かれるので傷の治りが遅く、行動が制限される。


「これ、本当に危険のあるのいないんですか?」

「うむ、昆虫型など巨大なだけで見かけよりはるかに動きが遅いぞ。」


確かに昆虫は小さいからこそ能力を発揮できるので、同じ形状のまま巨大化しても筋力(断面積:長さの二乗に比例)が体重(体積:長さの三乗に比例)に追いつかず、大きくなるにしたがって動きが鈍くなっていくと思われる。


「でも、昆虫型以外にヘビやサソリもいますよね?何か変なのもいるし。」

待ち伏せ型に毒攻撃を仕掛けられてはたまらない。あちこち齧られるのも避けたいものである。


「ま、どこに何がいるかは判ったようじゃから良しとしよう。では、次じゃ。」


マギ学院長が指示すると、担当と思しき職員がてきぱきと魔獣(?)を回収していく。研究用に施設で飼育されているものらしい。逃げ出したりすることはないのだろうかと少し心配になる。


「まずは木の間にいくつか的が出現する。出現したら5ないし10秒そのままなので、その間に適当な魔術を命中させれば良いだけじゃ。じゃが、いきなりやって見せい、というのも酷じゃから一度お手本を見てもらおう。センテラ、頼むぞい。」


そういわれて現れた魔術師は、Tシャツのようなシャツにジャケットを羽織ったラフな格好をしており、下は制服なのかしっかりしたスパッツのようなものをはいている。

学院生なのか、チートと同じくらいの年齢に見える、少し線が細いがなかなかのハンサムさんだ。

魔術師が左手を上げると、木の間に直径40cmほどの的が出現した。的の中心には半径より少し大きな霧の天気記号、すなわち○の中に・が入ったものが描いてある。


「スパーーーン」


いきなり、石ころ程度の大きさの白く光るものが的を撃ちぬいた。どうやら氷の塊を飛ばしたようだ。

その後も見かけはランダムに、木の間のあちらこちらに的が出現するが、魔術師は出現する的をこともなげに打ち抜いていく。飛ばすのは氷だけではない。木の枝が邪魔ではないかという的にはファイアボールで枝の下をくぐらせ、浮き上がりざま当てる。地面ギリギリの的には素早く打ち出した氷の弾丸をうまく放物線を描くように命中させた。どうも同じ氷魔術でも、軌道を変えるために初速度を変えているようだ。

最後の最も遠い的は、何か光ったと思ったらはじけ飛んだ。最後のが光魔術らしい。全的中、見事なものである。


「さて、それではチート君にやってもらおうかの。」

「要するに、出てくる的に魔術を命中させればいいんですよね?」


チートが魔術師のやったように左手を上げると、魔術師の最初とは異なる場所に的が現れた。

「うおっと、うりゃああああぁぁぁぁ!」


と、直径5ほどのファイアーボールが飛んで行く。一応模擬戦闘の後で練習したので前に飛ばせるようになっている。


「うりゃあ、せいっ、とりゃあああああぁぁぁぁ。」


ファイアーボール3発目くらいで、魔道場の樹木はほとんどすべて炭化し、葉が落ちてスカスカになった。それはもう、的を出す仕掛けが見える程度までである。10発目までに両側の太い樹木(……というか、すでに炭の柱)を残し、見えるのは的が付いた装置だけになった。


「ふぃーっ、全弾命中……っと。」


まぁ確かに、ファイアーボールのどこかに、的が当たってはいた。

と、控えていた魔術師がつかつかとチートに近寄って来たかと思うと、持っていた炭化した枝でチートの頭を「スパーン」と引っ叩いた。


「うぉい、何すんだよ。」

「アンタのパーティには 前 衛 が い な い のかな?」

これは尤もな意見である。いくら敵に命中するとはいえ、敵との間に前衛がいれば、今の攻撃方法では確実に巻き込んでしまう。

しかし、チートは違うことを考えていた。

「(あー、また下手な吹き替え現象。ゆっくりしゃべっていることはわかるが違和感が……)」

と、目を逸らして視線を落とすと、自然と魔術師のささやかな(・・・・・)部分に目が行ってしまう。


「(あれ?ハンサムさ………ん、)もしかして女?」


後半は声に出してしまっていた。


「ど・こ・を・見・て・る・の・か・な・?」


うわ、睨まれてるよ。


「いや、ごめん、完全に男だと思っ…うわっ。」


とっても怖い顔のセンテラさん。地雷踏んだ?目がマジです。


「た・い・け・い・が・お・と・こ・み・た・い・と・い・う・こ・と・か・し・ら?」

そう言いながら、残っていた炭化した枝を握って粉々に砕き、その手をチートの方へ突き出した。と、マギ学院長が、

「センテラ!青い風は街中では禁止魔術じゃぞ。」と叫ぶ。


センテラさん、青い風って、即死魔術じゃなかった?殺る気満々ですね。


パーティメンバー最強の魔術師との邂逅であった。

「青い風」は、炭素・(空気中の)窒素・水分からシアン化水素(青酸)を生成する魔術です


あと、センテラさんは「センテラ・クレイン」と言います

   1000キロ=1メガ

   1000メガ=1ギガ

   以下(ry

   「クレイン」は、ある鳥の名前です

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