闇に彩(いろ)ふ
人の放ちし強き情念、いろとなり、かたちとなりて、現るる。
悲哀は青く、憤怒は赤く、憎悪は黒くなりにけり。
それ、人を襲い、人を喰らいて大きくなりにけり。
いろを持ちし禍をもたらすもの、これ、彩禍という。
世に彩禍を討伐せし者あり。
祖は一人の乙女。
彩禍のいろを抜き、布に染め付け、滅する。
これから、彩禍を討伐せし者、染物師と呼ぶ。
闇から生まれ、闇に彩ふ禍々しきもの、
其を滅するは、白き布を持ちし、闇に彩ふ清きもの。
これにて、一旦完結とさせていただきます。
2話はすごい詰め込みすぎた感じがしますが、自分では満足です。
前回投稿時の活動報告でも書きましたが、「彩ふ」というのは「美しい彩りをしている」とか「映える」といった意味があるそうです。
毒々しいくらい鮮やかな彩禍も、白い布を手にそれらと戦う染物師も、闇に映えるような鮮烈さを持っていることをイメージしたタイトルとなっています。
とりあえず完結としましたが、まだこの話を続けていきたいと考えております。そのため話がまとまり次第、続きを掲載していこうと思います。
それではお楽しみ頂ければ幸いです。
お読みいただきありがとうございました。