209文字で切り取った世界 ―― 一番小さなストーリー ――
209文字で切り取った世界 ―― 一番小さなストーリー ―― 坂
僕とちえは幼馴染だ
毎日登る校門までの坂道
ふと、ちえが言った
「ねぇ。この坂、先に登りきった方が相手に一つ命令できるって、どう?」
またか、と僕はため息を付く
「いいのか? 絶対、僕の方が先に登りきるぞ」
「いいのっ! 自信あるから」
そういって彼女はスタートの体勢をとる
「よーいっ」
Chu
「勝ったぁ!」
ちえは坂の上からVサインをしてる
だけど、こんなのは反則だ
僕は驚いて、その場で固まっていた
「じゃあ命令! 淳平、あたしと付き合って!」