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そして人はいなくなっちゃいました[その10]

作者: 雪人

これは聖魔光闇さんが始めたリレー小説の10話目です。

続きが気になる方は好きに作っちゃってください!

詳しくは聖魔光闇さままで連絡を!(ここまでを毎回いれてください)


↓こちらの作品からどうぞ

1話目:聖魔光闇さま http://ncode.syosetu.com/n3089r/

2話目:真野優さま http://ncode.syosetu.com/n3101r/

3話目:日下部良介さま http://ncode.syosetu.com/n3133r/

4話目:大塚紗也さま http://ncode.syosetu.com/n3372r/

5話目:ふぇにもーるさま http://ncode.syosetu.com/n3460r/

6話目:円藤さま http://ncode.syosetu.com/n3494r/

7話目:Miyukiさま http://ncode.syosetu.com/n3718r/

8話目:MOWさま http://ncode.syosetu.com/n4404r/

9話目:ゆららさま http://ncode.syosetu.com/n4553r/


10話目が今回です

「どうしてわかったの?」


そんなことを聞かれても分からない。ただのなんとなくだ。娘の気配なんて、親だったら誰でも分かるだろう。


「…お父さんはな、お前がやったことは大体わかるんだよ。ほら、この前お人形さんの髪の毛を誰かが切っちゃっただろう?お父さん、言わなかったけど、ちゃ~んとお前がやったって知ってるんだからな」

「え、知ってたの!?ママもパパも何も言わないからばれてないと思ってた…」


二週間ほど前から行方不明だったのに、いきなり髪の毛がおかっぱになっていたフランス人形が出てきたときは正直驚いたが、部屋の隅で泣きそうになっている我が子を見て、「人形の髪の毛は伸びない、って気づいたみたいだし、そっとしてあげましょう」なんて妻は言ってきたし、確かに後悔に囚われている子供をあれ以上いじめる趣味はなかったので、そっと隠し場所に戻しておいたのだ。


「な?お父さんに隠し事はできないんだぞ?」

「ごめんなさい……だって、パパ、髪の毛伸びたけど、お金がかかるから切りたくない、って言ってたから…だから私、切ってあげたくて…」

全く。この子は本当に親思いの優しい子だよ。そんなに泣きそうにならないでおくれ。


この子は本当にいとおしい。

伊丹と尼崎のことだって、何かの折に教えたのを逆に覚えてしまったのだろう。

この子は思い込んだら忘れないから。

今すぐ慰めてあげなくちゃな。

僕は桜の木から身を起こし、愛しい娘の頭を撫でてやる。



……そうしようと思ったところで、手が止まる。

撫でようとして見た我が子には、鎖がついていたのだから。

両手両足、長く太い鎖は強引に千切られたようだった。

鎖とは、束縛のための道具。決して外へ出してはいけないものに対して使われるものだ。


それを見た瞬間、我が子の愛で満たされていた心に、酒により一時忘れていただけの、愛する妻を消された悲しみ、周りの人間が消された恐怖、そして己に迫る絶望が戻ってきた。

一人取り残された恐怖などは微塵も残ってはいなかった。

暴力により千切られたとしか思えないその太い鎖は、何か得体の知れない心地よい世界にいた僕を、無慈悲な現実へと連れ戻した。


先ほどの問いを、もう一度言う。

「きみは、たくさんの人をどこに消したの?

…そして、なぜ夢や幻を僕にみせているの?」

今、僕は愛しい我が子に喋りかけている。

…なのに、なぜ恐怖を感じている?

なんで、さっきまでは泣きそうなはずだったのに、この子はこんなに無表情なんだ?

……いや違う。無表情じゃなくて、無機質なんだ。そこに、生命の温かみは感じられなかった。

いつも見ていた我が子。なのに、その顔が、よく出来た日本人形のようにしか見えない。


「どこに…?一体何を聞いてるの、パパ?」

本当に、何を聞いているのか分からない、といった様子だ。

この子は嘘をつけるような子じゃない。それは、誰よりも知っている。

「皆、どこにも行ってないよ。」

あぁ、その小首を傾ける仕草。僕はそれが大好きだった。なのに、今はなぜ、この仕草がこんなにも恐ろしいんだ?


「ただ、消えただけだよ。」

駄目だ。これ以上は聞けない。これ以上聞くことを、僕の本能が止めている。


-試してみる?

そんなことを、もし我が子から言われたら。そんな想像が頭の中に、くっきりと思い浮かんだ。


必死で別の話を探す。でなければ、何かに食い殺されそうで。

「な…なんで、僕に幻想を、見せたんだい…?」

頭の中に、咄嗟に思い浮かんだ質問。先ほどの質問の、もう一つを聞く。二つ聞いておいて、本当に良かったと心底思う。


が。



「なんで?」


さっきの言葉とは、明らかに違う。冷たい、凍りきった声で、我が子は、そう聞き返した。


「なんで、って、それをパパが聞くの?」

間違えた。完全に僕はミスをした。一度だって聞いたことの無い娘の声。僕は、首筋にナイフが当てられたような錯覚さえ起こした。


「…ごめん、別に何か意味があるわけじゃない。ただ-」

「ただ?」

言い訳のようなものが口から勝手に流れ出したが、それすらも問い詰められる。追い詰められる。

何がいけなかった?彼女は何を伝えたいのだ?


「…ねぇ、パパ」

娘は、まるで諭すかのように語りかけてくる。その目はガラス球のようで、その口は、真っ赤な三日月のようだった。

「皆が消えた理由。」


「……」




「パパなら、分かるよね?」


これはリレー小説です。進捗状況、その他詳細については、聖魔光闇さままで連絡を。


お読みいただきありがとうございます。

まとめに入るべきかなぁ~、とか思ったんですけど自分はそんなことやりません、ってかできません。

今までの話の流れぶった切って、問題を放り込みました。


次の作者様、大変でしょうががんばってください。

感想、お待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言] 娘の姿をした別の存外。 興味をそそります。 そろそろ、完結させようと思っていましたが、もう少し続けようかな? って気分になりました。 この度は、ご参加頂きありがとうございました。ならび…
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