表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天下無双の僕がゆく  作者: わたくしですわ
一章 学院入学編
8/8

第七話 騎士

 その人物はユリーナ先生だった。

 正直、先生でもルシファーに勝てるビジョンが全く浮かばない。

 だから、街の兵士達を呼んでもらう事にした。


「先生、今いる山に危険な男が居るんです。だから、できるだけ強い兵士を呼んで欲しいです。お願いします」


 そう言うと、予想通りの答えが返ってきた。


「二人とも何をしているんですか! 後でお説教ですからね。兵士さんを呼びますけど、すぐには来られないと思うので私が先に行きます!」


 怒りの籠った声だったが心配してくれているのだろう。

 これで、何とか状況は変わった。

 こうなったら、山の中で隠れているしかない。

 二人で草むらに隠れ、先生や助けを待った。





 少し時間が経った時、そいつはまたしても現れた。おそらく、魔力探知でもしていたのだろう。

 僕達はルシファーにばれてしまった。

 そして、僕達の居た草むらに斬撃が飛んでくる。

 二人とも、何とか攻撃を回避するも緊張が走っていた。しかし、緊張を和らげるような声が聞こえてきた。


「アラン君、ルカ君! 無事ですか!」


「「先生!」」





「重力魔法 グラビティー」


 ユリーナ先生が魔法を唱え、攻撃を放った。

 ルシファーに向かって魔力が放たれるが、すんでのところで避けられてしまう。

 しかし、ルシファーは態勢を崩し後ろに下がった。

 そのタイミングで、先生が僕たちの方へ駆け寄った。


「なんて魔力でしょう。私でもどうにかなるかしら」


「先生、敵は地獄の王・ルシファーです。油断すれば死にます」


「え? 地獄の王? 本当に?」


「この状況で、嘘なんてつきませんよ」


 そこに話を遮るように、放たれた斬撃の波動を何とか僕の剣で止める。


「それが本当なら、私達ここで死ぬんじゃないの?」


「だから、助けを求めているんですよ!」


「街の兵士を呼んでくれましたよね?」


 こくりと頷くユリーナ。

 こうなると、強い兵士が来て助けてくれる事を信じるしかない。


「助けが来るまで、耐えましょう。三人で!」





 三人の魔力を合わせ、盾を作り攻撃を凌いでいく僕達。

 僕は今のところ平気だが、ルカと先生の二人は魔力が持つだろうか。

 不安になる。


「先生はそろそろ魔力と体力が無くなりますよ」


 まじか。小柄なユリーナ先生なら当然魔力も体力少ないだろうが、もう少し耐えて欲しい。

 この状況で一人減るだけでも、かなり耐えにまわるのはきつくなる。


「先生の分まで俺が頑張るよ! アラン、ここからは二人で耐えよう」


「ルカ……」


 僕も魔力出力を上げる。

 二人で攻撃を凌ぎ続ける。

 しかし、ルシファーの攻撃は止まらない。

 加速し続ける剣にどこまで耐えられるか。


 しかし、限界は唐突に来た。

 ルカが血を吐いて倒れたのだ。


「所詮はその程度か。やはり、思い違いだったようだ」


 ルシファーは独り言を呟くと、剣を握る手を強めた。


「ルカ、無理をするな。後は、僕が引き受ける」


 魔力を最大まで引き出し、ルシファーの攻撃を受けるアラン。

 常に重い一撃が飛んでくるため、アランは一撃を防ぐたびに体が震えていた。

 しかし、負けじと盾を形成する手の力を強めた。


「チッ こざかしい真似を。これで終わらせてやる」


「剣技 傲慢なる剣」


 ルシファーから強烈な一撃が襲い来る。

 アランは攻撃を受けきれず吹っ飛ばされてしまった。


「ここまでか」


 そう悟り、立ち上がる足を止め座り込んだ。


「僕の努力は無駄だったのか。また、死ぬのか。また、辛い思いをするのか」


「ごめんなさい。先生、ルカ」


 僕は二人の方を見ることは出来なかった。失望されているのではという思いが強く、怖かったからだ。


 全てを諦め、死を受け入れる覚悟を決めようとした。その時だった……


「よく耐えたな、我が友 アラン」


 そこには、見覚えのある騎士がいた。


「クロム……」





 死を受け入れていた。

 そんな僕がいる事をルカが知ったら、どう思うだろう。

 そんな事を考えていた。

 しかし、その考えを一掃するようにクロムは現れた。


「相手は何者なんだ?」


「地獄の王・ルシファーらしいですよ!」


 ユリーナ先生が僕に代わり、伝える。


「地獄の王……にわかに信じがたいが、この男からは凄まじい魔力を感じるな」


 そう言うと、剣をルシファーの方へ突き出すクロム。


「騎士が一人来たところで何ができる?」


「その問いに今は答えることは出来ない」


「やれることを全力でやる。結果はその後ついてくる。それだけさ」


 ルシファーの方へ駆け寄るクロム。

 互いの魔力の籠った剣が衝突した。しかし、ルシファーの剣を受け流しクロムの剣が詰め寄る。

 だが、剣はルシファーまで届くことは無い。

 後、数センチのところでルシファーの剣が受け止めるのだ。

 そのようなやり取りが続いていく。

 

 しかし、僕の予想に反してクロムが押し勝ったのだ。

 ルシファーを一歩後ろに押し下げた。

 いくら騎士とはいえ、ルシファーを前に勝ち目がないと思っていた僕にほんの少しの期待を生み出した。


 しかし、すぐさま反撃に転じたルシファーの攻撃を受けきれず後ろに下がるクロム。


「うーん。この俺が押し返されるのは、確かに地獄の王かもな」


「多少は戦えるようだな。では、これはどうだ?」


「剣技 傲慢なる剣」


 僕でも、まともに受けきることの出来なかった一撃が放たれる。

 でも彼なら、クロムならどうにかできるかもと期待を寄せる。

 しかし……


「ぐはっ」


 クロムは肩に斬撃を浴びしゃがみこむ。

 咄嗟に傷口に回復魔法を当て、出血を止めるクロム。

 やはり、クロムでも勝ち目が無いのか……


「この一撃を受け、生きているとは大したガキだな」


 傷を治したクロム。そして、ルシファーを睨みながら言った。


「あなたと戦うのは、俺の能力上あまり相性が良くないみたいだ」


「結構まずいかもな」


 そう言ったクロムの額には、汗が流れる。

 その様子を見たルシファーは笑っていた。


「でも、この状況を変える方法ならある」


 クロムは僕達のいる方へ駆け寄ると言った。


「俺に君たちの命を預けて欲しい。いや、賭けてくれ。俺がこの状況を何とかするという事に」





 クロムは自信有り気に言うと手を出した。

 おそらく、信じられるなら俺の手に自分の手を乗っけろとでも表しているのだろう。

 僕は迷わなかった。


「僕はこの状況を変えることは出来ない。だから、クロムに命を賭けようと思う」


「俺もアランの言う通り命を預けるよ。ここで、死にたくないし」


 ルカは苦笑いをしながらも手を出した。

 そして、それに続くようにユリーナ先生も手をかざした。


「私も信じます。私の生徒が信じるのですから」


 クロム・アラン・ルカ・ユリーナの手が一つになった時、光が周囲を包み込む。

 その時、ルシファーは何かを感じ取ったかのように笑った。

 そして、クロムは前を向きルシファーに対し再び剣を向ける。


「三人の命を俺に賭けるという行為を行い、今の俺は本来の三倍以上の強さがある」


「確かに、魔力は大幅に上がったな。しかし、小細工などしても結果は変わらんぞ」


 ルシファーが襲い来る。

 クロムも負けじと剣を突き出す。

 剣と剣が衝突するたびに魔力の波動が巻き起こる。


「はは、いいぞ。その調子だ。もっと、魔力を上げろ!」


 ルシファーは高笑いをしながら攻撃を続ける。

 クロムも抵抗を続ける。

 二人は僕の想定しえない世界に突入していた。

 それはまさに、アリがライオンとチーターの戦いを見ているような気分になった。


「俺は三人の命を背負って戦っている。絶対に負けられん」


 クロムの魔力が上がっていく。

 それに呼応するようにルシファーの魔力も増す。


「剣技 傲慢なる剣」


「剣技 ゼロ・インパクト」


 二人の剣技が衝突した瞬間、轟音と共に視界が不安定になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ