第三話 ようこそ、修剣学院へ
僕はこの王国で一番の剣の学校の前に立っている。
ラインブルク修剣学院に到着したアランは緊張していた。時に、緊張感は集中力を呼ぶ。
正門をくぐり校舎へと足を踏み出したアラン……
その瞬間、小さく右へジャンプする。
着地をして元居た場所を見ると、そこには鳥の糞が落ちていた。
危うく、学院生活が一瞬にして終わるところだった。
気を入れ替え、校舎へと足を踏み出す。
学院はとても広い!
具体的な広さなどは分からないが、とにかく広いのは間違いない。
校舎は三階建ての棟が二つと二階建ての棟が一つ。
中庭が全部で三つほどあり、自由に出入りすることが出来る。
さらに校舎の奥には、森がありそこには様々な生き物が暮らしている。
なお、危険動物もいるので普段は立ち入り禁止となっているようだ。
そして、校舎の横には闘技場と体育館がある。
体育館は自由に出入りすることができ、放課後には剣術のトレーニングをする人もいるみたいだ。
僕は多少道に迷いながらも、事前に案内のあった東棟(主に一年生が使う棟)の三階の部屋に向かう。
その途中、階段の踊り場にある鏡で制服を整える。
ちなみにこの世界の僕は、髪は赤髪で身長が百七十五センチぐらい、顔は自分で言うのも何だけどザ・青年って顔をしている。とにかく、歳相応の顔立ちなのだ。
そんな、自分語りも程々にしとこう。
部屋のドアをノックする。
「入ってください」
声は大人の女性って感じがした。
先生が教室の案内をすると言っていたけど女性の先生なのだろう。
そう思いながら部屋に入る。そこは応接間のような造りになっていた。
そして、そこに立っていたのは……
「子供?」
どこからどう見ても八歳ぐらいの女の子だった。
その黄色髪の女の子は顔を真っ赤にし、
「子供じゃありません! 私はユリーナ。あなたの、今日からの、担任の、先生です!」
「え?」
この世界にきて魔力の存在を知った時ぶりの時間が止まったような衝撃を受けた。
衝撃から十分。学院の説明を一通りしてもらい僕は先生に一つ質問をする。
「ユリーナ先生はどうしてそのようなお若い見た目なのでしょうか?」
僕はたじたじとした様子で尋ねてしまった。
正直、聞かないほうが良いこともあるがどうしても気になったので聞いてみる。
もしかしたら、肉体を一定の年齢で老いる事無くとどめる魔法だったりしないかと少し期待をしていた。
「アラン君。私はね、恋をしているの。恋する乙女は歳を取らないのよ」
「だから、結論は恋よ。恋!」
「なるほど……恋ですか」
思っていた答えとは違ったものが出てきて困惑した。まあ、本人が言う気が無いなら無理には聞かないさ。
「もうこんな時間。アラン君、教室に向かいますよ」
いよいよ、本日からお世話になる教室の前に来た。少し緊張はするけど大丈夫! 自分ならやれる。そう言い聞かせる。
「はい。転入生のアラン君、入ってください!」
ユリーナ先生から合図が来た。
アランは呼吸を整えると気合を入れて足を踏み出した。
「新しく転入してきました。アラン・ランドールです。よろしくお願いします」
深々とお辞儀をする。
すると、上手くいったのだろう拍手が巻き起こった。
「アラン君の席は、一番後ろの左端ね。隣のルカ君よろしくね」
僕は先生から案内された一番後ろの左の席に腰を下ろす。
教室の中は大学で使用される教室のような見た目だった。
新鮮な感じでいいね。
「初めまして、俺の名前はルカ・エゼキエルです。よろしくね、アラン君」
「ああ、よろしく ルカ君」
隣の席に座るルカがアランに手を差し伸べた。
アランも手を出し、握手を交わした。
ルカ君は金髪の髪で落ち着きのある雰囲気の男の子だった。
フレンドリーな感じで話しやすそうだ。
「あのさ、アラン君のことアランって呼び捨てでもいい?」
「もちろん構わないよ。僕もルカって呼んでいいかな?」
学院に来て初めての友達だ。是非とも、仲良くなりたい。
「うん。俺のことはルカって呼んで! よろしくアラン」
午前中は普通に授業を受けた。
本日のメニューは、座学四時間コースで内容は対して難しくなく、歴史の授業に関しては神話を聞いているような感覚で楽しかった。
そして、昼休みを迎えた。
この学校の昼休みは長く一時間半もあった。
なぜだろう?
「よかったら一緒に昼ご飯食べない? アラン」
そう提案したのは、ルカだった。
もちろん、断る理由は無いので……
「いいよ、一緒に食べよう。どこで食べる?」
ルカは嬉しそうな顔をしていた。
今日はルカと中庭で購買の弁当を食べた。
余談だが、この世界のご飯はとても美味しい。
前世では食べたことも無いような料理が出てきて毎日がわくわくだ。
でも、たまに日本食とか恋しくなるけどね。
「アランはどうしてこの学院に入ったんだい?」
「剣の道に進みたいと思ったからだよ。後は、友達が欲しかったからかな」
この世界で、同年代の友達が欲しかった。
それも、この学院に入った理由の一つだ。
僕が生まれ育ったランドール家は、はっきり言ってド田舎だった。周りは、山で囲われておりお店なども少ない平和で退屈な場所だった。
そんな田舎である家の近くの学校だったので、人が少なく同い年の子も居なかった。周りは自分よりも年下の子ばかりだったのだ。
「そういえば、なんで昼休みはこんなに長いんだ? ご飯を食べるのにそこまで時間が掛かるとは思えないが……」
「この学院は昼休みに決闘をすることができるんだ」
決闘? なんだそりゃ。いきなり物騒になったな。
「お互いの剣の力を比べるためにする試合で、この学院では皆腕を磨くためにやっているよ」
なるほど、休み時間の遊びの一つか。面白そうだ。
「ルカ、せっかくなら僕と決闘しないか?」




