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天下無双の僕がゆく  作者: わたくしですわ
一章 学院入学編
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第一話 最強に成った少年

 僕は自分の人生をつまらなく、無駄なものだったと結論付けた。


 昔から全てが中途半端で結果を残せなかった。小学校の運動会で行われた徒競走では毎年二位か三位。中学受験をして偏差値四十七の中高一貫校に入り、そこでは友達数人と関わる静かな学校生活を送った。

 好きな人はいても、告白する勇気なんて無い。


 そう、決して悪いものでは無かった。安定はあったのだから。しかし、僕は退屈さを感じていた。

 そして、時より自分には特別な才能があってこの世界で最強の人間なんじゃないのかと思うときもあった。しかし、特に才能が覚醒することも無かった。


 結局、高校二年の秋、学校帰りに信号無視をしたトラックに轢かれて命を落とした。


 僕、有馬稔という少年は安定した退屈な平凡な人生のまま終わりを告げた。


 はずだった……





「軽いな。しかし、赤ん坊は皆このような重さなのだろう」


 男の人の声がする。聞き覚えの無い声だ。言語は僕でも聞き取れるので、日本語のようだ。音は聞こえるが、視界の方は真っ暗。

 というか、僕は死んだはずでは?


「よく産まれてきてくれた。我が子、アラン・ランドール」


 アラン・ランドール? 誰かの名前だろうか。


 徐々に視界が明るくなっていく。そして、ゆっくりと僕の目に映ったのは四十代くらいの髭を生やした男の人だった。


 そして、体は違和感を覚えるほど軽い。しかし、自由が利かない。まるで、自分が赤ん坊であるかのような気分だ。


 その時、全てを理解した。僕は異世界転生を果たしたのだと。


 僕が本当に転生を果たしたのか? これは夢ではないのか?

 半信半疑だ。しかし、この世界でもう一度人生を歩めるなら前世で憧れていた世界で一番強い存在になりたい。

 そう、天下無双の最強に。


「おぎゃあー、おぎゃあー」


 思いっきり、声を出して泣いてみせた。

 これは、僕が僕に送った祝辞だ。





 まさかの異世界転生から十五年が経った。僕は十五年間、赤ん坊の頃から修行を重ね続けた。

 そして、本日最強と成る。


「剣技 レクイエム・バースト」


 今、僕が放った剣技(けんぎ)とは剣を振る際に魔力を加えた技だ。アニメやゲームでおなじみの必殺技と言えるものだろう。


 魔力。これはこの世界に置いて、非常に重要なものとなっている。世界はこの魔力のおかげで成り立っていると言っても過言ではない。


 そして、この世界は剣の世界である。剣の力がある者を優遇し、立場を高く置く。


 これが、この世界の基本情報だ。他にも前世に生きた世界と違いはあるが、後々出てくるだろう。


「剣技 レクイエム・ガンマバースト」


 僕は今、家から近くの山の中で剣を振っている。時間をかけて習得した剣技をより高みの物へするための特訓だ。


「よし、こんなものだろう。今夜はこの十五年の努力を披露する日だ。少し、休んでおこう」


 近くにある岩に腰を掛けると、剣を鞘に納めた。





 夜になり、母と父が寝たのを確認すると僕はこっそり家を出た。


「フライム・クーン」


 浮遊魔法を唱え、十五メートルほど飛び上がった。そして、数時間前にも来た山の中の修行場へと向かう。


 これから、僕が行うのは死神との戦闘だ。この戦いで自分の実力を証明するのだ。


 七年前の八歳の頃、僕は本を読んでいて偶然見つけた死神の話に目を付けた。

 過去に、恨みのある相手の家に魔法陣を設置し死神に襲わせるという事件が発生した。その事件の注目したい点は、魔法陣を設置することで死神を召喚できる点だ。


 死神とは古来から強力な存在として知られていた。なぜなら、かつて地上を支配したと言われる最悪の龍ベリアルの手下と言われていたからである。

 つまりだ、死神を倒せれば僕は相当な実力を持つ剣士であると証明できるのだ。


 前置きが長くなってしまった。目的地に着いたので、魔法陣を発動させるとしよう。


 月の光が僕を照らす。少し涼しすぎるぐらいの夜風がなびく。


「始めよう。僕の異世界物語を」


 魔法陣に魔力を加える。その瞬間、紫色の炎が魔法陣から噴き出て一体の不気味な死神が召喚された。


 現れた死神は思ったより人と似た姿をしていた。

 しかし、目は死んでいて顔も青白かった。


「私は……お前の魂を奪うものだ。そこで……待っていろ」


 細々とした声が聞こえてきた。

 そして次の瞬間、死神の持つ鎌が目の前に振り下ろされる。

 だが、アランはとっさに右に飛び攻撃を躱した。


 そして、今度は反撃。

 空中で剣を抜き、着地したのと同時に死神のいる方向へ加速する。

 死神も何とか反応し、鎌を再び振ろうとするがフィジカル・動体視力を極めるに極めたアランの前ではスローモーションに見えていた。


「遅いな」


 そして、鎌が振り下ろされる前にアランの剣が死神の首を掻き切る。

 血を吹き出し倒れる死神を前に自身の勝利を確信した。


「やった。僕は強いんだ。成ったんだ、最強に」


 最強という実感を得て、体が震えだす。この十五年の努力がようやく報われたのだ。

 夜空に浮かぶ星と月を眺めた。




 しかし、一つトラブルが起きた。

 ようやく、感動を噛み締め終わった僕の前に死神が現れたのだ。

 それはさっき倒した死神とは別の個体であり、魔法陣を見るとそこから死神が湧き出ていることが一目瞭然だった。

 気が付くと七体もの死神に囲まれている。

 仮に、そこら辺の門兵が僕と同じ状況に立ったら気絶するだろう。


 でも、僕は最強に成ったので特に問題は無い。


「囲まれて絶体絶命のピンチ……そんな中で周囲を切り裂く一撃が放たれる」


「剣技 レクイエム・ワルツ」


 剣に魔力を込める。

 すると次第に魔力が剣に集まり、その剣を地面に突き刺した。

 その瞬間、周りを囲んでいた死神がまばゆい光に吸い込まれる。

 そして、消滅した。


 再び、感動の余韻に浸る。でも、次は短めにしてすぐに魔法陣を壊しに向かった。


「でも、なんか思っていたのと違ったな。死神は僕の命だけを狙う単細胞な奴らだった。これじゃあ、読み合いも何も起きないじゃないか」


 そこで、僕は思った。一流の剣士がいる王国の騎士団と戦うべきではと。

 しかし、それは王国を敵に回すことにもなるので、当然この世界では立場としては下になる。

 仮に命を狙われることになったとしても僕ならば問題無いだろうが、家族にまで影響が出たりしたら困る。

 なので、却下。


 ならば、騎士団の半数以上が卒業している、まさに騎士の聖地ともいえよう王国で一番の大きさを誇るラインブルク修剣学院に入学して、そこに集う未来有望な生徒と戦えば良いのではと考えた。

 考えは決まった。

 それなら、行動に移すべし。

 僕は修剣学院に入ることに決めた。





 それからというもの、寮生活に反対的だった過保護な両親をなんとか一週間にわたって説得し無事に修剣学院に入学をすることが決まった。

 といっても、少し時期が遅く転入という形になってしまったが。

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